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ブックマーク / cruel.hatenablog.com (18)

  • オーウェル『1984年』序文からわかる、ピンチョンのつまらなさとアナクロ性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary トマス・ピンチョンのオーウェル『1984年』序文は、まったく構造化されず、思いつきを羅列しただけ。何の脈絡も論理の筋もない。しかもその思いつきもつまらないものばかり。唯一見るべきは、「補遺;ニュースピークの原理」が過去形で書かれていることにこめられた希望だけ。だが、考えて見れば、ピンチョンはすべて雑然とした羅列しかできない人ではある。それを複雑な世界の反映となる豊穣な猥雑さだと思ってみんなもてはやしてきた。だが実はそれは、読者側の深読みにすぎないのかもしれない。そしてその深読みが匂わせる陰謀論が意味ありげだった時代——つまり大きな世界構造がしっかりあって、裏の世界が意味をもった60-80年代——にはそれで通ったのに、1990年代以降はもっと露骨な陰謀論が表に出てきてしまい、ピンチョン的な匂わせるだけの陰謀論は無意味になった。それがかれの最近の作品に見られ

    オーウェル『1984年』序文からわかる、ピンチョンのつまらなさとアナクロ性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    florentine
    florentine 2023/11/15
    逆に小説における「構造的美観」とか「大伽藍的構造」的なもののほうが古くて「物語」っぽい気がするけど(いやそれも好きですが)、21世紀の小説の潮流ってどんな感じなんだろう(僕はキニャールが好きな人だよ
  • ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    訳者まえがき まちがって公開されたとおぼしき、ロシアウクライナ征服に成功していた場合のロシア国営通信 RIA予定稿の全訳。すぐに引っ込められたが、Wayback Machineにしっかり捕捉されていた。すごい代物。いくらでも言いたいことはあるが、読めば多くの人は同じことを考えるだろうし、ある100年近く前のドイツの人が書いた文章との類似も明らかだとは思う。 以下のツイート経由で存在を知った。ありがとうございます! 1 “The resolution of the Ukraine question.” A mistakenly published Russian article gives us a chilling insight into the neo-imperialist thinking in Russia that drives Putin’s decision to inv

    ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) 改訳終わった。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    はい、コロナ戒厳令開始前に、サイモン『意思決定と合理性』の改訳を始めました。 cruel.hatenablog.com で、終わった。まあ読みなさい。 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) pdf版 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) epub版 右クリックでダウンロード 読者のみんなは、ぼくに深く感謝するがよいのだ。これはそれだけの価値がある、すごいだからだ。 この短いに収められた叡智のすごさは、ちょっと比類がない。第1章は、彼の限定合理性理論のまとめであると同時に、自分でその限界をバシバシ指摘したおっかない部分。2章は、進化論について一般人の知るべき事を、とんでもなく高度な話まで含めて網羅している。第3章では、1982年の時点で地球温暖化の話にすでに目配りしてあるのに驚くし、また最後に出てくる、各種経済学派のちがいは唯一、期待形成の

    ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) 改訳終わった。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • エゴサーチ: 富岡日記とSF業界の後編 redux - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    二年ほど前に、「エゴサーチ: 富岡日記とSF業界の後編」というエントリーを書いた。 cruel.hatenablog.com さて、これは実は、もっと長いモノを書いていたんだけれど、それを査読してもらった人に、こんなものを公開してもだれも喜ばないと言われて、ひっこめて短縮版をブログに乗せておいたのだった。それに、どうせこれを読んでもあまりわかる人もいるまいと思ったこともある。 でも最近、藤田直也という評論家が、SF作家クラブの腐敗を告発するとかいうことをツイッターで言い始めつつ、急に腰砕けになる醜態を見せた。 togetter.com その周辺のいろんな発言とかを見ているうちに、少しはこんな文も意味があるかと思うようになった。 さて、この藤田直也の一連の発言というのは、自分の個人的な恨みやら保身やらを、いかにも公共的な告発であるかのように見せかけて投げ散らすというどうしようもない代物だ。自

    エゴサーチ: 富岡日記とSF業界の後編 redux - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 伊藤『虐殺器官』他:ソフトバンク書評コラム - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) 作者: 伊藤計劃出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/02/10メディア: 文庫購入: 75人 クリック: 954回この商品を含むブログ (514件) を見る ベトナムから戻ってきて、前回予想だけで書いたものをざあざあと読み流しているけれど、ほぼ予想した通り。したがってそれぞれを細かく解説したりはしないけれど、田中秀臣『デフレ不況』(朝日新聞出版)は、日銀の陰湿ないじめの例があれこれ出ていて、エグい内部のいじめ体質が浮き彫りになっているのは予想しなかったところ。そういうゴシップ的にも大変おもしろいので、是非一読を。 さて、なんだか多くの人が伊藤計画評を期待しているそうで、優先度をあげて読み終えましたよ、『虐殺器官』(ハヤカワ文庫)。大変に楽しめた――ヨハネ・パウロの動機づけと主人公の最後の行動以外は。そこで急に話がしりすぼみになるのが残念。そういう

    伊藤『虐殺器官』他:ソフトバンク書評コラム - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ファシズム学ぼう! ムッソリーニ『ファシズム:ドクトリンと制度』 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    The Doctrine of Fascism 作者: Benito Mussolini出版社/メーカー: Howard Fertig発売日: 2006/09/01メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログを見る 前にムッソリーニの伝記を書評したとき、いくつかムッソリーニ関係のを読んだんだけど、見てみるとムッソリーニ自身のファシズム論って翻訳がないみたいなのね(昭和19年に出た翻訳が国会図書館にはある。「国立国会図書館デジタルコレクション - ファッシズモ教義」[関裕美P]∵ごま∴氏にご教示いただいた。ありがとうございます!)。ヒトラー『我が闘争』の訳さえあるのに。みんないろんな人を気安くファシスト呼ばわりするけど、実はみんな当のファシズムってどういう主張だったのか知らないで、聞きかじりでモノ言ってるだけじゃん。情けない連中だね。 というわけで知ったかな情けない乞どもに恵むシリー

    ファシズム学ぼう! ムッソリーニ『ファシズム:ドクトリンと制度』 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ピケティあんちょこ、あげよう。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    21世紀の資 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/09メディア: 単行この商品を含むブログ (107件) を見る 某所のために作ったピケティあんちょこ、みんなにもあげよう。そこらの解説より詳しいよ。いずれこれをベースに書いてもいいけど、まずはこれで。読書会とかしてる人々はご活用ください。 ピケティ『21世紀の資』訳者解説 v.1.1 (pdf, 686kb) ピケティ『21世紀の資』訳者解説 v.1.1 印刷用 (pdf, 624kb) ちょっと加筆してバージョンアップしました。あと、印刷用バージョンも作った。トナーが節約できます。(02.02) 山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承

    ピケティあんちょこ、あげよう。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • バルザック『ゴリオ爺さん』:さすが元祖大衆小説。おもしろい! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ゴリオ爺さん (上) (岩波文庫) 作者: バルザック,高山鉄男出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1997/09/16メディア: 文庫 クリック: 9回この商品を含むブログ (19件) を見る ピケティに出てくるので、半ばいやいや手に取った。いやならいちいち手に取らなくてもいいじゃん、邦訳はアマゾンで検索すればすむじゃん、と思うだろうけれど、ぼくはそれではすませないのだ。他のだれもほとんどやらないことだが、ぼくは各種の翻訳で、参考文献に邦訳がある場合はそれを書くだけでなく、引用部分のページ数が出ている場合には邦訳の中で該当箇所が何ページにあるのかまで調べて書いている。 Jane Austen, Sense and Sensibility (Cambridge, MA: Belknap Press, 2013), 405 邦訳ジェイン・オースティン『分別と多感』(中野康司訳、ちくま文庫、

    バルザック『ゴリオ爺さん』:さすが元祖大衆小説。おもしろい! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    florentine
    florentine 2014/10/12
    バルザックは面白いよね。キャラの立ち具合はらのべっぽいし。
  • 牧真司他編著『サンリオSF文庫総解説』:落ち穂拾いなど - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    サンリオSF文庫総解説 作者: 牧眞司,大森望出版社/メーカー: の雑誌社発売日: 2014/09/18メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (20件) を見る 全体的な感想 しばらく前に寄稿したが出ました。すばらしい。サンリオSF文庫はぼくの十代の想い出とも重なっていて、なかなかノスタルジックないいになってるんじゃないか。今まできちんとやられていなかった、山野浩一のインタビューも、歴史的に重要だしまったく意外な話はなかったものの、当時の事情が非常によくわかる。出版からサンリオが退却したのは、上場のためだったんですねー。そして、サンリオにラテンアメリカ文学が入ったのは、大瀧啓祐が木村栄一をサンリオに紹介したおかげだ、というのも驚き。 出たすべての解説が出ていて、書き手によって好みはあるけれど、どれもいい感じ。『V』とか『マイクロノーツ』とか、だれも当時ほとんど顧み

    牧真司他編著『サンリオSF文庫総解説』:落ち穂拾いなど - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 「宇宙SFの現在」の感想 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Space, the Final Frontier? 作者: Giancarlo Genta,Michael Rycroft,Franco Malerba,Michael Foale出版社/メーカー: Cambridge University Press発売日: 2003/02/13メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (1件) を見る 稲葉振一郎がシノドスに「『宇宙SF』の現在」(2014.03.22) なる一文を寄稿している。 論点としては、最近のSFでは宇宙進出がバーチャル化されていて、生身の人間の移住が出てこないということ。稲葉大人はそれが、異星人の必要性のためだと主張している。異星人に「他者」(これってときどき文系の人が使う、大仰でとんでもない絶対理解不能者みたいな意味じゃなくて、ちょっとちがう相手、くらいの意味の他者だよね? カッコつける必要ないと思う)として出てきても

    「宇宙SFの現在」の感想 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • あらためて、オリンピックに経済効果なんかないこと。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    昔、Voiceに、オリンピックに経済効果なんかないし、無理して誘致すべきでない、というコラムを書いた。 オリンピックには経済効果なんかありません。(2007/05) 2007年の話で、ここで話題にしているのは、2016年リオデジャネイロオリンピックが選ばれたときの話。ぼくが言ったとおりアメリカ大陸になったでしょー。 で、その中で話題にしている研究というのは、以下のものだ。 Jeffrey G. Owen (2005) "Estimating the Cost and Benefit of Hosting Olympic Games: What Can Beijing Expect from Its 2008 Games?" The Industrial Geographer, Volume 3, Issue 1, p. 1-18 こうやっても君たちは読まないだろうから、ざっと訳してあげまし

    あらためて、オリンピックに経済効果なんかないこと。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 実測データ収集へのこだわりで、被曝水準の低さが裏付けられる - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    デニス・ノーミル(Dennis Normile) 原文:Insistence on Gathering Real Data Confirms Low Radiation Exposures (Science 10 May 2013: Vol. 340 no. 6133 pp. 678-679) (翻訳 山形浩生) 東京: 2011年3月、福島第 1 原子力発電所での惨事が展開する中で、早野龍五は放射性物質の放出についてツイッター投稿を始めた。この東京大学素粒子物理学者は、次第に地域住民の被曝をめぐる論争にますます深く引きずり込まれるようになっていったのだった。当局がきちんとした事実を提供していないことに失望した早野は、学校給の放射性セシウム検査を始めた。これは福島周辺の環境で最も量の多い放射性核種だ。そして、汚染物をべることで地元住民がどれだけ放射性核種を吸収しているか計測しようとし

    実測データ収集へのこだわりで、被曝水準の低さが裏付けられる - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • カヴァン『アサイラム・ピース』:感傷的ながらドライさをもたらす、囚人と看守の共犯関係とその諦念。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    アサイラム・ピース 作者: アンナ・カヴァン,山田和子出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2013/01/22メディア: 単行購入: 3人 クリック: 410回この商品を含むブログ (30件) を見る アンナ・カヴァンの作品は、しばしばカフカ的だと評される。抽象的で正体不明な人々。何を裁いているかもわからない裁判。何かはわからないが強大な権力を持ち、自分を抑圧する組織。何のために収容されているのかもわからない収容施設。その中で主人公「私」はなすすべもなく翻弄され…… その不安、悲しみ、絶望をカヴァンは描く。だが、一方でカヴァンの作品は奇妙な感傷に満ちている。不当な抑圧に怒り悲しむ自分は、単に無力なだけではない。憎み、軽蔑しているはずの抑圧者に、自分は依存している。それどころか、むしろ積極的に協力して自主的にかれらにとらわれているのが自分自身なのだ。主人公は、実は自分でもそれを知ってい

    カヴァン『アサイラム・ピース』:感傷的ながらドライさをもたらす、囚人と看守の共犯関係とその諦念。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 呉・樫田著/金川訳『精神病者私宅監置の実況』:すごい。大正期のキチガイ座敷牢の実態調査を現代語で! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    【現代語訳】呉秀三・樫田五郎 精神病者私宅監置の実況 作者: 金川英雄出版社/メーカー: 医学書院発売日: 2012/09/14メディア: 単行購入: 36人 クリック: 943回この商品を含むブログ (7件) を見る 90年前の大正時代にはすでに精神病者に対応するための法制度もある程度はあったし、精神病院なんてものもあったわけだが、むろんみんながそこに入れたわけではなく、相当部分の精神病者――ボケ老人もかなりいるが、25-40歳くらいが大半――は家族が座敷牢を作ってそこにぶちこむしかなかった。その実態を調査したもの。著者の呉秀三は東京帝国大学の医学部の先生。精神病で呉というと、どうしてもドグラマグラを連想してしまうんだけれど、そういう関係はどうもないみたい。 あちこち農村に分け入ってはその実態を淡々と書いており、その収容されている座敷牢の平面図、患者の状況その他がひたすら記録されている

    呉・樫田著/金川訳『精神病者私宅監置の実況』:すごい。大正期のキチガイ座敷牢の実態調査を現代語で! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • セミョーノヴァ『ロシアの宇宙精神』:変態だー!! 「屍者の帝国」ディープな読者必読! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ロシアの宇宙精神 作者: スヴェトラーナセミョーノヴァ,ガーチェヴァ,西中村浩出版社/メーカー: せりか書房発売日: 1997/01メディア: 単行購入: 6人 クリック: 334回この商品を含むブログ (3件) を見る 「屍者の帝国」で、カラマーゾフ兄弟のところにいったワトソンが、カラマーゾフの師匠筋のフョードロフの話をきかされて、なぜゾンビ軍団を作らねばならないかという説明で全死者の復活がどうしたこうした、という話をされる部分がある。 ぼくは教養人なのであのに出てくるネタはだいたいわかるのだが、このフョードロフねたは知らなかったので、ちょっと悔しかったのと、あと別方向で見ていた「ロシア宇宙開発史」にちょっと出てきたソロヴィヨフがこのフョードロフの弟子筋だという話を知ったのと、ついでにいま作業がほぼ終わりかかっているロシア革命関連の話で出てくるボグダーノフが、なんかこの系譜に連なると

    セミョーノヴァ『ロシアの宇宙精神』:変態だー!! 「屍者の帝国」ディープな読者必読! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 伊藤『屍者の帝国』:バロウズできましたか。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    屍者の帝国 作者: 伊藤計劃,円城塔出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/08/24メディア: 単行購入: 43人 クリック: 1,717回この商品を含むブログ (191件) を見る 病床の伊藤が行動記録クリーチャーのフライデーを使って書いた絶筆。その意味で、書は現実を模倣するものでもある。 伊藤はぼくの関心をかなりなぞっているし、今回も意識の話だというのは聞いていたけれど、まさかまったく別のぼくの関心のほうまで拾ってくれるとは思わなかった。バロウズの座右の銘:Language is a virus from outer space. あるいはもっと正統SFファンなら、アミガサタケの話とでも言おうか。ありがとう。でもそれを核に据えたために、当の創発的な意識のあり方についての考察が迂回されてしまったのは、ちょっと残念。が、一方でゾンビというものについて、非常におもしろい

    伊藤『屍者の帝国』:バロウズできましたか。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 吉沢『芸術は社会を変えるか?』:自発的な参加型芸術の意義を説きつつお上にお金を出してほしがる矛盾に自覚的でない弱い本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    芸術は社会を変えるか?: 文化生産の社会学からの接近 (青弓社ライブラリー) 作者: 吉澤弥生出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2011/10/25メディア: 単行購入: 2人 クリック: 144回この商品を含むブログ (6件) を見る えらい先生のお作をみんながありがたく鑑賞するような芸術は古い、これからはボイス的に、だれもが芸術家でその創作参加プロセスがよいのだウダウダ、でも公共の予算がつかなくてジリ貧で許せん、という。 参加型芸術がえらいかどうか、ぼくは知らない。でも、当にそれがすごくて有益なのか、というのは書で検証なし。そういうことになっている、ボイスが言ってる、とかいうくらいの話でおしまい。でも、それがそんなにいいもんなら、なぜ人々は勝手に自主的にやらないんですか? その点もスキップ。そしていきなり文化政策批判に入って、自治体が継続的にお金をつけないから活動が継続しない

    吉沢『芸術は社会を変えるか?』:自発的な参加型芸術の意義を説きつつお上にお金を出してほしがる矛盾に自覚的でない弱い本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    florentine
    florentine 2011/11/08
    これ、ぎょーかいにいると毎日だれかがどこかで山形さんと同じこといってる
  • ディレーニ『ダールグレン』:長いだけが取り柄のナルシスティックな本。誰も読まないことで得をしている。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ダールグレン(1) (未来の文学) 作者:サミュエル・R・ディレイニー国書刊行会Amazonダールグレン(2) (未来の文学) 作者:サミュエル・R・ディレイニー国書刊行会Amazon 長ったらしくてみんな読んでないから、問題作とか話題作とか野心的なナントカとか言うだけで逃げるけれど、著者がいろいろ試してみたくて、こっちでは引っ越しリアリズム追求したり、あっちではコミューン生活記録を使い回ししたり、向こうではエロ追求してみたりしてあれこれ詰め込んで収拾がつかなくなった話。出た当初は長いのが売りで、SFスキャナーでは「背表紙に表紙の縮小版が入る!」なんてことが話題になったが、今ではそのくらいでだれも驚かない。 ディレーニの長編作品の多くは、かなり露骨に自分自身を主人公に据える。だから小説としての技巧や設定、ストーリー展開のおもしろさの一方で、ディレーニが己のナルシズムをどこまで抑えられるかが

    ディレーニ『ダールグレン』:長いだけが取り柄のナルシスティックな本。誰も読まないことで得をしている。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    florentine
    florentine 2011/07/10
    よんだら読む。
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