MF中村俊輔選手はよく、家族を連れて食べに来た。GK川口能活選手はとんでもない大食漢だった。横浜市神奈川区の新子安駅から少し離れた先に、サッカーのJリーグ1部(J1)、横浜Mの若手選手の胃袋を支え続ける居酒屋がある。選手寮の近くにある「味の茶や」は、今やチームから正式に“食堂”に指定されるほどだ。アットホームな居酒屋では、今晩も明日を夢見る若手がご飯を頬張っている。 「ほっけ焼き定食お待ちどお」。私服の若者の前に、山盛りご飯が添えられたお膳が出される。「彼はプロ入り1年目だね」。店主の島田学さん(69)が笑顔で話し掛ける。「最近はどう? オフは実家に帰るの」。青年は、少し恥ずかしそうに応じている。 島田さん夫妻にとって、横浜Mの選手は息子みたいなものだ。「もう30年も前からだからね。マリノスになる前の日産自動車時代から、ずっとだもん」。中村俊輔、松田直樹、川口能活(現磐田)…。日本を沸