寒い冬に恋しくなる定番の甘味、おしるこ。地方によって定義は多少異なるが、東京ではぜんざいに比べて水分量の多いものを指し、こし餡を使用したものを御膳しるこ、つぶ餡あるいはつぶし餡のものを田舎しること呼ぶのが一般的である。とはいえ、トッピングや塩分と糖分のバランス、餡の濾し方など、味はその店によって千差万別。ここでは、名店と呼ばれる店の中から、王道の御膳と田舎に加え、黒蜜や胡桃などを使った個性派しるこを紹介する。細部に各店のこだわりが表現されており、単純なようでいて奥深いおしるこの世界を堪能してほしい。 赤坂 虎屋菓寮 赤坂本店 創業約480年を誇る和菓子の老舗『とらや』に併設する喫茶では、御膳、小倉、白小倉の三種類のしるこが楽しめる。厳選された白小豆をベースに、和三盆糖で仕上げた『お汁粉・白小倉』は、東京では珍しい白いおしるこ。ほどよい柔らかさの香ばしい焼き餅が浮かぶクリームがかった白濁の汁