6月の政府軍の空爆で深刻な被害を受けた、シリアのマアッラト・アン=ヌウマーンにある考古学博物館。16世紀の隊商宿を利用していた。(PHOTOGRAPH BY GHAITH OMRAN, AFP, GETTY IMAGES) 過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘員がシリアの遺跡を破壊・爆破する映像が、世界を震撼させている。だが、米国の考古学者が改めて衛星画像を分析したところ、その目立った行動によって、被害の実態認識があいまいになっているかもしれないという。 チームは紛争地域にある1450カ所の遺跡の衛星画像を分析、およそ4分の1が2011年に始まった内戦で略奪・破壊されていることがわかった。 略奪や破壊に遭った遺跡のうち、半数以上はクルド人勢力に続いて台頭した反政府勢力の支配地域にある。いっぽうIS(別名ISIS、ISIL)が主張する破壊は全体の4分の1で、残りがアサド大統領の制御下にある