届かなかった獄中からの手紙 気候についての失われた手紙がどうなったのかは、誰にもわからない。わかっているのは以下のことだけだ。 エジプトでもっとも注目を集めている政治犯の一人であるアラー・アブドゥルファッターフが、9月、カイロ刑務所の独房でのハンガーストライキ中にその手紙を書いた。のちに彼が説明したところでは、その手紙は「パキスタンのニュースをきっかけに地球温暖化について書いた」ものだった。3300万人に避難を強いた洪水について、そしてその大洪水が予告している今後の気候変動による苦難と国家による乏しい対応について、彼は憂慮していたのだった。 先見的な技術者・知識人として、アブドゥルファッターフのファーストネームは、#FreeAlaa(アラーに自由を)というハッシュタグとともに、2011年の民主主義革命の代名詞となった。その革命は、カイロのタハリール広場を若い人々の押し寄せる海原へと変え、エ