米連邦最高裁判所が、人工妊娠中絶の権利を合憲と認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」。この歴史的な判決を覆す見通しの最高裁の草案が、米ニュースサイト「ポリティコ」にリークされ、アメリカが騒然としている。 最高裁判事の意見草案が流出するのは異例とあって、日本でも複数のメディアが報じているが、日本人にはその背景がわかりにくい。そこで、「ロー対ウェイド判決」の歴史と重要性について、米紙「ワシントン・ポスト」の解説記事で読み解いてみよう。 歴史的な判決、覆される可能性 1970年5月22日、「ジェーン・ロー」と名乗る妊婦の弁護団が、テキサス州ダラスの連邦裁判所で、母体の保護以外の中絶を禁止した州法に異議を申し立てる訴訟を起こした。これが「ロー対ウェイド」の始まりである。 それから1973年1月22日に画期的な判決が下されるまで何が起きたのか。ジェーン・ローとは誰で、その後どうなったのか。この歴史