「自分の友達は本だけ――。」読書好きなら、一瞬でもこう思ったことがある人は多いのではないだろうか。時には心を支え、時には夢を与え、時には背中を押してくれる、本。そこに、もし魂が宿ったら――。本読みなら一度はする想像かも知れない。そんなファンタジックな世界を、読書家たちの夢を真っ直ぐに描ききっているのが、三萩せんや著『神さまのいる書店 まほろばの夏』(KADOKAWA)だ。 主人公、紙山ヨミは高校2年生。昔、親友に裏切られた経験から、どこにも自分の“居場所”が見いだせず、本を心の拠り所に、学校の図書室に通う日々。夏休みを迎えたそんなある日、司書教諭のノリコから、「本へ恩返し、してこない?」と、とある書店を紹介される。さきみたま市の裏道通り三番地にあるその書店は、「まほろば屋書店」。魂の宿る「生きた本」、“まほろ本”を専門に扱う書店だった――。 飄々とした人間の店主ナラブ、近寄りがたい金髪イケ