『このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉』(以下『翔んで埼玉』)という埼玉県を題材にしたギャグマンガをご存じだろうか。2015年12月の年の瀬に宝島社から発売され、3カ月足らずで55万部を突破したというヒット作品だ。だが、これは著者と編集者が汗水垂らして生み出す一般の新作マンガとは違う。30年前のマンガの復刻なのである。 出版不況と言われ続け、「本も雑誌も売れない!」という悲鳴があふれる出版界にあって、なぜこの本はバカ売れしたのだろうか。 マツコの番組で紹介されて火がついた 『翔んで埼玉』は、埼玉育ちの美少年が東京都民の埼玉弾圧に立ち向かうというストーリーで、ここ数年、ひそかなブームの「地方ディス」にマッチしたと言える。ブームの先駆けはドラマ化もされた清野とおるのマンガ『東京都北区赤羽』だろう。地方を愛をもってディスリスペクト(侮辱)したマンガの1ジャンルをこう呼ぶが、2012年にリ
![55万部!「翔んで埼玉」がバカ売れした理由](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/957b1c137853e9fd3bee124c2d4f64a4d42a1360/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Ftk.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F8%2F4%2F1200w%2Fimg_84fcb48e9c86d82e40c3bb85b07ababe186989.jpg)