大学がいくつ必要か、大学の教員についてテニュアトラックを導入するかどうか、研究助成金の競争的配分が良いか悪いかなど、研究者を取り巻く議論では「競争が必要だ!」「いや、短期的競争は腰をすえて研究ができなくなるから良くない」と競争に関して意見がわかれる。 競争と公平感 この本は、主に市場競争について述べている本。 市場競争とは、いわばインセンティブの与えられ方の一つである。厳しい競争にさらされるのはつらいかもしれないが、私たちは競争そのものの楽しさや競争に打ち勝ったときの報酬があるから競争に参加する。しかも、市場競争を通じた切磋琢磨は、私たちを豊かにしてくれるという副産物をもたらす。 (p. xi) 本書の肝は以下の部分にあると思う。 市場への参入規制が強ければ、市場参加者の中での競争は少なくなり、全員が高い利潤をあげられる。しかし、規制が緩和されて、市場競争が激しくなると、市場参加者の間での