至誠と愛に生きる 私が東京女子医科大学の前身である東京女医学校を創立したのは明治33年でありますが、当時いかにも低かった婦人の社会的地位を向上せしめようとしたのが動機であります。婦人の地位を向上せしめるには、まず婦人に経済的能力をあたえなければならず、それには自分が医師でもあるし、また、医学医術は婦人に適している立派な職業でもありますから、これを専門に教育する機関を創立することを考えたわけであります。また、私が学びました済生学舎は共学のため風紀が乱れ、そのため女子の入学を拒絶するようになりましたことも私が女子のみの医育機関の必要を感じた動機の一つでもあります。以上のべましたことが創立の根本趣旨のあらましであります。したがいまして、私の考えの根底にあるものは医学ではなくて婦人であります。もし医学教育のみに眼をそそぐならば共学の方が有利かも判りません。また、病院の経営のみを考えたならば共学の卒