このフェラーリで京都まで行き、帰ってきた。そして、また東京‐京都往復を、このクルマでしてみたいな、とおもった。 理由はいろいろあるけれど、煎じつめるとラクだったからだ。トップ・スピードが335km/hにも達し、マラネロ謹製の、あの奔馬「エンツォ」由来の6262cc直噴V12は690ps/8000rpmも発生するというのに、だ。 好戦的で、危険への誘惑に満ち満ちていて、それなのに、いやそれだからこそかえって、よりいっそう危険へと人を吸い寄せずにはおかないクルマ、それがフェラーリ(のはず)だった。そしてさらに「悪い」ことにそれは、ファム・ファタール(男を破滅に導く運命の悪女)がそうであるように、息を呑むほど美しい。かくして、フェラーリこそは、これを手なずけんとするすべての愚かなクルマ・ファンにとっての、見果てぬ夢なのであった。 しかるに、このGTC4ルッソは、たとえばハイウェイの追い越し車線で
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