前回(「クルマが「自律的」に走るとき、自動車業界はどうなっているのか」)は、ITS(Intelligent Transport Systems)の現状と、今後、自動車業界と社会全体はどのような受け入れ態勢をつくらなければならないのかについて述べた。今回はITSの技術的課題について見ていく。 自動車という複雑な機械を操って、道路(ではない場所であっても踏破が可能であれば)を走ることを可能にする「多機能センサー」「認知判断を行い制御の内容を決めるプロセッサー」「機能操作アクチュエーター」が一体になった“人間”という制御システムは、一瞬の中で極めて複雑な作業を簡単にこなす。これを人工物で置き換えるのは非常に難しい。 しかしこの「人間という多能・制御システム」には弱点もある。1つは個々の能力や習熟度のレベルが様々であって、そのばらつきの幅が大きいこと。そしてもう1つは、時々ミスや機能低下を起こし、
道路や河川の維持管理や運用では、これまで構造物や現場に人が近づいて点検や計測などを行うケースが多く、足場の設置必要だったり危険が伴う作業だったりした。そこで無人ヘリコプターや高性能カメラ、画像処理を活用し、人が現場に近づかずに点検作業ができるシステムが登場している。 最近、ドラマやコマーシャルなどで、低空を自由自在な視点に移動しながら建物や人物、風景などを撮った映像を目にしたことはないだろうか。これはCGなのか、カメラクレーンで撮ったのかと不思議に思う映像だが、実際にカメラを使って撮影されているものが多いのだ。 安定して低空撮影できるマルチコプター この映像はいったい誰が撮影をしているのだろうか。正体は、複数の回転翼(ローター)がついた「マルチコプター」というラジコンヘリだ。機種によっては2kgのものを吊り上げる能力があり、動画撮影機能付きのデジタル1眼カメラなどを積んで、映像を撮影してい
モデリング 技術 技術-Technology 三角原型 - 「洋裁CAD(桃CAD)」の開発者である工房奥谷氏による性別体格を... 2024-07-25 『立体裁断アプリ』や『桃CAD(洋裁CAD)』の開発者である工房奥谷(@tomosan119)氏による、性別体格を問わず理論上は補正が不要になる原型型紙製図法「三角原型」の技術論文「3D 人体計測データを基にした適応的なゆとり量の個別型身頃原型の開発」と動画が公開されています。 続きを読む ソフトウェア&ツール-Software&Tool テクスチャ ソフト Height Lab 1.2.3 Beta - 数式レイヤーを重ねて視覚的にわか... 2024-07-23 Little Dreamer Gamesによる数式レイヤーを重ねて視覚的にわかりやすく確認しながらハイトマップ&法線マップを生成する専用ツール「Height Lab」がSt
2010年11月03日 Web上の膨大な画像に基づく自動カラリゼーション Tweet 以前『Web上の膨大な画像に基づく自動画像補完技術の威力』において、Web上の膨大な画像から欠損部分を自動的に補完する手法*1について紹介した(図1)。 図1:Scene Completion Using Millions of Photographs これは、Flickr等から大量にかき集めてきた画像から類似度の高い画像を自動的に抽出し、欠損部分にハメ込むことで違和感の無い補完画像を生成するアプローチであり、そのアイデアと、生成される補完画像のクオリティが話題になった。素材の量が質に変化する、まさにWeb時代に適したアプローチである。 本エントリでは同様の手法を用いて、失われた色を取り戻すカラリゼーション(colorization)について紹介したい。カラリゼーションとはコンピュータを用いたモノクロ画像
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は,画像を高速に拡大・縮小できる画像処理技術「PlayView(プレイビュー)」について,「CEDEC 2010」(会期は2010年8月31~9月2日)で講演した。これまで同社が「高画質画像拡大技術」として開発を進めてきたもので,既に同技術を利用したコンテンツを一部,PS3ユーザーに提供している。 登壇したSCE SVP 兼 ソフトウェアソリューション開発部 部長で,戦略企画部 担当部長の豊 禎治氏によれば,PlayViewはそもそも「10億画素を超える画像をさくさく見たい」(同氏)との思いから開発に着手したという。 講演では,PlayViewを搭載したプレイステーション3を使い,ジェスチャー・コントローラ「Play Station Move モーションコントローラ」で操作しながら,その動作デモを披露した(図1)。例えば,公園の様子を撮影した
カメラの展示会「CP+」で興味深かったことの一つに,オリンパスによる「アートフィルター」の解説があります。アートフィルターはカメラで撮影直後に,プロ・カメラマンが持つ「作風」に相当する強烈な画像処理を施す機能で,オリンパスが流行させたといえるものです。CP+の技術セミナーでは,同社 SLR商品企画部の寺田利行氏が,開発の経緯などについて講演しました。 それによると,アートフィルターが生まれたきっかけの一つは,広告制作会社との打ち合わせでした。「カメラ・メーカーのサンプル写真って面白くないんだよねぇ」。広告クリエーターが発した言葉を,同社は重くとらえました。メーカーのサンプル写真はいかに解像力が高く,ノイズが少なく,写実的であるかを示すものです。そしてそれは,必ずしも芸術性が高いわけではありません。ユーザーからも「プロ・カメラマンのような作品をつくりたい」という声が上がっていました。 「それ
前回、『写真に基づく3D空間構築手法の到達点』としてバラバラの写真から3D空間を構築する手法について取り上げた。コメントで言及された人もおられたが、MicrosoftはPhotosynthとして、同様にStructure-from-Motion (SfM)を用いて写真をつなぎ合わせ、インタラクティブにブラウズできるPhotosynthを公開している。 Photosynth Overhead View on Vimeo Photosynth + Bing Maps on Vimeo 現在、研究レベルではWeb上にアップされた不特定多数のユーザによる膨大な写真から街一つを再現するプロジェクトが推進されている。その名も"Building Rome in a Day"(ローマを一日にして成す)だ。下の動画はFlickr検索された画像から生成された3Dモデルを示している。本エントリでは、論文*1に基
一昔前は実世界の建築物を元にウォークスルー可能な3D空間を構築しようと思ったら、まず各部屋の形状を計測器を用いて計測し、その計測結果に基づいて人手でモデル化し、領域ごとにテクスチャを貼り、照明を設定して……と気の遠くなるような作業が必要だった。3D空間の構築は極めてコストの高い作業だったが、近年では2次元画像(実写写真)に基づいた3D空間の構築手法が長足の進歩を遂げており、以前に比べれば極めて低コストに3D空間を構築する事が可能となっている。 【告知】Twitterはじめました。@LunarModule7です。 興味のあるかたはフォローくださいとしばらく宣伝。 今ではバラバラに撮影した写真から、全自動で3D空間を構築し、内部を自由にウォークスルーできるようになっている。ワシントン大学とMicrosoft Reseachが2009年に発表した研究*1は現時点における集大成とも言えるものとなっ
現在最高の圧縮効率を誇るAVC/H.264は1GbpsのフルHDTVを10Mbps以下に圧縮できる。1/100以上の圧縮率ということになるが、次世代beyond HDTVの8k4kの空間解像度、60〜300fpsの時間解像度、マルチスペクトルの色表現、10〜16bit/pelの画素値深度、複数視点を考えると情報量は16〜200Gbpsとなるため、ビットレートを100Mbpsまで許容したとしても、圧縮率をさらに10倍は引き上げる必要がある(1/1000以上)。 上記の要求に対し、短期的には従来のAVC/H.264で用いられている動き補償予測とDCTを組み合わせたMC+DCTの枠組みを維持し、改良を積み重ねて圧縮率向上を図るアプローチが取られるが、長期的には従来の枠組みに囚われない新たなブレークスルーが必要となる。本エントリでは、情報処理6月号の解説*1より、画像圧縮技術のブレークスルーの萌芽
画像内に映り込んだ所望のオブジェクトを排除し、違和感の無い画像を生成するシーン補完技術に関しては近年複数の研究成果が発表されている。しかし中でも2007年のSIGGRAPHにて米カーネギメロン大のJames HaysとAlexei A. Efrosが発表した手法*1はブレークスルーとなりうる画期的なものだ。 論より証拠、早速適用例を見てみよう。本エントリで利用する画像はPresentationからの引用である。元画像の中から邪魔なオブジェクト等の隠蔽すべき領域を指定すると、その領域が補完された画像が自動的に生成される。 アルゴリズム 効果は抜群だがアイデア自体は単純なものだ。Web上には莫大な数量の画像がアップされており、今や対象となる画像の類似画像を一瞬にして大量に検索することができる。そこで、検索された類似画像で隠蔽領域を完全に置き換えてしまうことで違和感の無い補完画像を生成するのだ。
The constant hunt for more efficient and useful ways to use these 3d printers keeps turning up interesting results...
「おぉー」。感嘆の声が発表会場に静かに響き渡った。米Apple, Inc.の発表会で起きるような予定調和の声では決してない。筆者を含めた多数の記者が,小さな音圧で自然に,同時に,声を漏らした。 ソニーがカメラの展示会「PMA」の開催前日に催した記者会見で,新型コンパクト機「DSC-HX1」を実演した直後の出来事である(プレス・リリース)。この実演において,同社は本機でパノラマ写真を拍子抜けするほど簡単に撮れることを示して見せた。 手順はこうだ。撮影モード・ダイヤルをパノラマに合わせる。パノラマ写真の端に当たる被写体にカメラを向けてシャッターを切る。カメラを横に振るよう矢印が液晶パネルに出ているので,ユーザーはカメラをさっと横に振る。以上である(後述するように,縦方向も可能)。 パノラマ写真の作成機能自体は,珍しくともなんともない。GEブランドのGeneral Imaging Co.社が89
「Poladroid」は、デジカメ画像をインスタント写真風へ自動で変換するレタッチソフト。Windows XP以降に対応する寄付歓迎のフリーソフトで、作者のWebサイトからダウンロードでき、編集部にてWindows XPで動作確認した。 インスタントカメラと言えば、やっぱりポラロイドだ。そのポラロイド社もインスタントカメラ製品の製造から完全に撤退し、専用フィルムの販売も在庫限りとなる。加えて、インスタントフィルムの使用期限は短いため、いよいよ今年中にはその役目を終えることになりそうだ。 インスタントカメラ最大の特長は、撮影したその場で写真を確認できることだが、その即時性はデジカメでも代用できるし、むしろデジカメのほうが圧倒的に優れている。しかし、インスタント写真がもつ独特の風合いと、インスタントフィルムのあの白い余白は、インスタントカメラならではの魅力だ。 そんなインスタントカメラも愛する
前回は,人間の耳に当たる機能を機械に持たせるための音声認識技術の最新成果を概観した。最終回の今回は,人間の視覚を上回る機能を目指した研究開発を取り上げる。1万フレーム/秒相当の動画を数十mWで実現するという目標を掲げた研究などが進んでいる。連載の目次はこちら。(本記事は,『日経エレクトロニクス』,2008年2月25日号,pp.79-83から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります) 視覚センサ,特にセンサ素子部分は,既にさまざまな撮像素子として他の五感センサに比べて圧倒的に実用化が進んでいる。顔認識や笑顔認識のような画像認識技術も進化を続けている。しかし,その大部分は人間の視覚にいかに似せるかを追求したため,人間の感覚を超える高性能の追求という点では一部を除いて今のところ進展は見られないのが現状である。特に,超高速で動く被写体への対応や情報処理でそれは顕
「Seam Carving GUI」は、“シームカービング”と呼ばれる特殊な画像編集技術を利用できる画像編集ソフト。Windowsに対応するフリーソフトで、作者のWebサイトからダウンロードできる。 “シームカービング(seam carving)”技術とは、画像を解析して色の切れ目を等高線状に切り出し、その切れ目部分を削除したり水増ししていくという特殊な画像加技術。たとえば、通常は縦横比を変えて画像をリサイズすると、被写体もそれに応じてリサイズされ歪んでしまう。しかし、“シームカービング”技術を利用すれば、被写体を歪めずに、背景だけを水増ししたり間引いたりして画像をリサイズすることができるわけだ。 本ソフトは、BMP/JPEG/PNG形式の画像に対応しており、縦横比を変えたリサイズだけなら、画面右側の[Resize Demensions]エリアで画像の高さと幅を指定して[Resize]ボタ
次元を超えた画像解析技術――「Deep Zoom」と「Photosynth」を体験する:Lookup! せんせーしょん(1/4 ページ) いまや我々は日常的にPCを使っている。まるで写真のように高精細な動画を瞬時に表示するハイスペックなPC、そしてそれを映し出すディスプレイは一昔前では考えられないものだ。しかし、映画やアニメに出てくる“コンピュータ”とはどうも違うような気がしないだろうか。 古くは“コンピュータ”といえば研究所に備えられた巨大な筐体の中で磁気ディスクが回り、紙テープで打ち出された計算結果を見て博士が「ヤツの弱点はしっぽだ! しっぽへの攻撃が成功する確率は94%!」とか口走るのが定番だったが、PCが普及し始めるとこの描写も変わってくる。 もちろんその描写は、“コンピュータ”が重要な局面であればあるほど分かりやすい脚色が加えられ、現実離れしていく傾向がある。とはいえ、テクノロジ
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