収奪の星 天然資源と貧困削減の経済学 [著]ポール・コリアー 資源は途上国にとって両刃の剣だ。収入は増えるが、利権と汚職の温床になったり、資源収入への過度の依存で国民の勤労意欲まで消えたり。この「天然資源の呪い」を指摘した一人が、本書の著者コリアーだ。 でも、あらゆる国は何らかの天然資源を持つ。それをきちんと活用して、天然資源の呪いから脱するには? それが本書のテーマだ。 その指摘は単純ながら重い。まず、天然資源の呪いは行政能力の問題だということだ。政治家の汚職を監視し、国富を国民に還元する仕組みが弱いので、資源の利益が外国や汚職政治家に吸い上げられ、無駄な投資が起きる。 さらに著者は、その背後にある思想の問題も指摘する。いまの経済学的な計算方法では、資源は早めに採掘したほうが価値が高い。森林や生物などの環境でもそうだ。だからこそ、乱獲が生じ、温暖化問題も生じる。 これを変えるべきだ、と著