ブックマーク / honz.jp (29)

  • 『宗教の起源──私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』 ダンバー数、エンドルフィン、共同体の結束 - HONZ

    ロビン・ダンバーは、彼が提唱した「ダンバー数」とともに、その名が広く知られている研究者である。ダンバー数とは、ヒトが安定的に社会的関係を築ける人数のことであり、具体的には約150と見積もられている。ダンバーは、霊長類各種の脳の大きさ(とくに新皮質の大きさ)と集団サイズの間に相関関係があることを見てとり、ヒトの平均的な集団サイズとしてその数をはじき出したのであった。 さて、そんなダンバーが書で新たな課題として取り組むのが、「宗教の起源」である。人類史において、宗教はどのようにして生まれ、どのように拡大を遂げていったのか。宗教に関する広範な知識に加えて、専門の人類学や心理学の知見も駆使しながら、ダンバーはその大きな謎に迫っていく。 ダンバーも言及しているように、現生人類の歴史のなかで、宗教は個人や社会に対していくつかの利益をもたらしてきたと考えられる。その代表的なものを5つ挙げるとすれば、(

    『宗教の起源──私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか』 ダンバー数、エンドルフィン、共同体の結束 - HONZ
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    filinion 2023/10/26
  • ジェレミー・デシルヴァ著『直立二足歩行の人類史』を読む:ゴキブリ二足走行の謎と教訓 - HONZ

    「人間を生き残らせた出来の悪い足」という副題と、次の瞬間にはネコ科大型獣の餌になるという惨劇を予想させる表紙カバーの絵に興味を引かれて、ふと手に取ったでした。序論と第一章では、二足歩行に対するわれわれの思い入れの強さが指摘されていて、ぐっと内容に引き込まれました。ところが54ページまで読み進めたところで、重大な問題にぶつかってしまったのです。そこにはこう書いてありました。 キリストトカゲにせよヴェロキラプトルにせよ、二足歩行の利点とは要はスピードだと思われる。ゴキブリでさえ、非常時には二足で立ち上がって全速力で走る。 「ちょっと待て!」とわたしは思いました。ゴキブリは短距離ならば飛びもするし、普通でさえ、かなりのスピードでササササと走りまわりますよね。そこからさらに速度を上げるために、よりによって二足で立ち上がって走ると!? いやいや、それはありえないでしょう。 第一に、ゴキブリの

    ジェレミー・デシルヴァ著『直立二足歩行の人類史』を読む:ゴキブリ二足走行の謎と教訓 - HONZ
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    filinion 2022/08/19
    MOTHER2の「あのあれ」は直立二足歩行してたけど、あのあれはまんざら嘘ではなかったということか…。
  • 『政治学者、PTA会長になる』これぞ街場の民主主義!政治学者が世間の現実と向き合った1000日の記録 - HONZ

    「その悩み、○○学ではすでに解決しています」みたいなタイトルのを見かけることがある。あなたが日々の仕事で直面する悩みや課題は、すでに最新の学説や理論で解決済みですよ、というわけだ。 だが当にそうだろうか。最新の学説や理論を応用すれば、世の中の問題はたちどころに解決するものだろうか。 著者は政治学を専門とする大学教授である。「話すも涙、聞くも大笑いの人生の諸々の事情」があって、47歳にして人の親となった。小学校のママ友やパパ友のほとんどは干支一回り以上年下だ。そんなママ友からある日「相談があります」と呼び出され、いきなりこんなお願いをされた。 「来年、PTA会長になってくれませんか?」 まさに青天の霹靂だ。驚いた著者は必死に出来ない理由を並べ立てる。「フルタイム・ワーカー」だから無理!「理屈っぽくて、短気で、いたずらにデカいジジイ」だから無理!ところがママ友は決してあきらめず、最後は情に

    『政治学者、PTA会長になる』これぞ街場の民主主義!政治学者が世間の現実と向き合った1000日の記録 - HONZ
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    filinion 2022/05/24
  • 過激主義組織はどのように人を勧誘し、虜にするのか?──『ゴーイング・ダーク 12の過激主義組織潜入ルポ』 - HONZ

    過激主義組織はどのように人を勧誘し、虜にするのか?──『ゴーイング・ダーク 12の過激主義組織潜入ルポ』 この『ゴーイング・ダーク』は、イスラム聖戦主義者やキリスト教原理主義者、白人のナショナリストや極右の陰謀論者、過激なミソジニストたちの組織など、12の過激な主義主張をかかげる組織に著者が潜入したさまをつづるルポタージュである。 潜入が実施された期間はおおむね2017年から18年にかけての2年間で、その間に著者はオンライン活動への参画を中心としながら、そうした組織の裏側でどのような活動や勧誘が行われていて、彼らがどんな思想を持っているのかをつぶさに見ていくことになる。 著者が潜入するのは初心者にもハッキング講座を施してくれる、親ISISのハッキング組織から白人ナショナリストなど過激な思想を持つもののみが参加できる特殊なマッチングサイトまで様々だが、そこには共通する人間の傾向や勧誘の手口が

    過激主義組織はどのように人を勧誘し、虜にするのか?──『ゴーイング・ダーク 12の過激主義組織潜入ルポ』 - HONZ
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    filinion 2022/01/12
    レイシズムをむき出しにするだけで「頭が切れる」扱いされたり、女性が自ら奴隷の首輪を求めたり…どれも人間の愚かさを垣間見る思いだが、「まとも」なはずの勤務先が脅迫に屈して解雇されるのが一番救われない…。
  • 『中世ヨーロッパ ファクトとフィクション』「暗黒時代」という神話はなぜ生き残ってきたのか - HONZ

    「中世ヨーロッパ」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。「疫病と飢饉」、「魔女狩り」、「異端審問」……。代表的なものを挙げたが、いずれにせよ、西ローマ帝国が滅んだ5世紀末からの約1000年間に明るく進歩的な印象を抱く人は少ないだろう。 だが著者は、そうしたネガティブなイメージはここ200年ほどの間に私たちに植え付けられた誤解だと説く。書には、中世に関する11の「フィクション」が登場する。多くの人は、どれも一度は耳にしたことがあるはずだ。 中世の人々は地球が平らだと思っていた。風呂にも入らず、暮らしは不潔で腐った肉も平気でべた。教会は科学を敵視し、今では誰も疑うことのない説も教会の権威によって迫害され続けた。何の罪もない女性たちが何万人も魔女として火あぶりにされた。 これらの説は、文化上構築された「中世」にすぎず、前世紀までに歴史学の専門家によって否定されている。だが、今でも大きな顔をして

    『中世ヨーロッパ ファクトとフィクション』「暗黒時代」という神話はなぜ生き残ってきたのか - HONZ
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    filinion 2021/06/13
    むしろ日本で流通してる「中世ヨーロッパ」のイメージはなろう系のもので、中央集権的な政府や多国籍機関(冒険者ギルド)などが存在し、庶民の識字率も高い、暗黒どころかやたら先進的で安定した世界だと思うけど。
  • 『コロナマニア 「ウイルス以外のコロナ」一大コレクション』“じゃないほう”のコロナで2020年を振り返る - HONZ

    今年も1年を振り返る時期がやってきた。多くの人にとって、新型コロナウイルスにまつわる出来事が記憶に刻まれた年だったことは疑う余地もない。しかし、「コロナ」はそれだけじゃないとばかりに登場したのが、書『コロナマニア』だ。 もちろん「コロナ」に関するではあるが、ウイルスについてのではない。書には、「コロナ」を名前に含む国内外のお店や企業がズラリと並ぶ。事業の紹介やGoogleMapの画像、WEBサイトのサムネイルなどが、まさに「3密状態」でラインナップされた一冊だ。 そもそも「コロナ」はラテン語の「冠」という言葉に由来し、高貴さや権力を示す冠、輝かしいエネルギーに満ちた太陽を想起させる言葉だったと言われる。それと関係があるのかはわからないが、こと国内に限ってみれば、コロナを店名に含んだ美容院や理容室は非常に多いという。 輝かしい未来を願って命名されたに違いなく、これほどの規模の風評被害

    『コロナマニア 「ウイルス以外のコロナ」一大コレクション』“じゃないほう”のコロナで2020年を振り返る - HONZ
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    filinion 2020/11/28
    コロナビールが「これがあれば自宅でも非日常の楽園」みたいなバナー広告出してて、攻めてるなー、と思ってた。
  • 『民主主義の死に方 二極化する政治が招く独裁への道』 民主主義が民主主義を殺す - HONZ

    世界各地の独裁政治を研究してきたハーバード大学教授である著者が、民主主義がどのように、そしてなぜ死ぬのかを追求する。著者はあらゆる場所、時代の民主主義が死んでしまった事例を紹介しながら、当たり前に享受している民主主義がいかに微妙なバランスのうえで成り立っているものなのかを教えてくれる。幅広いケースを考慮する書だが、議論のフォーカスはアメリカおよびトランプ現象に当てられいるので、日々伝えられるアメリカ政治の異常事態の意味がより良く理解できるようになるはずだ。米連邦最高裁判所判事にカバナーが選ばれたことがどれほどの意味を持つ事件なのかを思い知る。 民主主義が崩壊する瞬間といえば、銃を持った兵士や市民をなぎ倒そうとする戦車を思い浮かべるかもしれない。たしかに、アルゼンチン、ブラジル、ガーナやパキスタンのような冷戦時の民主主義崩壊の4分の3は、軍事力を用いたクーデターによってもたらされた。しかし

    『民主主義の死に方 二極化する政治が招く独裁への道』 民主主義が民主主義を殺す - HONZ
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    filinion 2018/10/14
    民主制を理想的に機能させるには、ただ選挙があるだけでは不十分で、民意の賢明さを引き出す制度が必要なのだ、とつくづく思う。
  • ほら、あなたの隣にも! 見てびっくりのサイズ感『リアルサイズ古生物図鑑 古生代編』 - HONZ

    「ようこそおこしやす」。そんな言葉が聞こえて来そうだ。”味のある座敷“で、芸妓さんが迎えてくれている……っと、どうやら迎えてくれているのは、芸妓さんだけではなさいようだ。 えええっ? この画像を見たときの衝撃といったら。イクチオステガって、こんなに小っちゃかったのおおお?! 芸妓さんに並んで三つ指(?)ついてかしこまっているのは、イクチオステガ・ステンシオエイ。デボン紀(約4億1900万年前から約3億5900万年前)に栄え、最初期に陸上に進出した四足動物として知られている。 古生物図鑑などで眺めていたとき、勝手に5~6メートルくらいはあるんだろうな、と思い込んでいたイクチオステガ。そのため「何このお座敷サイズ!」と、びっくりしてしまったのであります。 じゃ、じゃあ、同じデボン紀に栄えて、よく似た雰囲気のティクターリク・ロセアエも、こんなに小さかったのかな? と、探してみたら、載っていました

    ほら、あなたの隣にも! 見てびっくりのサイズ感『リアルサイズ古生物図鑑 古生代編』 - HONZ
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    filinion 2018/08/10
  • 『ゲッベルスと私 ナチ宣伝相秘書の独白』 - HONZ

    作者:ブルンヒルデ・ポムゼル、トーレ・ハンゼン 翻訳:森内 薫、赤坂 桃子 出版社:紀伊國屋書店 発売日:2018-06-21 ヒトラーの時代を考える ヒトラーと、その右腕ゲッベルス宣伝相が作り出した大衆的熱狂の先には、戦争と破壊、そして未曾有の大量殺戮が待ち受けていた。偏狭な自民族中心主義と極端な反ユダヤ主義、人種差別主義(レイシズム)が第二次世界大戦と結びついて、ヨーロッパを「暗黒の大陸」へと変えたのだ。戦後、世界は解放された各地の強制収容所に累々と積み上げられた犠牲者の屍に絶句し、「二度と繰り返してはならない」と誓ったのである。 それから73年が経過した今、ドイツ、オーストリアを始め世界各地でポピュリズム、排外主義の動きが不穏な高まりを見せている。人権と民主主義を軽んじる政治的指導者が名乗りをあげるなか、あらためてヒトラーの時代を考えることには大きな意味があるだろう。ヒトラーは大衆民

    『ゲッベルスと私 ナチ宣伝相秘書の独白』 - HONZ
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    filinion 2018/06/23
    「大臣官房秘書の給料はよく、同僚にはよい人が多かった」…弱者を踏みにじり憎悪をまき散らす政府を支えたのは、「私に政治的な意図はない」と称し、自らもそれを疑わない「善良な」「普通の」人々、という構図。
  • 『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 比べることで歴史の”なぜ”に答えを出す - HONZ

    歴史に“もし”はない。もし奴隷制がなければアフリカはもっと経済発展を遂げただろうか、もしイギリス統治がなければインドの識字率はもっと高くなっていただろうか、もしフランスではなくスペインに支配されていればハイチはドミニカよりも豊かになっていただろうか。想像力豊かに刺激的な虚構のストーリーを作り上げることはできても、時計の針を巻き戻し、ありえたかもしれない結末を知ることはできない。物理学者が気温などのあらゆる環境をコントロールしながら特定の条件だけを少しずつ変化させて行う実験のように、歴史を繰り返すことはできないのだから。 歴史だけでなく進化生物学や地史学のように過去を扱う分野では、因果関係を明らかにするための最も強力な手法である実験を、用いることができないのだろうか。そうではないと書の編著者であるジャレド・ダイアモンドとジェイムズ・A・ロビンソンは説く。歴史関連の学問においては、自然実験と

    『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 比べることで歴史の”なぜ”に答えを出す - HONZ
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    filinion 2018/06/17
  • 『とんでもない死に方の科学 もし○○したら、あなたはこう死ぬ』 - HONZ

    「スティーヴン・キングとスティーヴン・ホーキングを足して2で割ったような」(「はじめに」より)とはよくいったものである。前者は有名なホラー作家。後者はいわずと知れた天才理論物理学者だ。そのふたりが合体するにふさわしく、書のテーマはずばり「死に方の科学」。ここには45通りの死のシナリオが取りあげられている。今日にも起きそうな筋書きもあれば、今生では巡りあいそうにない設定もある。それぞれについてあなたが具体的にどのように死ぬかを描きながら、様々な科学知識を提供しようというのがこのの狙いだ。 「身近な現象を科学で説きあかす」はけっして珍しくない。ただ書の場合、その「身近な現象」が「死」である。私たちはひとり残らずあの世に行くわけだから、考えようによってはこれほど「身近な」話題はないだろう。もっとも人間である以上、心臓が止まって脳死を迎えるという、最後の最後のところにそうそう違いがあるわ

    『とんでもない死に方の科学 もし○○したら、あなたはこう死ぬ』 - HONZ
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    filinion 2018/06/13
  • 『猫はこうして地球を征服した 人の脳からインターネット、生態系まで』 - HONZ

    究極のミスマッチなマッチング 「が地球を征服した?」……書のタイトルを見て、「うちの可愛いちゃん一族が、地球なんて征服できっこない!」とおおかたの読者は思われるのでは? でも、これは決して誇張ではない。一見、ひ弱で愛らしいたちが、いまや人の脳から、インターネット、各地の生態系まで席巻しつつあるのだ。 その制覇のきっかけは、まずは私たち人間の心を奪ったことだった。と人との関係は、究極のミスマッチなマッチングとも呼べるねじれたつながりにある。 人は社会性の高いコミュニケーション大好きな生きものだが、は単独行動を旨とする群れない生きものだ。 また、超肉動物であるネコ科は、もともと「殺すか、死ぬか」という激しい2択を生きており、かつては人類の祖先もネコ科にかなりべられたことが分かっている。 驚くべきことに、家のなかで寝てばかりいるようなちゃんたちでさえ、こうした野生を色濃く残して

    『猫はこうして地球を征服した 人の脳からインターネット、生態系まで』 - HONZ
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    filinion 2017/12/30
    SCP-XXXは肉食性の捕食動物で、乳児の泣き声を模倣して犠牲者を誘引…外見には保護欲を喚起するミーム特性があり、記憶処理では…SCP-XXX-1は哺乳類の脳に寄生…既に人類の██%が影響下にあり、収容は不可能…SK-クラス…
  • 『人はなぜ物語を求めるのか』物語との、虫のいい付き合い方 - HONZ

    書は物語論(ナラトロジー)と呼ばれる研究分野の視点から、人はいかに物語によって世界を理解しようとしているのかを説く一冊だ。 物語論の一部門である「筋(プロット)」研究には、「それなりに人間学的な背景があります」と著者は言う。書では旧約聖書から桃太郎に至るまで、古今東西の様々な物語とその分析が引用され、さらには認知心理学や神経科学などの知見にも触れながら、幅広い例とともに、私たちと「ストーリー」との密接な関係を描き出す。 著者はいくつかのポイントに着目しながら、いかに私たちが「物語化」することを通して目の前の出来事に意味を与え、世界を認識しているかを示していく。 まず大きく書かれているのが、「因果関係」について。たとえば、前後関係が因果関係にすり替わってしまうようなことがある。「Aが起こった後に、Bが起こった」というのが「Aが起こったから、Bが起こった」に変換される、といったことだ。年表

    『人はなぜ物語を求めるのか』物語との、虫のいい付き合い方 - HONZ
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    filinion 2017/05/04
  • 『字が汚い!』あきらめるのか? それとも本気を出すのか? - HONZ

    私のプロフィールには「趣味:万年筆集め」と書いてある。特に珍しいものを持っているわけではないが、新しい番組に携わるとき景気付けにとか、自分なりに課題をクリアしたと思った時に自分へのご褒美とか、とにかく折々買い集めて、いま30くらいある。 MCやキャスターの仕事が多かった頃は、台に書き込みをしたりメモを取ることが多く、すべて万年筆で書いていた。フリップを指すときも万年筆を使うとかっこいい。衣装と色をあわせた軸の万年筆を使ったりして、ひそかに楽しんでいた。 万年筆のなにが魅力ですかと聞かれれば、「アクセサリー類に興味がないので、万年筆がその代わりのようなものです」などど答えたものである。「万年筆には一、個性があって、それが少しずつ時間をかけて手に馴染んでいくのがいいですね」などと、気の利いた風なことも言っていた。 そんなことが目に止まってか、「万年筆が似合う著名人を表彰する」という『

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    filinion 2017/04/26
  • 『心を操る寄生生物 感情から文化・社会まで』あなたの心を微生物たちはいかに操っているのか? - HONZ

    『心を操る寄生生物 感情から文化・社会まで』あなたの心を微生物たちはいかに操っているのか?編集部解説 ネコ派も、イヌ派も、ご用心! あなたの性格や行動が知らないあいだに、腸内や脳などに住む寄生生物によって操られているとしたら? 「まさか、そんなことは!」と思うだろうか。近年、「神経寄生生物学」と呼ばれる分野の研究が明かしているのは、まさにそんなことが起こっている、しかもごく日常的に!である。 たとえば、世界中で3人に1人が感染していると言われるトキソプラズマ原虫。この微生物は主にネコからヒトへと感染し、脳に住みつく。 医学的には、感染しても妊婦などでなければさほど問題はないとされていた。しかし、心理学者や神経科学者らの研究では、人の気分や性格を変えてしまい、そのせいで感染者が危険な行動を取ったりすることがわかってきた。とくに男性では、規則を破り、人と打ち解けない傾向が強く、交通事故などにも

    『心を操る寄生生物 感情から文化・社会まで』あなたの心を微生物たちはいかに操っているのか? - HONZ
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    filinion 2017/04/17
  • 『失われた宗教を生きる人々 中東の秘教を求めて』 - HONZ

    ある考古学者がイラク南部で、四千年以上昔の木のパネルを発見した。美しい彫刻が施されていたが、蝶の羽のようにもろくなっていた。見つめていると雨が降りはじめ、写真を撮る間もなくパネルは溶けて泥と化した。中東の多様な宗教と民族のモザイク模様は長く輝かしい歴史の記念碑とも言うべきものだが、現在崩壊に向かっている。中東に恋をした元外交官の著者は、その姿を書き留めておこうと旅に出た。 書には7つの秘教が取り上げられている。アダムの息子セトの家系を自任するマンダ教徒は、二元論(光と闇)を基にチグリス川で洗礼を行いイラク南部の沼沢地帯で1800年以上生き抜いてきたが、イラク南部が戦場となった湾岸戦争やイラク戦争で大きな打撃を受けた。イラン系多神教の末裔で輪廻転生を信じ、火と孔雀天使(マラク・ターウース)を崇拝するイラク北部のヤズィード教徒は、ISISの迫害の的となった。なお、握手の慣習は古代イランのミト

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    filinion 2017/03/09
    SCP-036「ヤジディ教徒の回帰巡礼」は、イラク政府の下で困難な状況に置かれたヤズィード教徒を題材にした記事だったが、今や状況はより一層悪くなっていることを思わずにはいられない。
  • 『ダメな統計学 悲惨なほど完全なる手引書』で科学の基盤をより確かなものにする - HONZ

    世界は数字であふれている。政治家の支持率から健康品が病気のリスクを下げる確率まで、ニュースや広告を介して、新たな数字が次々とわたしたちに届けられる。しかしながら、その数字がどのようにつくられ、どのような意味を持つのかを真に理解することは容易ではない。特に、数字の送り手に悪意がある場合には注意が必要だ。50年以上前に出版された世界的ベストセラーの『統計でウソをつく法』で知られるように、統計を恣意的に用いれば、多くの人を欺くことはそれほど困難ではないのだ。 それでは、きちんとした科学研究室・大学によって裏付けられたデータならば無条件で信用できるのだろうか。そうではない、と統計学の講師でもある著者のアレックス・ラインハートはいう。科学者たちに悪意があり、統計学を歪めて使用しているわけではない。科学者たちもまた、わたしたち一般市民と同様に統計学をきちんと理解していないというのだ。 科学者は、統計

    『ダメな統計学 悲惨なほど完全なる手引書』で科学の基盤をより確かなものにする - HONZ
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    filinion 2017/02/22
  • 『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』 - HONZ

    書は、イギリスの湖水地方で農場を営むジェイムズ・リーバンクスの半生と、そこで生きる羊飼いの生き方や働き方をユーモアを交えて描いた手記The Shepherd’s Life: A Tale of the Lake District の全訳です。 2015年にイギリスで発売された書は、英国内でたちまち話題となり、アマゾンのベストセラー・トップ 10入りを何度も記録。年末に各新聞社が発表するその年のおすすめのリストにも軒並み選ばれ、さまざまな賞にもノミネートされた。複数の書評で「サプライズ・ヒット・オブ・ザ・イヤー」と称されており、無名の羊飼いの手記がベストセラーとなったのは、英国の出版界では驚きだったようだ。 さらにアメリカでも高く評価され、ときに手厳しい批評で有名な《ニューヨーク・タイムズ》紙のカリスマ書評家ミチコ・カクタニ氏が次のように絶賛した。「ジェイムズ・リーバンクスの衝撃的なデ

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    filinion 2017/01/27
  • 『<わたし>は脳に操られているのか 意識がアルゴリズムで解けないわけ』 - HONZ

    あなたもアンドロイドだ 人工知能のめざましい進展は、人間の能力に迫り、さらに超えつつあるようにさえ見える。やがて、心や意識をもったAIも生まれると予測する研究者も少なくない。私たち人間と区別のつかないようなアンドロイドが、未来に登場するのだろうか? だが、想像の翼を広げる前に、あたりを見回してほしい。いまあなたの周りにいるひとたち、そしてあなた自身ですら実はアンドロイドだったとしたら? これはSFの話ではない。脳科学の成果は、実際、私たち自身が<脳>に操られるアンドロイド(生きたマシン)にほかならないというのだ。 たとえば、書でも紹介されているベンジャミン・リベットの実験。この実験は、私たちが意識的に自覚する前に、すでに脳が行動しようと実行しはじめていることを明らかにした。つまり脳(無意識)が私たちの行動を、まず先に自動生成しているというわけだ。 また、脳画像をモニターすることによって、

    『<わたし>は脳に操られているのか 意識がアルゴリズムで解けないわけ』 - HONZ
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    filinion 2016/09/05
    「自由意志」だって結局は外的な要因や内的なランダム要素に影響されてるんだから、「自由な行為主体」なんて存在しないし、そうであっても刑罰には意味があるのでは。まあ、当該書を読んでみないとわからんのかな。
  • 『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史』 グーテンベルクがインターネットの生みの親? - HONZ

    体重わずか数グラムのハチドリは、ほとんどの鳥が真似することも困難なホバリングをすることができる。空中の定位置に留まるためには、羽を打ち上げるときも打ち下げるときも揚力を発生さるような、回転可能な羽を進化させる必要がある。ハチドリがこの独特なデザインの羽を持つようになったのは、花蜜を吸うためであると考えられる。ホバリングは、花蜜を取り出すために威力を発揮し、ハチドリの小さな身体に十分な栄養をもたらすのだ。 ハチドリの羽の進化を促した花蜜は、顕花植物と昆虫の共進化の産物である。花は花粉を昆虫に運んでもらうために色やにおいを進化させ、昆虫は花からより多くの花粉を取り出して他の花に受粉させるような装備を進化させた。この植物と昆虫の共進化の果てに、高密度なエネルギーをもつ花蜜が生まれ、その花蜜を栄養源とするハチドリへと至ったのだ。 著者は、このようなイノベーションの連鎖を「ハチドリ効果」と呼ぶ。これ

    『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史』 グーテンベルクがインターネットの生みの親? - HONZ
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    filinion 2016/08/22
    解説を読む限り、「新技術の発達がどんな社会的影響を与えるかは全く予測不可能である」ってエピソードに思えるのだけど…。