シベリウスのヴァイオリン協奏曲から始まる。 クラシック音楽の文章を少しでも読もうとした人であれば誰であれ吉田秀和という人がいて、その文章がまた一定の権勢の評価の元、いわば文芸評論の神様としての小林秀雄に対峙する音楽評論の神様としての吉田秀和という構図のようなものがある程度、確立されていることはご承知の通りでしょう。 小林秀雄は『本居宣長』や『ドストエフスキーの生活』と並んで『モォツァルト』がその代表的な評論として数えられている。小林秀雄の文章はしばしその断定的な言い回しや結論付けなどから中野重治がさんざっぱら批判の対象としてきたけれど、このスタイルは彼の口に言わせれば「評論とは己の夢を懐疑的に語ること」(『様々なる意匠』)とあるように、いわば小林自身の主観に立つ世界の見え方そのものを彼の言葉を通じて表現しているのだから、断定的にな表現の折々は仕方のないことなのだろうと正当化したりもしている
紹介 ルネサンス期の楽譜が読めるようになる古楽愛好家待望のテキスト 15・16世紀ルネサンス音楽で使用された「白符計量記譜法」の解読は、五線譜に慣れ親しんだ現代人には難しい。長年中世音楽合唱の普及に尽力した西洋音楽史学者が、ルネサンス期の楽譜を原典で歌う上で必須の知識を、豊富な実例・譜例を交え初学者向けに解説。 【目次】 その1 音符・休符 その2 完全/不完全分割、不完全化・2倍化① その3 不完全化・2倍化②、黒符 その4 不完全化・2倍化③ その5 リガトゥラ(連結音符)① その6 リガトゥラ(連結音符)② その7 ムジカ・フィクタ(半音変化) その8 プロポルツィオ(比例) その9 セミブレヴィスの3分割 その10 完全分割と完全分割(3×3) 目次 その1 音符・休符 その2 完全/不完全分割、不完全化・2倍化① その3 不完全化・2倍化②、黒符 その4 不完全化・2倍化③ その
ハイドンの作品3は、現在では偽作とされている。それ以来演奏機会は激減し、現在に至るまで古楽演奏の録音もない。これはとても不当なことである。特に3‐5の「セレナーデ」は、ハイドンの代表曲の一つのように言われていたのに、偽作説が普及してからはほとんど演奏されなくなった。 しかし「セレナーデ」は名曲である。吉田秀和は、『私の好きな曲』(初版1977年)の「ハイドン『弦楽四重奏曲』作品64の5」において、自分がハイドンの弦楽四重奏曲を評価するきっかけとなったのは、高校の時にSPレコードで聞いた「セレナーデ」だったと語っている。しかし同じ文章で吉田は、「最近になって『セレナーデ』ともども作品三全体の信憑性が問題視されてきたこと」を知ったことを告白し、「「私のハイドン」の土台となった作品は、実はハイドンのものではなかったかもしれないというのである。/では「私のハイドン」とは何か?/それが書けたら苦労は
「古楽」の演奏家であり、フルーティストでもあるミュージシャンの柴田俊幸さんにお話を伺う機会を得た。実は柴田氏と筆者は、ニューヨークで知り合い、友人になったのだ。彼はニューヨークでの勉学と音楽活動の時期を経て、ベルギーに活動の場を開いた。香川県出身で「たかまつ国際古楽祭」の監督として、日本に「古楽」を広めている旗手だ。 大阪大学での勉学を捨て、単身ニューヨークで音楽家への道を切り開き、ベルギーで「古楽」と出会った。彼に「古楽」とは何か、その楽しみ方を聞く。敷居の高かったクラシック音楽が、実は神社の祭礼でも聞く雅楽や、また盆踊りのような農民音楽とも接点があると知った、素晴らしい機会だった。 「古楽が新しい」という逆説的な面白みベルギーというと何を思い浮かべるだろう。ワッフルかフランダースの犬か。小さな国の中、フランス語、ドイツ語、オランダ語など多言語が使われ、つまりその言語に付随する文化も入り
古楽器とピリオド奏法 小池はるみ 「バロックヴァイオリンの勉強を始めてもうすぐ2年になります。プロとしてモダンで長く活動してきましたが、バロックに関しては知らないことばかり。何もかもが手探りでしたので、まず山本徹さんにアンサンブルレッスンをお願いし、徹さんに寺神戸亮先生をご紹介いただいて本格的な勉強が始まりました。 レッスンではいつも寺神戸先生を質問攻めにし、それに対して先生は、当時の政治的な背景、経済流通状況、人々の価値観、宗教観、文化、美意識、言葉、その他いろいろな要素に言及しながら熱心に教えて下さいました。他にも古楽セミナーで渡邊慶子先生や、先輩方、また楽器屋さんからも色々教えていただきました。これらの知識を、私が勉強を始めるきっかけとなったターフェルの皆さんに少しでもお分かちできれば嬉しく思います。まだまだ初心者なのでもしかしたら間違って覚えてしまったことがあるかも知れません。
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■内容紹介 楽譜校訂の神話を解体する古楽から現代音楽、オペラや交響曲まで- 実践の歴史をたどりつつ、校訂の諸原則を抽出。 方法論を発展させる理論的枠組みを提案する。 ***** 楽譜の校訂について、音楽における「本文批判」の見地から、その歴史、方法論、実際の適用における諸問題をコンパクトにまとめた貴重な書。 いわゆる原典版・実用版・正統性といったことも何度も触れられており、楽譜のユーザー(演奏者/研究者)には必読の内容となっている。さらに興味深いのは、楽譜校訂そのものが実に創造的でスリリングな営みであることを現場からリアルに描きだしていること。そして「音楽にとって楽譜とは何か」という本質的な問いを投げかけていることである。 はじめに校訂理論の歴史的な展開と、楽譜の特殊性について触れ、続いて実際の校訂の手順にのっとりつつ、以下のような話題が取り上げられる。(1)音楽史料の性質と校訂の下準備、
「著名古楽作品の誕生の背景にはこんなシーン(出来事)があった?!」「バッハ以前にもこんなに面白い作曲家がいた!」。中世・ルネサンス~バロックの主要作品を網羅した、楽しく読める「古楽・バロック音楽入門」。『レコード芸術』人気連載の書籍化。「古楽は面白そうだけれど、音楽史の勉強のようでどうも堅苦しい」、「どれを聴いても同じように聴こえてしまう」、「歴史小説やエッセイはよく読むし、古い絵画にも関心はあるけれど、音楽に結びつかない」。そうした音楽ファンに向けて、古楽をもっとリアルな生きたものとして紹介。実際のエピソードをもとに創作した「ある一夜の空想のシーン」から各話を開始し、著者ならではのわかりやすい言葉で優しく語りかける「古楽・バロック音楽入門」。古楽が苦手な音楽ファンにも手に取りやすく、中世・ルネサンス~バロック期の主要作曲家が網羅されているので、『古楽作曲家・作品事典』としても最適な一冊。
こんにちは!note更新担当のたぬ子です。 今回は、チェンバロ・古楽ハープ奏者として全国各地で演奏されている、曽根田駿そねだはやおさんに、楽器を始められたきっけや、2種類の楽器を演奏することについてお伺いしました。 [プロフィール] ■氏名 曽根田 駿(そねだ はやお) ■ジャンル 音楽(チェンバロ、古楽ハープ) ■連絡先 Mail:event.hs831.cembalo@gmail.com ■経歴 愛媛県松山市出身。東京芸術大学音楽学部器楽科チェンバロ専攻卒業。 2015年より渡仏しリヨン国立高等音楽院CNSMDLのチェンバロ専攻、古楽ハープ専攻で演奏家ディプロマを取得した。 2020年に同校のチェンバロ(通奏低音/コレペティ)専攻修士課程を修了し完全帰国した。2020年度フランス音楽芸術著作権管理協会アダミADAMIより奨学金を受ける。 ピアノを冨永啓子氏、チェンバロを石川陽子、大塚直
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