ボクは19歳の時、美学校に通っていて、週一回、教室がある神保町に行くようになった。美学校というと、美術学校の総称のように聞こえるけど「美学校」という固有名詞の専門学校みたいなもんで、専門学校というより「塾」に近い小さな小さな規模の学校だ。 校舎もなくて、神保町の古い雑居ビルの4階ワンフロアだけだ。今もある。ボクも時々講師をする。貧乏な学校で、未だに教室にクーラーというものがない。 ここまで貧乏な学校は今時珍しいから、逆にボクは面白いのだが。 ボクは19から20歳にかけて、この神保町の美学校で、赤瀬川原平さんの「絵・文字工房」に所属していた。 まあ教室での話はさておき、神保町は高校生の時まで行ったことのないエリアだった。 だから、神保町を初めて散策して、なんて面白い街があったんだ!と狂喜した。 まず、本屋だらけなのに驚いた。しかもほとんどが古本屋。でも新刊書店もあり、それらが完全に混じり合っ