『アイデア大全』はいいぞ。 「読書体験」という言葉がある。 読んで字のごとく、「読書」と「体験」の2語を組み合わせた言葉。 厳密な定義はなさそうだけれど──字義をそのまま捉えるなら、「読書によって得られる体験」を指している感じかしら。 しかし一方で、そもそも「読書」それ自体が「本の体験」であると考えることもできる。「本を読む」という活動は、紛れもなく「体験」と言えるもの。それをわざわざ、「読書体験」などという言葉で表現する必要はないのでは……? そこで、「読書体験」という言葉をあえて用いる場面を考えてみると、そこには「読書」によってもたらされる効用の多様性が見て取れる。「本を読む」という行為のみならず、本を通して得られる知識や学び、そして感情や感動といった心の動きは、かけがえのない「体験」であると言えるのではないだろうか。 さらに、「本を読む」という行為の前後にも目を向けてみると、そこにも