国内最大のカルスト台地「秋吉台」の地下で、幻想的な世界を織りなす大規模な鍾乳洞「秋芳洞」(山口県美祢市)。学術的価値の高さから国特別天然記念物に指定される一方、中国地方屈指の集客力を誇る観光資源でもある。しかし、この名勝で深刻な問題になっているのが洞内の“緑化”。観光用の照明が、本来存在しない植物を育ててしまっているのだという。「環境」と「観光」という一見、相反する命題に悩んできた地元・美祢市は今年度、洞内の照明を“エコの光”として注目されるLED(発光ダイオード)に全面的に切り替える事業に着手する。(山口支局 小林宏之) 太陽光なし、暗闇に貴重な生態系 「太陽光が届かず、暗闇が延々と続く秋芳洞の中は、気温は年間を通じて17度前後で一定。このため、植物は育たず、洞内だけに住む固有の生物が50種以上も見つかっている。独特の貴重な生態系が形作られているんですよ」 秋吉台、秋芳洞の自然を見守り続