手稿が見つかった聖カタリナ修道院。エジプト北東部、シナイ半島にある。(PHOTOGRAPH BY UIG, GETTY IMAGES) 歴史上、ヒポクラテス以上に有名な医者はいないだろう。今日でも多くの医学生が、医療倫理の原則をうたった宣誓文「ヒポクラテスの誓い」を立てる。 その生涯について詳細は不明だが(彼自身が宣誓文を書いたのか、写本の一部なのかさえ議論がある)、古代ギリシャで活躍したヒポクラテスは「西洋医学の父」と広く認識されている。 そんな人物による処方せんの1つが発見されたかもしれない。現役のものでは世界最古の図書館を修復作業中のことだ。 削り取られた文字 発表によると、エジプト北東部、シナイ半島にある聖カタリナ修道院で、図書館の修復作業にあたっていた修道僧が、処方せんの記された6世紀の手稿を発見したという。調査にはギリシャの研究者のほか、エジプトとギリシャの政府が協力しており、