7月30日に死去した李登輝氏。日本メディアでは台湾の民主化に貢献、と紹介されることが多かった一方、中国メディアには厳しい評価が目立った。 REUTERS/Ann Wang 台湾民主化を実現し、「親日」とされる李登輝元総統が7月30日、97歳で死去した。 台湾で民主的な選挙を実現させたことから、台湾でも日本でも「民主の父」という絶賛が目立つが、中国は李氏の台湾独立の主張を批判し、評価は180度異なる。 米中、日中対立を利用し、「(植民地統治は)台湾近代化に多くの貢献をした」と戦前の日本を評価するその「戦略的親日」は、衰退し自信を失った日本人の心に響いた。 多面的な顔を持った稀代の「プリズム政治家」だった。 「日本人の思考方法」 「李は不思議な人だ。台湾人の心を持ち、日本人の思考方法と欧米の価値観を持ちながら、中国的な社会、文化背景の中で生きている」 筆者が共同通信の台北支局長として台北に駐在