直木賞を受賞した朝井まかてさんに黒川博行さん、芥川賞の柴崎友香(ともか)さん、本屋大賞の和田竜(りょう)さん…。今年は関西ゆかりの作家の活躍が際立った。一方、ベストセラーランキングには百田尚樹さんや池井戸潤さんら、昨年と同じ顔ぶれが多くランクイン。出版不況が続く中、映像化によって注目を集めた作家の作品に売れ行きが集中する傾向は、今年も鮮明だった。 (横山由紀子) 女性作家ことしも躍進 受賞ラッシュの皮切りは、1月に発表された第150回直木賞。『昭和の犬』(幻冬舎)の姫野カオルコさんとともに、大阪市在住の朝井まかてさんが初めての候補で選ばれた。 受賞作『恋歌(れんか)』(講談社)は幕末に水戸藩の天狗党の乱に翻弄された歌人、中島歌子の激動の生涯を描いた歴史小説。選考委員の浅田次郎さんは「小説化が難しい題材を見事に書ききった相当の大器」と高く評価し、受賞後第1作の『阿蘭陀西鶴(おらんださいかく)