安倍晋三首相が3月に「見直すことは考えていない」と明言した河野談話について、政府は作成過程を検証して公表した。野党時代は談話見直しに言及するなど河野談話に否定的だった首相と、見直しに強い懸念を持つ米国。様々な思惑が入り乱れるなかで、今回の検証は行われた。■淡々と事実積み上げ 安倍政権が検証を始めたきっかけは2月20日の衆院予算委員会だった。談話作成時の官房副長官だった石原信雄氏が山田宏氏(日本維新の会)の要求で参考人として出席し、「(談話を)まとめる段階で、(韓国側と)何らかの連絡というか事務的なすり合わせがあったかもしれない」と証言した。 菅義偉官房長官は山田氏から作成過程の検証を求められても、歴史学者らに委ねるべきだという答弁を繰り返した。だが、もともと談話に否定的な安倍晋三首相が菅氏に声をかけた。「はっきり言ったら」。菅氏は同月末、検討チームを設けて検証すると同委で表明した。