アメン父 (講談社文芸文庫) 作者: 田中小実昌出版社/メーカー: 講談社発売日: 2001/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (16件) を見る そんな呉の町だが、中学校や女学校より上級の学校、専門学校もなかった。広島には旧制高等学校、高等工業学校、高等師範、文理科大学もあったのにくらべると、ひどいちがいだ。人口がおおいばかりで、つまりは、よそ者があつまった町、伝統や文化のかおりなどは、まったくないような町だった。 「伝道をするのには、こんなわるい町はないな」と父がわらっていたのをおぼえている。ただし、くりかえすが、父はわらって言った。 (田中小実昌『アメン父』講談社文芸文庫p.12.) 山の中腹にこの家をたてて引越してきたのは、ぼくが小学校の一年生のときで、この落書きみたいでチャチな欄間が、ぼくは恥ずかしかった。でも、お寺の子供だって、いろいろ恥
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