『ウルトラマンになった男』(古谷敏著・小学館)より。 (「ウルトラマンの中の人」だった、俳優・古谷敏さんが撮影当時のことを振り返って書かれた本の一部です) 【もう一つのポーズの話をしよう。ウルトラマンの最も有名なポーズとなり、日本中の子どもたちがまねをしたあのポーズも、初めてやった時は特に意識したわけではなかった。だから最初に演じたときも飯島監督に何気なくこう聞いた。 「この型は今回だけですか?」 でも、僕の予想に反して監督はこう答えた。 「いや、ウルトラマンが敵と戦って相手を倒す、最大の武器にしたい、そして毎回使いたい」 このスペシウム光線のポーズを決めるのも、とても大変だった。ウルトラマンに入ってすぐのことで、僕は苦しくてしょうがなかった。必殺の光線をどんなポーズで撃つのか? 撮影の合間に監督の指示でいろいろなポーズを試してみた。 一度型ができると、そのたびに高野カメラマン、中野稔さん