「2008 Symposium on VLSI Circuits」のSession 12「PLLs and Wireless Transceivers」では,PLLで2件,および1チップ・ラジオを実現するための無線トランシーバに関する2件の発表があった。全発表が大学からであることも特筆すべきところである。
米Avago Technologies Ltd.は,FBAR(film bulk acoustic resonator)技術を使ったフィルタを搭載した,CDMA方式の携帯電話システム用のアンテナ共用器IC「ACMD-7103」を発売する。800MHz帯の携帯電話機用デュプレクサ(送受分波器)と北米のPCS帯(1.9GHz帯)のデュプレクサ,GPS帯の受信フィルタ,およびトリプレクサを集積した。同社では「クィントプレクサ(quintplexer)」と呼ぶ。今回の製品は,特にPCS帯域での挿入損失を低く抑えた。これにより消費電力を低減し,受信感度を高められるとする。CDMA方式の携帯電話機やデータ送受信カード,フェムトセルなどでの利用を想定する。
産業技術総合研究所は,純度を高めた半導体単層カーボン・ナノチューブ(SWCNT)を用いたトランジスタの作製に成功したと発表した(発表資料)。作製したトランジスタのオン/オフ比(オン時とオフ時のドレイン電流の比)は1×105以上であり,キャリア移動度は2cm2/Vs以上という。 今回,高濃度のSWCNTを得られる技術を開発し,トランジスタ作製に用いた。まず,市販のSWCNT原料粉末を共役高分子であるポリフルオレン(PFO)を分散剤として溶液中に分散し,続いて毎分3万回以上という超遠心分離することで,選択的に分離した半導体SWCNTの上澄み液を抽出する。PFOを取り除いた後,半導体SWCNT溶液を基板上にコーティングすることで半導体SWCNT膜を形成している。SWCNT薄膜を用いるトランジスタは,コストが安く,量産性に優れ,大面積化も容易とみられているが,半導体SWCNT以外に金属SWCNTや
米IBMはスイスで現地時間2008年6月5日,3次元(3D)積層LSIのダイの間に水を通して冷やすLSI冷却技術を発表した。ダイの隙間から熱を奪うことができ,発熱の大きな3D積層LSIを効率よく冷やせるという。
「不揮発性を持った論理回路」というのを,ご存じでしょうか。 先日,ロームが発表した「不揮発性ロジック」のことです。2007年にCEATECの同社ブースでも展示されていたので,ご記憶の方も多いかもしれません。 技術的な詳細は日経エレクトロニクスの最新号(2008年6月2日号)の特報欄にてご紹介したので,ぜひそちらをご覧頂きたいのですが,簡単にいうと,「論理回路の中の記憶素子であるレジスタを,電源が切っても内部の記憶データが消えないようにする技術」です。電源を切っても記憶内容が消えない(不揮発性)ということは,論理回路が演算をしていない際に,一時的に電源を切れるわけです。不揮発性ロジックというと取っつきにくい印象を受けますが,いわば待機電力を低減する技術,低消費電力化のための技術といえるでしょう。 ちなみにレジスタというのは,エレクトロニクス業界の技術者の方であればいまさら説明は不用かと思いま
携帯電話機向け撮像素子で世界シェア3位の米OmniVision Technologies Inc.が,CMOSセンサの新製品で,その構造をガラリと変えた。いわゆる裏面照射(背面照射,BSI:backside illumination)技術を採用したのだ。 裏面照射とは,光電変換前に光の損失を大きく抑える技術である。通常のCMOSセンサでは,光電変換を担うフォトダイオードの周りを配線層が取り囲んでおり,しかも配線層は3つほどもある。 この結果,フォトダイオードはCMOSセンサ中の奥底に置かれてしまい,光がフォトダイオードになかなか直接入射しない。少しでも光を多く入射させるには,撮像素子に対して光を垂直に当てることが有効だが,そうするとレンズ・ユニットが長くなってしまう。 「それなら配線層がない裏側から光を当てればいい」。こう考えて生み出されたのが裏面照射技術である。この技術を用いた撮像素子は
NECエレクトロニクスは,高速伝送系で信号の減衰を引き起こす伝送路のインピーダンス不整合に対し,半導体パッケージのインターポーザ中の素子を使ってインピーダンス調整回路を形成し,波形の劣化を抑える技術を開発した。半導体パッケージの設計段階でインピーダンス不整合を考慮できるため,従来の電磁界解析を行いながら設計する場合に比べると設計時間を1/1000以下に短縮でき,コスト低減が見込めるとする。インターポーザ中に作り込むパッドやビアなど素子の形成方法も一般的なインターポーザのものと変わらないので,低コストに抑えやすい。ただし,今回の技術は,まずは6.25Gビット/秒以上の高速信号を扱う用途を想定しており,BGAパッケージで4~6層といった多層のインターポーザでなければ適用できないとする。
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