みなさんはきっとどこかで、とても写実的に塩ジャケを描いた縦長の油絵をみたことがあるにちがいない。縄でぶらさげられ、半身の一部を切り取られて赤い身がみえる、そんな鮭図を。 何のためにここまでリアルに塩ジャケを描きこまなければいけないのだろうか、と不思議に思いながらも、塩ジャケに寄せる画家の熱い想いが伝わってきて、感動した覚えがあるのではないだろうか。じつはこれには、「西洋画事始め」ともいえる興味深い話がある・・・ 塩ジャケを描いた図は、10枚以上もあるといわれ、明治の初めに制作された。描いた画家も一人ではないと考えられるが、すくなくとも元祖は高橋由一という日本人洋画家である。そこに実物があるのかと勘違いしてしまうほどリアルな油絵を制作することは、西洋美術の長い伝統になっていたが、幕末の頃、その西洋画を見て、日本美術にない生々しいほどのリアリティーに驚いたのが高橋由一だった。江戸の洋書調所画学
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