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ブックマーク / honz.jp (19)

  • 『差別はたいてい悪意のない人がする』特権という厄介で見えにくいことを考える - HONZ

    差別はつねに、差別によって不利益をこうむる側の話である。差別のおかげで知らぬうちにメリットを得る側の人が、自ら立ち上がって差別を語ることはしない。ただ、よーく考えれば、差別される側になる可能性があるのであれば、差別する側になることだってあるはずということに気がつける。 「もうすっかり日人ですね」 「希望を持ってください」 この2つの声がけは一見褒めていたり、励ましていたりする言葉のように見える。だが、前者は国外から日移住した人たちに、後者は障害者に対する代表的な侮辱表現の例としてあげられる。このように日常の会話の中に、悪意のない差別が潜んでいる。 特定の言葉を口にしないよう、注意すればいい。それだけではすまない。このような言葉がなぜ侮辱することにあたるのかを理解しなければならないのだ。実はその方法はそこまで難しくない。当事者に聞いてみることだ。 著者は、移民,セクシュアル・マイノリテ

    『差別はたいてい悪意のない人がする』特権という厄介で見えにくいことを考える - HONZ
    frothmouth
    frothmouth 2021/11/10
    この記事を読んで、自分ではなく「あいつら」が差別している、って思う人は危険だよ。aquatofanaさんとかね/差別問題は常に自戒として受け止めなければいけない。
  • 『実力も運のうち 能力主義は正義か?』今も広く容認される偏見 学歴という「功績」の横暴 - HONZ

    「運も実力のうち」という慣用句はよく聞くが、「実力も運のうち」というのはどうだろう。「実力」という言葉はフェアに聞こえるが、それが単に「生まれ」という「運」による幻想にすぎないとしたら。 そうした不都合な真実に切り込んだのが、米ハーバード大学のマイケル・サンデル教授による書である。原題は“The Tyranny of Merit”、直訳すれば「能力の専制」だが、巻末の解説によれば“merit”の原義は日語の「能力」よりも「功績」に近いという。 つまり、この原題が表しているのは「功績、とくに学歴という結果によって人生が決まってしまう能力主義(メリトクラシー)という仕組みの横暴」となる。 「学歴」は、ある人がその大学に入学できたという能力の証であり、功績でもある。しかし、現実を見れば、ハーバード大学の学生の3分の2は所得で上位5分の1に当たる家庭の出身だという。にもかかわらず、彼らは自分が

    『実力も運のうち 能力主義は正義か?』今も広く容認される偏見 学歴という「功績」の横暴 - HONZ
  • 『あなたは、なぜ、つながれないのか ラポールと身体知 』 - HONZ

    2015年10月、池袋・某書店の人文書フロアで、私は立ち尽くしていた。棚に面出しで置かれた『あなたは、なぜ、つながれないのか』を前に、動けなくなっていたのだ。正直レジに持っていくには、少し勇気の要るだった。実際、その日カゴに入れていたは詩集ばかりで、書は当時の自分が手に取る系統のではなかった。 それでも、刊行当初から否応なく気にかかる一冊だった。タイトルが目に飛び込んでくる度、反射的に目をそらしたくなる自分がいた。『あなたは、なぜ、つながれないのか』。他者と打ち解けることができない自分の弱さを責められているような不安、弱さを突きつけられることへの恐れ、それでも「他者とつながりたい」という気持ちがせめぎ合い、整理できない感覚に陥った。 「人に壁を作ってるよね」と冗談交じりに指摘され、内心図星だった学生時代。「そんなコミュニケーションの仕方じゃダメだ」と非難され、反省する一方で、「当た

    『あなたは、なぜ、つながれないのか ラポールと身体知 』 - HONZ
    frothmouth
    frothmouth 2019/12/30
    『二人がここにいる不思議』
  • 『兵士は戦場で何を見たのか』 - HONZ

    2007年4月、ワシントン・ポスト紙の元記者でピュリツァー賞受賞者デイヴィッド・フィンケルは、バグダッド東部にあるラスタミヤという、だれも行きたがらないアメリカ軍前線基地に赴いた。そこは、「すべてが土色で、悪臭に覆われ」、「風が東から吹けば汚水の臭いがし、西から吹けばゴミを焼く臭いがし」、「外に出るとたちまち頭からブーツまで埃まみれになる」場所だった。 2007年1月にブッシュ大統領が、「バグダッドの治安維持とイラクの自由のために」さらに2万人の兵士をイラクに送ると発表したのを受け、カンザス州フォート・ライリーを拠点にしていた第一歩兵師団第四歩兵旅団第十六歩兵連隊第二大隊がイラクに派遣されることになった。フィンケルが赴いたのは、この大隊に密着取材し、大隊の指揮官のラルフ・カウズラリッチ中佐を中心に、戦場における兵士たちの実情をレポートするためだった。 そして書(原題「The Good S

    『兵士は戦場で何を見たのか』 - HONZ
    frothmouth
    frothmouth 2016/02/12
    “アメリカでは、「もっと戦略的で、もっと政治的で、もっと政策主導で、さまざまな用途に使える事件」しか取りあげない。「アメリカではマクロなものしか記事にならなかった」。だからこそ、彼はミクロなものを書く
  • 『ネオ・チャイナ 富、真実、心のよりどころを求める13億人の野望』 - HONZ

    『ネオ・チャイナ 富、真実、心のよりどころを求める13億人の野望』は、現代中国の「今」を官と民のせめぎ合いという観点から描いたルポルタージュである。ジャーナリストのふるまいよしこさんは書を「中国の今を知るための今年一番の良書」と評する。はたして著者のエヴァン・オズノス氏とは、どのような人物なのか? そして書の読みどころはどのような点にあるのか? ふるまいさんに解説いただきました。(HONZ編集部) 豊かになることは名誉なことなのか? 先日、香港で別れたきり約23年ぶりに会った香港編集者時代のイギリス人元上司に、最近の中国について話してくれと求められた。元上司は言った。「あの頃の中国人は、“To get rich is glorious”と言っていたらしい。今でも人々はそうなのかな?」 1990年代、当時英語話者の間では同じタイトルの中国を知るためのとしてもてはやされていたという。

    『ネオ・チャイナ 富、真実、心のよりどころを求める13億人の野望』 - HONZ
    frothmouth
    frothmouth 2015/09/07
    “逆に、似ていること、理解しやすいことが日本人研究者が現代の中国を紐解く上での「盲点」になっている。ニュース分析などを読み比べてみると、実は西洋メディアの方が日本のそれよりずっと中国事情理解に役に立つ
  • 『暴力の人類史』 人類史上もっとも平和な時代 - HONZ

    テロ、紛争、無差別殺人。世界は悲劇的なニュースで溢れている。人類は自らの手でその未来を閉ざしてしまうのではないか、と不安になる。ところが、著者スティーブン・ピンカーは大胆にもこう主張する。 長い歳月のあいだに人間の暴力は減少し、今日、私たちは人類が地上に出現して以来、最も平和な時代に暮らしているかもしれない にわかに信じがたいこの説を検証し、読者に確信させるためにピンカーは、人類の暴力の歴史を大量の統計データとともに振り返る。書が上下で1,300ページ超という並外れたボリュームで膨大な文献を引用しているのは、並外れた説の主張にはそれに見合った証拠を提出する必要があるからだ。しかし、ピンカーが「統計のない物語が盲目であるとするならば、物語のない統計は空疎である」と語るように、書はデータばかりが延々と続く退屈なものではない。持続的な暴力減少を示す圧倒的な事実の積み重ねとそのメカニズムに対す

    『暴力の人類史』 人類史上もっとも平和な時代 - HONZ
    frothmouth
    frothmouth 2015/02/12
    中世ヨーロッパ。そこでの拷問は大衆娯楽であり、死刑囚が車裂き等の刑で悲鳴をあげる姿に善良な市民が拍手喝采していた。これだけでも十分に異様だが、当時最も人気のスポーツは両手を縛られた選手が猫を頭突きでど
  • 『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』国民国家の溶解 - HONZ

    書を読むまで私はイスラム国が数多くあるジハード集団のひとつだと勘違いしていた。今、中東でおきている出来事を理解する上で、間違いなく書は読んでおくべき一冊だ。 まず驚かされることは、イスラム国は自爆テロ一件ごとの費用にいたるまで詳細に記録し、高度な会計技術を駆使した、収支報告書を作成しているという点だ。無論、過去にも「テロ」という行動を巧みに使い、経済的に成功してきた武装組織は存在する。PLOなどもそのひとつだろう。 しかし、彼らがこれらの武装組織と違う点は、シリア内戦の混乱を利用し巧みに経済的な自立を果たした点にあるという。多くのテロ組織は複雑な国際関係の中で、いずこかの国々から経済的な援助を受け、いわゆる代理戦争の「駒」として行動している。当初はイスラム国もそのような組織のひとつだったのだが、彼らは援助された資金を、援助国が望む勢力の攻撃に使用せず、自らの国家建設のために使用していた

    『イスラム国 テロリストが国家をつくる時』国民国家の溶解 - HONZ
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    frothmouth 2015/01/28
    “彼らはシリアの正規軍との戦闘を避け、装備が貧弱なその他のジハード集団が支配する油田地帯を次々に攻撃、支配することにより、いち早く経済の自立に漕ぎつけている。アルカイダ系の組織も含め、多くのテロ組織が
  • 『娼婦たちから見た日本』哀しみの黒いさざなみ - HONZ

    娼婦。その存在はいつの時代も様々な点で男たちを惹きつけてきた。実直な青年と高級娼婦の愛を描いたデュマ・フィス著『椿姫』や映画『プリティーウーマン』などの作品に私も惹きつけられた。これらの作品に出てくる娼婦は、自堕落な生活を送りながらも当は純真な心を奥底に秘めた哀れな社会の犠牲者として描かれていることが多い。 多かれ少なかれ、男というものは女性に対して神秘的なものを感じている。金銭の対価として、その美しい肉体を差し出す女性たちに男は下卑た視線を向けながらも、彼女たちがその神秘性と、可憐で清らかな心を失わずにいて欲しいと願っている。 だが、このような虚像をはぎ取った実際の娼婦とはどんな人々なのであろうか。著は日に関わる娼婦たちを日国内に限らず、タイ、チリ、シンガポール、インドネシアと世界各地で取材した力作である。 単純に言ってしまえば、彼女たちが苦界に身を沈めたのは貧困のためだ。横浜

    『娼婦たちから見た日本』哀しみの黒いさざなみ - HONZ
    frothmouth
    frothmouth 2014/09/08
    「次第に彼女たちの存在は国家の恥としてとらえられ醜業婦と揶揄され始める。」いや江戸の頃から「後ろ指を指される行為」だっただろう,なんか認識があやしい本だな/数か月前も人身売買で逮捕あり http://goo.gl/gJluvS
  • 『闇金ウシジマくん』フリーエージェントくん編について、堀江貴文が聞く!真鍋昌平-堀江貴文対談 Vol.1 | マンガ新聞

    ※この記事は2014年8月11日にマンガHONZ(運営:株式会社マンガ新聞)にて掲載した記事の転載になります。 レビュアー:東海林 真之 “闇金融”の日常と債務者たちのリアルな人間関係を描く『闇金ウシジマくん』。ドラマ化・映画化もされた同作品の今、これから、作られ方などについて、堀江貴文(以下、堀江)が切り込みます。 作者であるマンガ家真鍋昌平(以下、真鍋)は、どのような取材を行い、あの生々しい人間描写を行っているのか。内容はもちろんのこと、堀江が真鍋をインタビューしていたはずが、途中から真鍋による堀江のインタビューになっていく、一連の流れにもご注目ください。 取材した「フリーエージェントくん」はどんな人だったのか 堀江 ところで、ウシジマくん(※)は、これからどうなっていくんですか? もう今の話は終わるんでしょうか。 ※ 『闇金ウシジマくん』: 「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に不

    『闇金ウシジマくん』フリーエージェントくん編について、堀江貴文が聞く!真鍋昌平-堀江貴文対談 Vol.1 | マンガ新聞
  • 実録が現実を喰う!『映画の奈落』北陸代理戦争の仁義なき場外戦 - HONZ

    やくざ映画にドンパチはつきものである。だが、映画と全く同じシチュエーションで実際にモデルとなった組長が殺害されるーーそんなミステリーさながらの事件を引き起こした、前代未聞のやくざ映画があった。 映画『北陸代理戦争』は、”北陸の帝王”と呼ばれた福井川内組組長、川内弘をモデルにした「東映実録やくざ映画」である。映画と現実が連動し、シナリオが進行中のやくざの抗争に影響を与えたという逸話のインパクトは、他の追随を許さない。 この映画、様々な意味で曰くつきの映画と言われている。当初は、東映のヒットシリーズ『新・仁義なき戦い』の最終作として企画されながら、主演の菅原文太が降板したため、『仁義なき戦い』のタイトルを外される。撮影が始まるや否やトラブルが続出し、予告編に登場する渡瀬恒彦は事故のため映画に出演していない。挙句の果てが、俗に三国事件と呼ばれる事件での新聞沙汰である。 そして事件が起こるまでの経

    実録が現実を喰う!『映画の奈落』北陸代理戦争の仁義なき場外戦 - HONZ
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    frothmouth 2014/07/21
    頂きの先には奈落があり、奈落の底には花道があった。「実録映画」と「実際の事件報道」と「ノンフィクション書籍」、現実を取り巻く3つのメディアを重ね合わせることによって見えてくるのは、人間の浮き沈みの「真
  • 東北が日本を支える。『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』 - HONZ

    今ここに、数冊の文庫がある。角川グループパブリッシング発行、どれも2011年3月以降に印刷されたものだ。私の目には、他の文庫とそれほど違いはないように見える。軽く、柔らかい文庫。しかし、印刷された物語とはまた別の、ある物語を秘めた。今ここにあるこのは、もしかしたら未曾有の大震災を奇跡のように生き残った紙で作られたものかもしれないのだ。 2011年3月11日、14時46分。東北地方を襲った地震と津波。いわゆる東日大震災は、宮城県石巻市に大きな被害をもたらした。石巻市の当時の人口は16万2822人、総務省統計局によれば津波による浸水範囲内人口は11万2276人、石巻市の発表した震災による死者は3270人、行方不明者は436人。数字で見るだけでも、恐ろしいことが起こったとわかる。そしてこの震災は、石巻市にあった日製紙の基幹工場である石巻工場にも、壊滅的な被害をもたらしていた。 敷地

    東北が日本を支える。『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』 - HONZ
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    frothmouth 2014/06/27
    8号抄紙機の復旧、石巻工場の再生の物語がその後どうなったのか、今ここでご紹介するのはたやすい。しかし、止しておきたいと思う。最初から、石巻工場で作られたこの本の紙、一枚一枚をめくりながら、この物語を辿
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    『腸よ鼻よ』11指腸 2018年09月29日 澄み渡る青い空と透き通るような海、白い砂浜のある南の島――沖縄。 この島に生まれ、蝶よ花よと育てられた1人の少女がいた。 彼女の名は島袋全優。 漫画家を志し、いずれは大都会東京での タワーマ...

    マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー
    frothmouth
    frothmouth 2014/06/11
    全共闘や安保闘争にシンパシーを寄せていた世代にとって、この事件が単なる仲間殺しであっていいわけがない。そうして連合赤軍事件は何かしら深遠な意味をもつ事件として奉られることになった
  • 思考こそが世界を救う 『ハンナ・アーレント』 - HONZ

    まず、ここ数年の間に読んだなかで、いちばん感銘をうけたといっておこう。憲法改正に、在日差別に、いろいろなバッシングに、新しい視点を与えてくれた。人間の『複数性』が重要であると。そして、『思考欠如』は罪悪であると。 ハンナ・アーレント。どれくらいの知名度なのだろう。恥ずかしながら、昨年、この名を冠した映画を見るまで、その業績はおろか名前すら知らなかった。タイムラインで何人もが絶賛している映画を観に行った。しばらく席をたてないくらい息がつまるような内容であった。 ナチス親衛隊の一員として数百万人のユダヤ人を収容所に送ったアイヒマン。1960年に亡命先のアルゼンチンにおいてイスラエルの諜報機関モサドによって拘束、エルサレムに送還され、裁判をうける。アーレントはその裁判を傍聴し、ニューヨーカーにレポートを書く。しかし、その内容ゆえに、ユダヤ人の友人すべてを失う。 これが映画のあらすじだ。自分自身

    思考こそが世界を救う 『ハンナ・アーレント』 - HONZ
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    frothmouth 2014/05/28
    棟方 志功 「思考だけではだめです、胸と肩もいります」
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    『腸よ鼻よ』11指腸 2018年09月29日 澄み渡る青い空と透き通るような海、白い砂浜のある南の島――沖縄。 この島に生まれ、蝶よ花よと育てられた1人の少女がいた。 彼女の名は島袋全優。 漫画家を志し、いずれは大都会東京での タワーマ...

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  • 『真実 新聞が警察に跪いた日』 - 栄光からの転落 - HONZ

    時代がいくら変わっても、新聞には変わらない役割があります。その重要な 一つが権力監視、権力チェックではないでしょうか。権力監視の力は弱くなってきたと言われていますが、読者のためにも権力監視の役割を放棄するわけにはいきません。北海道警察の裏金問題の報道は、まさにそうした、新聞来の役割を取り戻すための作業でした。 2004年10月、書の著者・高田昌幸氏が北海道新聞取材班の代表として、報道界最高峰と言われる新聞協会賞を受賞した時のスピーチである。このときの「北海道警裏金問題追及キャンペーン」は素晴らしい仕事であった。一連の調査報道は、このほか日ジャーナリスト会議大賞、菊池寛賞も受賞し、北海道新聞の勇名を日中に轟かせた。事件の取材においては警察との「友好関係」が欠かせない警察記者クラブの記者たちが、よくぞ踏ん張って戦ったものだなあと、私も当時感心した記憶がある。 かっこいいなあ新聞記者。頼

    『真実 新聞が警察に跪いた日』 - 栄光からの転落 - HONZ
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    frothmouth 2014/05/24
    警察もメディアも腐ってたら庶民はどうしたらいいのやら
  • この写真から目を背けてはいけない『フォト・ドキュメンタリー人間の尊厳』 - HONZ

    最初はちょっとした好奇心からだった。アメリカ・ペンシルバニア州の大学に通う林典子が、大学の掲示板に貼りだされていた「西アフリカ・ガンビア、研修参加者を募集」の掲示に興味を持ち、参加を申し込んだのは2006年1月。大学3年の春学期になったばかりのことだ。 ガンビア共和国は大西洋とセネガルに囲まれた細長い国土で人口は180万人ほど。その年の5月に教授の引率で入国し、行政機関を視察しアフリカ政治について授業を受けたのち、彼女ひとり帰国を遅らせ、現地の人と暮らすことにしていた。 ガンビアは1944年に軍事クーデターが起き、ヤヤ・ジャメ大統領が独裁政治を敷いている。拷問や違法逮捕など人権侵害が頻繁に行われ、報道管制が厳しいなか、林は独立系の新聞「The point」に押しかけて記者として採用された。驚くべき行動力というか、若さゆえの無鉄砲というか。この持って生まれた気質が、彼女を大きく成長させてい

    この写真から目を背けてはいけない『フォト・ドキュメンタリー人間の尊厳』 - HONZ
  • 『リヒトホーフェン日本滞在記―ドイツ人地理学者の観た幕末明治』by 出口 治明 - HONZ

    長い間、鎖国の殻に閉じ籠っていた幕末明治期の日は、当時わが国を訪れた外国人の恰好の好奇心の対象となった。彼らは実に多くの著述を残した。僕が覚えている「名作」だけでも軽く10指近くになる。オールコック「大君の都」、ハリス「日滞在記」、イザベラ・バード「日奥地紀行」、アーネスト・サトウ「外交官の見た明治維新」、ヒュースケン「日日記」、モース「日その日その日」、ケンベル「江戸参府旅行日記」、等々。 また、これらの合せ鏡として、渡辺京二の「逝きし世の面影」という忘れ難い「名作」も生まれた。このように、類書はもう十分読んだはずなのに、なぜ書を手に取ったのか。著者が「シルクロード」を「発見・命名」したあの大地理学者、リヒトホーフェンだったからに他ならない。 書は二部に分かれている。第1部「使節団旅行日記1860/61」は、著者がプロイセン政府が派遣した通商使節団の団員として、江戸に、短期

    『リヒトホーフェン日本滞在記―ドイツ人地理学者の観た幕末明治』by 出口 治明 - HONZ
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    frothmouth 2014/02/08
    ほむ
  • 『問答有用 ― 中国改革派19人に聞く』 by 出口 治明 - HONZ

    あなたが、隣人にどうしても馴染めないのなら、引越せばいい。しかし、昔の遊牧民ならいざ知らず、国は引越すことができない。どこかで、折り合いをつけるしかないのである。中国で過激な反日デモに遭遇した記者(著者)は問う。「日のなかに根強くあった中国に対する『脅威論』と『崩壊論』に、無視を決め込む『消去論』までじわじわと広がる・・・『反日』のこぶしをふりあげて想像を超えた暴力を働く隣人を、頭と心から消し去ってしまいたくなる・・・だけど、それで良いのだろうか」と。そこで、著者は、二つのルールを決めて、インタビューを開始する。第一線で活躍している専門家でかつ中国の弱点を率直に話してくれる人、日の専門家でない人。こうして、著者は19人(うち半分強は共産党員)のインタビューをなし終えた。書は、その記録である。 読み始めて、正直なところ、びっくりした。要人にも係らず、あまりにも、率直な言説が次から次へと

    『問答有用 ― 中国改革派19人に聞く』 by 出口 治明 - HONZ
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    frothmouth 2013/12/30
    ほむ
  • 『古代道路の謎』新刊超速レビュー - HONZ

    1995年、東京都国分寺市で長さ340mの幅12mの道路が発掘された。造られた時代は約1300年前の飛鳥時代。そして驚くべきことに、この巨大道路は寸分の狂いもなく一直線に造られていたのである。 その後の調査の結果、現在では、7世紀ごろには日中を張り巡らす巨大道路網が建設されていたことが判明している。東北から九州までの長さ約6300kmもの距離を、最大幅30mで敷設するというまさに巨大道路だ。田中角栄議員立法により実行された1966年の高速道路計画は6500kmであるから、それと同じ規模の距離をより幅広で建設していたことになる。 いったい誰がいつ何のためにそんな巨大プロジェクトを遂行したのか。驚くべきことに、これほど巨大プロジェクトにも関わらず、実はこの国家的規模の大規模事業がなされた理由はまだ正確に分かっていない。文献史料には何も記されていないのである。書はそんな「謎の巨大国家プロジェ

    『古代道路の謎』新刊超速レビュー - HONZ
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    frothmouth 2013/04/08
    祭祀的な?
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