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ブックマーク / tojikoji.hatenablog.com (10)

  • 【書評】科学の進歩がもたらしたディストピアの歴史『禍いの科学 正義が愚行に変わるとき』 - Under the roof

    禍いの科学 正義が愚行に変わるとき 作者:ポール・A・オフィット 発売日: 2020/12/08 メディア: Kindle版 グロテスクな装丁に『禍い』なんて禍々しいタイトルだったので、戦争や兵器の凄惨な歴史を紐解くかな〜なんて手に取ったら全く違った。 書は「優生学」や「アヘン」「マーガリン」などの、科学により生み出された、人類にとって有益になると信じられたものが、実は禍と呼ぶべきとんでもない悪影響を及ぼしたものについて、歴史的・科学的に詳しく解説したものだ。 当に人類のための科学的なものだったの?センセーショナルな書き方をして強烈な印象付けしてない?って思ってしまうくらいに全章とも強烈。特に驚いたのがロボトミー手術の章だ。 脳に直接アイスピック ロボトミーとは、1930〜40年代頃、主にアメリカで行われていた「精神病の治療目的の手術」だ。主に脳の前頭葉白質切除という、脳の一部に直接

    【書評】科学の進歩がもたらしたディストピアの歴史『禍いの科学 正義が愚行に変わるとき』 - Under the roof
  • 【書評】カモノハシのスペックと歴史『カモノハシの博物誌~ふしぎな哺乳類の進化と発見の物語』 - Under the roof

    カモノハシの博物誌~ふしぎな哺乳類の進化と発見の物語 (生物ミステリー) 作者:浅原 正和 発売日: 2020/07/13 メディア: 単行(ソフトカバー) 皆さんご存じ、カモノハシ。 でも、実際はカモノハシについてどれくらいのことを知っているだろうか。 変わった見た目、哺乳類なのに卵を産む、オーストラリアに生息、あたりが基中の基情報だろうか。そして、哺乳類・鳥類・は虫類といった生物の分類上の「例外」として扱われる存在でもある。 カモノハシっていう名前も覚えやすいし、「哺乳類なのに、卵」という例外のパターンも覚えやすい。見た目もどことなく愛らしいので、「自分はカモノハシが嫌いで見るのも嫌だ!」なんて人にも会ったことはない。 だけど、その生態についてどこまで知っているか?というと、意外と研究の進んでいない生物なのだそうだ。カモノハシ自体はとてもデリケートな生物で、オーストラリア以外での

    【書評】カモノハシのスペックと歴史『カモノハシの博物誌~ふしぎな哺乳類の進化と発見の物語』 - Under the roof
  • 【書評】そりゃ絶望もするし発狂もする『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』 - Under the roof

    アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した 作者: ジェームズ・ブラッドワース,濱野大道 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2019/03/13 メディア: 単行(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 「ワープア」って言葉、なんかあんまり聞かなくなってきたのは気のせいだろうか。 格差は広がる一方なので、ワープアだと響きが軽すぎて使わなくなったのだろうか。低賃金労働の問題は、むしろどんどん大きくなっていると思うんだが… 書は日ではなくイギリスのワープア、最低賃金労働者たちの現状について、著者自身が実際にその現場で働き知り得たことを綴った、実体験に基づくルポタージュだ。 ただの頭でっかちなノンフィクションではなく、実際の経験を元に書かれているので、経験者にしかわからない細かなストレスや心理状況についても描写されているのが面白い。 例えば第1章では、著者はアマゾンの巨大倉庫で

    【書評】そりゃ絶望もするし発狂もする『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』 - Under the roof
    fumirui
    fumirui 2019/11/14
  • 【書評】世界は、イメージよりもかなり良くなってます『 FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』 - Under the roof

    FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和 出版社/メーカー: 日経BP社 発売日: 2019/01/11 メディア: 単行 この商品を含むブログ (1件) を見る まず、書の冒頭で「クイズに答えてみよう」ということで以下のような3択問題が出される。 【質問1】 現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を終了するでしょう? A.20% B.40% C.60% 【質問2】 世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう? A.低所得国 B.中所得国 C.高所得国 【質問3】 世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう? A.約2倍になった B.余り変わっていない C.半分になった こんな感じの

    【書評】世界は、イメージよりもかなり良くなってます『 FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』 - Under the roof
    fumirui
    fumirui 2019/02/27
  • 【書評】うわっ…この人のサメ好き、ヤバすぎ…?『ほぼ命がけサメ図鑑』 - Under the roof

    ほぼ命がけサメ図鑑 作者: 沼口麻子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/05/10 メディア: 単行(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る 前回読んだ、【書評】ドM科学者の異常な愛情『蜂と蟻に刺されてみた』 - Under the roof に続き、また読んでしまった「生物学者の異常な愛情」シリーズ。今度はサメ。 確かにサメは魅力的で面白い生きものだ。 我が茨城県にはサメの展示数日一を誇る「アクアワールド大洗水族館」があり、巨大水槽で泳ぐサメたちを見るのは当に素晴らしい。子どもを連れて行ったのに、大人のほうが夢中になって眺めてしまう魅力がある。 で、書はサメ好きが過ぎて自らを「シャークジャーナリスト」と名乗る著者による、丸々一冊サメについて書かれた。 生物としてのサメの解説だけではない。「ジャーナリスト」らしい日海外の海で実際に潜って調査したサ

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  • 【書評】ドM科学者の異常な愛情『蜂と蟻に刺されてみた』 - Under the roof

    蜂と蟻に刺されてみた―「痛さ」からわかった毒針昆虫のヒミツ 作者: ジャスティン・O・シュミット,今西康子 出版社/メーカー: 白揚社 発売日: 2018/06/07 メディア: 単行 この商品を含むブログ (1件) を見る 個人的に、『生物学者の異常な愛情シリーズ』と呼んでるたちがある。 『バッタを倒しにアフリカへ』や『動物になって生きてみた』がその代表。 研究対象に対する驚異的な執念や、溢れすぎてしまった愛情により生まれる「大群で飛んでくるサバクトビバッタに身をさらしてべられたい」や「アナグマになって森の中で穴を掘ってミミズをべて生活してみた」といった、ぶっ飛んだ性癖じみた行動や妄想。いろんな意味で振り切っていてやばい。常人ではついていけない世界。だが、ついていけない世界だからこそ、そのドアの先の景色が見れて面白くて、読んでよかったと思えるたち。 で、書もそういった『生物学

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  • 2018年上半期に読んだ本のベスト - Under the roof

    もう2018年半分終わるのか… ついこの間息子にクリスマスプレゼント渡したばかりの気がするし、4月に子どもたち3人とも保育園で進級したから既に新しいクラスになって3か月たつのに、いまだに前のクラスに連れて行きそうになるしで、いまだに体が2018年に慣れてない。 ただ、個人的に半年に一度のルーティーンとして上半期下半期それぞれで読んだのおススメをまとめることにしているので、今回も少ないながらフィクション、ノンフィクションそれぞれを3冊ずつ、印象に残ったたちを紹介したい。 まずはフィクション ◆Ank: a mirroring ape Ank: a mirroring ape 作者: 佐藤究 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/08/23 メディア: 単行 この商品を含むブログ (5件) を見る 2026年、京都。テロや略奪行為ではなく、「人がそれぞれお互いに殺し合う」という

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  • 【書評】中国のSF作家はどれだけ未来を見ているんだよ…『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』 - Under the roof

    折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 5036) 作者: 郝景芳,ケンリュウ,牧野千穂,中原尚哉,大谷真弓,鳴庭真人,古沢嘉通 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2018/02/20 メディア: 単行(ソフトカバー) この商品を含むブログ (3件) を見る 『紙の動物園』『母の記憶に』の両方がとんでもなく面白かったケン・リュウが選出したSF短編集。で、これもまた全作品ハズレなしの最高の短編集だった。 そもそも中国SFとはなんぞやと。SFの世界に中国風のドラゴンや拳法とかが出てくんのかななんて安易な発想してたんだが、こんな想像に対して書冒頭においてケン・リュウ自身が「序文」として、 “100人のさまざまなアメリカ人作家や批評家に、"アメリカSF"の特徴を挙げるよう頼むところを想像してみてください──100の異なる回答を耳にするでしょう。おなじこと

  • 【書評】「面白さ」が濃縮された小説『ゲームの王国』 - Under the roof

    ゲームの王国 上 作者: 小川哲出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/08/24メディア: 単行この商品を含むブログ (6件) を見る ゲームの王国 下 作者: 小川哲,mieze出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/08/24メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る 凄い。こういうがあるから読書はやめられない。 ベストセラーでも、メディア絶賛にもなっていなかったと思う書。だが、様々な有名レビューサイトで大絶賛されていたので、まあこれは間違いないんだろうなと思って期待に胸を膨らませて読んでみたらそりゃもう凄いのなんの。 内容についてのレビューは、もう『ゲームの王国 レビュー』とかで検索してもらったほうがいいくらい、いろんなサイトで書き込まれている。正直ここで改めて書くこともないくらい。黙って読め!が正解かと。 ただ、より楽しく読むために、ある程度知

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  • 【書評】SF+ミステリー+疾走感『ここから先は何もない』 - Under the roof

    ここから先は何もない 作者: 山田正紀 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2017/06/20 メディア: 単行(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る エンタメ小説として一級品。 完成度云々じゃなくて、ミステリー色の高いSF設定の謎が、疾走感あるストーリーの展開とともに解けていく様は面白くて止まらなくなる。ボリュームはあるが、あっという間にストレスなく読み切れてしまう、まさにジェットコースター小説。 日が打ち上げた小惑星探査機は、火星近郊の小惑星『ジェネシス』にてサンプル回収するはずが、なぜか別の小惑星『パンドラ』へ着陸。そして回収したサンプルから発見されたのは、なんと『エルヴィス』と名付けられた化石人骨だった。なぜ、探査機は別の小惑星へと目標を変え、しかもその小惑星には人骨が埋まっていたのか… めちゃくちゃワクワクするプロットだけど、なんか既視感。 そう、

    【書評】SF+ミステリー+疾走感『ここから先は何もない』 - Under the roof
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