福岡県で炭鉱や朝鮮半島について記してきた詩人、作家の森崎和江さん。初の著作集『森崎和江コレクション 精神史の旅』全5巻(藤原書店)が完結した。森崎さんは、雑誌『サークル村』、ウーマンリブの先駆者としての評価、朝鮮半島へのこだわりなど、多様な側面がバラバラに読まれてきた。著作集は、それらが一貫した問題意識に基づいていたと気付かせる。本人の言葉や著作集の抜粋で、森崎さんの道のりを振り返る。【鈴木英生】 ◇朝鮮から筑豊炭鉱へ 女であることを手がかりに 森崎さんは、戦前の朝鮮半島で育った。それが、「原罪」となった。「朝鮮の風習や大自然が本当に好きでした。おばあちゃんたちは、『アイゴー』って頭をなでてくれた。私は、人並み以上に大地や自然や人々を尊敬し愛した。その自分が(戦後は)本当につらかった。なぜなら、(朝鮮を愛した日本人の)私の代わりに何千何万という(朝鮮の)人が亡くなったり、よそで働かされた。