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ブックマーク / antimainstreameconomics.blogspot.com (264)

  • 2%のインフレ? 安倍首相、冗談でしょう?

    何でも安倍首相は2%のインフレーションを目指すそうです。その政策的根拠は、どこにあるのでしょうか? 答えは「現在までデフレ不況が続いたから」だからそうです。 ということは、デフレ(インフレ)が原因で不況(好況)が結果だから、政府と日銀が政策的にインフレーションを起こせば、それが原動力となって好況という結果がもたらされるという趣旨でしょうか? 寡聞にして、はっきりとそう聞いたわけではありませんが、どうもそのようです。要するに、安倍首相は、①政府および日銀が頑張れば(米国のバーナンキFRB議長のように国民に「インフレ期待」=やる気を示せば)、インフレーションが生じ、②それにつれて景気もよくなるという論理(理論?)を持っているようです。 しかし、当にそのような政策学的な論理(政策目標ー結果)が経済学によって根拠づけられるのでしょうか? 確かにそのように言う経済学者(いわゆるリフレ派など)はいま

    2%のインフレ? 安倍首相、冗談でしょう?
    gruza03
    gruza03 2013/12/26
    確かにそのように言う経済学者(いわゆるリフレ派など)はいます。しかし、残念ながら、そのような理論は成立しません。論より証拠。
  • 生産と価格形成

    需要と供給による価格形成という新古典派の理論(単純理論)が現実に成立しない以上、われわれはまったく別の方法で価格形成のメカニズムを説明しなければなりません。そのためには、生産と分配のメカニズムを検討する必要があります。 モノを生産するには、様々な生産要素や生産条件が必要となることは言うまでもありません。例えば米を生産するためには、土地(水田や畑などの耕地)、水利、大気、適度な気候、農道、農機具、種籾、肥料、農薬、労働力などが必要です。これらの要素・条件の中には、自然の恵みによって得られるものもあれば、貨幣(お金)を支払って調達するものもあり、また政府の公共事業によって準備されているものもあります。これらはまた、生産の主体的な要素である労働とその他の自然の恵みに2分することもできるでしょう。ギリシャ・ローマの時代から、自然は富みの母であり、労働は富の父であると言われた所以です。 しかし、現代

    gruza03
    gruza03 2013/12/26
    固定資本ストック(資本装備)も原材料等も、それを購入して生産に利用する企業にとっては費用ですが、賃金と利潤については事情が異なります。
  • 株価・配当より賃金を上げよ

    年末から年始にかけて株価が上がったといって浮かれているテレビ報道の風潮について一言。 短期的ではなく、長期的な変動について言えば、株価が配当に依存することは経済学の初歩です。また配当は会社の利潤の中から支払われることも常識です。この当たり前のことから次のことも明々白々となります。 1 会社の利潤が増えなければ、つまり実体経済が好調にならなければ、株価の持続的上昇は望めません。言い換えれば、現在、安倍政権になって株価がちょっと上昇したからといっても、実体経済が先行き不透明である以上、現在の株価上昇は雰囲気的な、あるいは御祝儀相場的な意味しか持たないということです。 もちろん、私は今後とも株価が上昇しないと断言しているわけではありません。景気がよくなり、会社の利潤が増え、その利潤の中からより多くの配当が支払われるようになれば、株価はもっと上がるかもしれません。 2 しかし、当は、株価が上がる

    gruza03
    gruza03 2013/12/26
    アメリカの経済学者の研究成果を簡単に要約すれば、すばり不正経理と賃金圧縮(リストア)、それに長期的なビジョンを欠いた短期の「レントシーキング」(rentseeking)です。
  • 需要と供給による価格決定説の誤謬 2

    前に説明したように、収穫逓減が成立しないという前提を満たす場合(ここでは収穫一定)を考えます。ただし、差し当たり需要曲線は右下がりと仮定しておきます。すると、下に示したような図が描けます。この図は、価格水準はもっぱら供給側の事情によって決まり、供給量は(価格が一定水順に固定されているならば)もっぱら需要側の事情によって決まることを示しています。 いま需要量がDD曲線で示され、供給量がSSで示されるとします。両者の交点は(p、Q)です。この場合、もし需要側がD'D'曲線のように変化し、需要量がQ’に低下しても、価格pは変化しません。価格が変化するのは、供給側がS’S’のように変化するときだけです。 実は、この図のほうがはるかに的確に現実の経済社会の動きを説明します。実際、企業は、一度設定した価格をあまり上げ下げしたがりません。また商品の購入者は、価格の変動に対してはまったく無反応ではなく、価

    需要と供給による価格決定説の誤謬 2
    gruza03
    gruza03 2013/12/26
    実際、企業は、一度設定した価格をあまり上げ下げしたがりません。
  • 需要と供給による価格決定説の誤謬

    需要と供給による価格決定説を知らない人はいないと思います。私も高校生の時、政治経済の教科書で知りました。ただし、その時に違和感を覚えたのを鮮明に記憶しています。<なるほど価格が変化すると、需要量や供給量は変わるかもしれないが、そんなもので価格水準が決まるわけがない。もっと生産面における別の諸要因があるだろう>といった感じです。 大学で初めて経済学を学んでから、この違和感が正しかったと確信するようになりました。宮崎義一先生や岸重陳先生に教えを受けることができたことを今でもありがたく感じています。 そもそもSS曲線(供給曲線)にせよDD曲線(需要曲線)にせよ、人間の頭脳が考えだした仮想空間上の概念であり、それを計測した人はただの一人もいません。これが経験科学を自称していながら、経済学が物理学と異なる最も重要な点の一つです。 それでは、新古典派の理論では、何故供給曲線は右上がりで、需要曲線は右

    需要と供給による価格決定説の誤謬
    gruza03
    gruza03 2013/12/26
    企業は生産能力の限界点まで生産するのが普通の姿なのです。需要・供給によって価格と産出量が同時に決定されるという単純な市場均衡論的理論は成立しません。
  • 経済学の呪文 ケテリス・パリブス

    経済学でよく使われる言葉に、「ケテリス・パリブス」(ceteris paribus)というのがあります。これは呪文のように聞こえるかもしれませんが、「その他の条件が不変ならば」(other things being equal)という意味です。例えば次のように使います。 ケテリス・パリブス、一国で人々(労働者)の貨幣賃金率を引き下げると、雇用が増加し、失業率が低下する。 この命題が論理学的に大問題を抱えていることは、聡明な人ならすぐに理解できます。確かに一企業または一産業の労働者の貨幣賃金率を引き下げる場合であれば、社会全体における総賃金所得はほとんど変化せず、(貨幣で表示した)総購買力も総需要も変化しないでしょう。そこで賃金率を引き下げることに成功した企業や産業は販売価格を引き下げ、売上高を増やすことができ、雇用を増やすことができるでしょう。つまりケテリス・パリブスという条件を付しても間

    gruza03
    gruza03 2013/12/26
    2つともかなり怪しい命題です。・日銀が金融緩和策を通じて貨幣供給を増やすと、インフレーションが生じ、景気がよくなる。消費税増税をすると、政府の租税収入は必ずその増税分だけ増加する。
  • 飯田康之・雨宮処凛『脱貧困の経済学』を読む

    飯田・雨宮『脱貧困経済学』(ちくま文庫)を読みました。第3章(「経済成長はもういらない」でほんとうにいいのか?)について少し書きます。 私の以前のブログとホームページでも説明しましたが、私自身は経済成長論者ではありません。しかし、当の事を言うと、経済成長はもういらないという人に是非とも考えて欲しい重要な点が一つあります。それは同著でも言及されているように、一定の経済成長率(例えば2%)が達成されないと、労働需要が減り、失業者が増えるという「事実」です。 いま「事実」と書きましたが、それにはきちっとした根拠があります。ケインズやカレツキの問題提起を受け継いでいるポスト・ケインズ派の経済学者にとっては、ごく初歩的な事ですが、企業は売れるという見込み(つまり有効需要の期待)のもとに生産します。そして、その産出物は、消費財と生産財(資財)に区分されます。これは、マクロ経済学の恒等式、Y=C+

    gruza03
    gruza03 2013/12/26
    一定の経済成長率(例えば2%)が達成されないと、労働需要が減り、失業者が増えるという「事実」です。飯田氏の議論(特に金融政策によってなんとかしようという議論など)には、承服しかねる
  • シンドラー社のエレベーターと競争入札

    シンドラー社のエレベーターが多数の事故を起こしてきました。 事故を起こしたエレベーターの設置場所を調べると、公共の建造物が多いことに気づきます。公共住宅、大学、市役所、その他の公共施設です。また競争入札制度が導入された小泉「構造改革」の頃からシンドラー社のエレベーターが導入されるケースが増えていることは間違いないようです。 競争入札の問題点については、私もビルメンテナンス会社の社長さんや工学部の教師・大学院学生などに話を聞いた事があります。 競争入札の導入まで、日の多くの地方自治体・公共団体は、地元の企業にほぼ前年度と変わらない価格で事業を委託していました。そもそも同じ内容の仕事をパソコン・ソフト等を使って計算しているので、どの業者もほとんど変わらない金額を出すはずとのことでした。しかし、実際の資料を見て確認しましたが、21世紀に入り、競争入札制度が実施されるとともに、入札金額は極端に低

    gruza03
    gruza03 2013/12/26
    市場競争というとよさそうに聞こえますが、仕事をできそうもない低価格で引き受けた企業の中には、デタラメな企業が多かったのです。労働条件も悪化していた可能性が高いようです。
  • マックス・ヴェーバーと Warm Heart and Cool Head

    Warm Heart and Cool Head. この言葉を述べたのは、イギリスの経済学者アルフレッド・マーシャル(Alfred Marshall)です。マーシャルは、この言葉を、経済学を志す者に対する心構えとして述べました。意味はおのずと明らかです。経国済民の学を志す者はそもそも暖かい心から始めるはずだが、それだけでは不十分であり、冷静な頭脳が必要だということです。 ところが、最近はどうもビジネスやまわりの評価、時流に乗ることにばかり夢中で、「冷たい心」を持つ人ばかりが目立つようになったように感じられてなりません。しかし、そうかといって冷静な頭脳を持っているかというと、「暖かい頭脳」の人が多くなったような気もします。というと若い人たちには酷な表現でしょうか? このようなことをどうして言うのかというと、マスコミでも、「経営者が安心して労働者を雇うことができるようにするためには、いつでも解

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    gruza03 2013/12/25
    「経営者が安心して労働者を雇うことができるようにするためには、いつでも解雇できるようにしなければならない。そのために非正規雇用が必要だ」このような人は心構えからして経済学者として失格です。
  • 小泉「構造改革」と不良債権 2

    2000年から2002年、2003年にかけて日経済は、ふたたび景気後退の局面に入ってゆきます。その理由はどこにあったのでしょうか? 2000年〜2001年にかけての景気後退の一つの理由が外からの影響にあることは否定できません。アメリカ合衆国では、2000年にクリントン大統領が『大統領の経済報告』(経済白書)で「ニューエコノミー」について語りますが、皮肉にもその直後にITバブルが崩壊し、NASDAQなどの株価が暴落し、実体経済の景気後退が始まります。その際、海外からの輸入が減少したことは言うまでもありません。それに伴い日からの対米輸出も減少し、それが日の景気を悪化させる要因となりました。 しかし、日の景気後退をもたらした要因は、それだけではありません。実は、2000年には企業倒産件数も増えましたが、倒産企業の負債総額も著しく増加し、史上最大の規模(東京商工リサーチの調査によると25兆

    小泉「構造改革」と不良債権 2
    gruza03
    gruza03 2013/12/25
    簡単に言えば、近年の「構造改革」というのは、新自由主義政策の別名です。賃金抑制政策や派遣業の自由化、競争入札制度など)です。富裕者が富み、その一部がトリックル・ダウンし貧者の所得もそれなりに上昇する
  • 小泉「構造改革」と不良債権

    「転機となった1997年」の説明でも書きましたが、2001年初頭から翌年の初頭にかけて全国銀行の不良債権が急速に拡大しましたが、その後2002年の途中から減りはじめ、2006年頃までにはかなり低い水準にまで低下しました。日政府は2005年度をもって不良債権の処理が最終的に終了したと宣言します。 このような動きは、どのように説明されるでしょうか? まず2001年度中の不良債権の急増から見ましょう。周知のように、不良債権は「リスク管理債権」と「金融再生法開示債権」との2つの方法によって示すことができ、金融庁の統計でも2つの方法によって示されています。この統計によれば、不良債権はリスク管理債権の中では主に「延滞債権」と「貸出条件緩和債権」の増加によるものであり、「破綻先債権」は減少しています。また金融再生法開示債権の中では主に「要管理債権」の増加によるものであり、「危険債権」と「破産更正債権お

    gruza03
    gruza03 2013/12/25
    不良債権(延滞債権や貸出条件緩和債権など)から破綻先債権に「下方遷移」してくる債権や「業況悪化」によって正常債権から破綻先債権になる債権が次々に生まれていたのです
  • 異常な日本経済と怪しい経済学

    近年の日経済が異常な状態にあることは、経済分析のためのきちんとしたツールと理論をもって分析すれば、誰の眼にも明らかとなります。そのことは、これまでのブログでも書いた通りです。 今日は、貿易(輸出と輸入)に焦点を置き、検討してみたいと思います。 まずは下図を見てください。 1995年から2008年(リーマン・ショックの年)までGDPに対する輸出・輸入の比率はずっと上昇し続けています。特に2002年から2008年の期間に輸出比率が10%から18%近くにまで急上昇したことが注目されます。 しかし、この間に人々は経済が成長したという実感をもったでしょうか? もちろんそうではありません。このグラフには示しませんでしたが、貨幣賃金率も名目賃金率も平均して低下しています。政府の喧伝した史上最長の景気拡大も平均すれば年率1%程度に過ぎません。投資額も低下してきました。投資というのは、技術革新・生産能力の

    異常な日本経済と怪しい経済学
    gruza03
    gruza03 2013/12/24
    内需ですが、1997年以降の賃金低下によって人々の購買力が低下してきたため、元気が出るわけがありません。公的資本形成はマイナスになり、政府最終支出はプラスながら段々小さくなってきています。
  • 日本企業の巨額の内部資金余剰の秘密について

    下図は、日の大企業(資金10億円以上、ただし金融・保険を除く)を対象として、その内部資金から実物投資を差し引いた数字をグラフにしたものです。資料の出典は、財務省のホームページに掲載されている「法人企業統計」(時系列統計)です。 このグラフは、日経済の歴史と現状に関する非常に重要な事実を示しています。 第一に、歴史的にみると、多くの企業は内部資金(企業内留保+減価償却費)を主要な投資資金源としており、不足分を銀行からの融資や株式発行によって調達してきました。1960年頃から1998年頃まで<内部資金マイナス実物投資>がマイナスとなっているのは、企業が内部資金だけでなく、外部資金(銀行融資など)に依存してきたことを示しています。 第二の重要な事実ですが、1986年頃から1991年頃にかけてマイナス額が急激に増加しています。これは、日の企業がバブル経済の消費ブームに際して設備投資を拡大し

    日本企業の巨額の内部資金余剰の秘密について
    gruza03
    gruza03 2013/12/24
    ケインズの強調した「合成の誤謬」(fallacy of composition)に他なりません。それはまた企業が自分で自分の首を絞める行為でもあります。
  • 最近十数年間の賃金と失業率

    1994年から2011年までの失業率(年平均値)と貨幣賃金率の対前年比をプロットすると、下図のようなグラフが描けます。ここから何が読み取れるでしょうか? 一つは、この間に人々の受け取る賃金所得(貨幣賃金または名目賃金)が低下した年がきわめて多かったという事実です。このことは前にも述べました。賃金が上昇したのは5年だけで、そのうち3年は限りなくゼロに近い数字です。これに対して低下したのは11年であり、そこからゼロ%に近い2年を引いても9年です。 もう一つ読み取れるのは、賃金上昇率と失業率との間にはっきりと負の相関が見られることです。つまり、貨幣賃金率が上がっている年には失業率が低下しており、逆に貨幣賃金率が低下している年には失業率が上昇しています。 これはある意味では当然のことです。景気が悪化すれば賃金も下がり、失業率も上がる(逆は逆)のは常識中の常識です。 ところが、新古典派の理論は、まっ

    最近十数年間の賃金と失業率
    gruza03
    gruza03 2013/12/24
    ところが、新古典派の理論は、つまり失業を減らすためには実質賃金を引き下げることが必要だと言う言説は、大学でも「労働経済学」で教えられているのですが、それが実に奇妙な珍説愚説の類いである
  • 転機となった1997年 4

    前回、橋「財政構造改革」が1997年の景気後退を招き、1998年3月期までに不良債権を大幅に拡大したことを説明しました。 もう少し不良債権について検討しましょう。 現在、金融庁のホームページには、2002年以降の不良債権(金融再生法開示債権、リスク管理債権)の詳しい統計が掲載されていますが、それ以前の時期については、ほとんどデータがありません。そこで、1997年3月〜1998年3月の不良債権については、その構成、増加の要因を統計資料にもとづいて示すことはできませんが、不良債権が大幅に増加した2001年3月〜2002年3月以降の時期(小泉「構造改革」期以降)については詳しいデータが掲載されており、非常に参考になりますので見ておきましょう。 一口に不良債権(つまり正常債権以外のパフォーマンスの悪い債権)といっても、その内容は様々です。まず「リスク管理債権」とされているものの中には、破綻先債権

    転機となった1997年 4
    gruza03
    gruza03 2013/12/24
    経済の世界では、不良債権を無理に処理した場合、不況と金融危機が深刻化し、正常債権が不良債権化するといったことが生じるかもしれません。
  • 転機となった1997年 3

    「財政構造改革」とは何だったのか? その全体像はともかくとして、それが消費税の3%から5%への増税、公的医療保険の自己負担率の増額、その他の国民負担率の増額を中心とするものであったことは多くの人の記憶に残っているでしょう。これによって国民負担は<単純計算に従うと>9兆円ほど増えることになりました。これは当時の名目GDPの2%ほどにあたります。 これほどの巨額の負担を増やした場合、それが経済に与える影響はどうなるでしょうか? 橋首相と大蔵省の計算では、ceteris paribus(その他の条件が不変ならば)、一般会計の赤字は9兆円減ると期待されていました。実に単純な計算です。 しかし、実際にはそうはなりませんでした。一般会計の赤字(単年度)が減るどころか、むしろ大幅に増えたのです。どうしてでしょうか? 経済というのは複雑系の世界です。"ceteris paribus"の前提が成立する

    転機となった1997年 3
    gruza03
    gruza03 2013/12/24
    政府が歳入の潜在的な増加分だけ支出を増やせば、国民の側の支出の期待減少分を補って、日本全体の支出の大幅な減少は防げるでしょう。そうすれば景気の悪化が生じることもありません。
  • 転機となった1997年 2

    1991年の「複合不況」(平成不況)が日の「失われた20年」の出発点だったとするならば、1997年頃はそれを決定づけた時期といえます。このことを示すために、前回は日における一人あたりの雇用者報酬がこの年あたりから低下してきたと述べました。今日はまず、その事実を如実に示す図を掲げましょう。雇用者報酬の統計資料は、政府の「国民経済計算統計」からとっています。 貨幣賃金(名目賃金)は、1997年にピークに達した後、低下しつづけています。また実質賃金(物価調整済み)は1995年〜1996年にピークに達してから徐々に低下してきました。実質賃金のほうの低下が穏やかなのは、1997年頃から始まったデフレーション(物価水準の持続的低下傾向)のためです。つまり貨幣賃金は急速に低下しましたが、物価水準が低下傾向にあるため、実質賃金の低下が穏やかになっているのです。 ただし、言うまでもないことですが、勤労者

    転機となった1997年 2
    gruza03
    gruza03 2013/12/24
    賃金低下の始まりと財政構造改革は関連していたのでしょうか、それとも両者の符合は偶然の一致でしょうか? 私は偶然の一致ではなく、まさしく密接に関連していたと考えます。
  • 転機となった1997年 1

    昨日からブログを始めました。 昨日は「ブログを始めました」とだけ書きましたが、実は何を書いたらよいのか迷っています。私の仕事は、大学で経済学を学生に教えることですが、経済のことについては、別にサイトを設けて様々な情報を開示していますので、あらためて堅い内容のものを書くのもブログの性格上合わないような感じがします。かといってソフトな内容のことも書けません。 ただ当は、経済学をやっていると、というより日経済の分析をしていると、多くの人に知って欲しいと思うことが沢山あります。・・・が、さしあたり人に読んでもらうことを考えずに、一人ごとのような、社会経済戯評のようなことを書き連ねてゆくことにしました。 山家悠紀夫さんの著書に『暮らしに思いを馳せる経済学 景気と暮らしの両立を考える』(新日出版社、2008年)があります。とても分かりやすく書かれていながら、日経済や世界経済の実態、日政府の経

    gruza03
    gruza03 2013/12/24
    日本では、2002年2月から2008年まで「戦後最長」といわれた「景気拡張期間」がありました。しかし、多くの人が賃金低下の事実を知らないという事実自体がまず問題だと考えています。
  • 社会科学の裸の王様・経済学 10 ケインズ主義って何?

    ジョン・M・ケインズが20世紀の偉大な経済学者であったことは言うまでもありません。しかし、しばしば「ケインズ主義」や「ケインズ政策」なるものが批判の俎上に載せられることがあります。これらは一体何なのでしょうか? そもそもケインズの名前のついた呼称はたくさんあります。上の他にも、「ケインズの経済学」、「ケインズ経済学」、「ポスト・ケインズ派」、「新ケインズ派」(ニューケインジアン)など様々です。これらはどのように使い分けられているのでしょうか? まずケインズ主義。昔、あるときカール・マルクスが「私はマルクス主義者ではない」と言ったという逸話は有名ですが、ケインズにも同様な話があります。あるとき彼は「私はケインズ主義者ではない」と言いました。一般的に言って、ある思想家の思想を別の人々が人の思想とは別様に解釈するということは大いにありうることです。その意味で、「ケインズ主義」(Keynesia

    gruza03
    gruza03 2013/12/22
    「諸君らは間違っている。私の名前を用いないように」、と。何しろ、ケインズにあっては資本主義は欠陥(失業、不安定、不均衡)を持つために修正しなければならない代物だった
  • 人はなぜ御用学者になるのか

    人は何故御用学者になるのか? 島村英紀氏の同じタイトルの著書(「地震と原発」というサブタイトルが付されていますが)があり、読みました。 御用学者が生まれる理由は、ある意味では簡単であり、「アメ(権益)とムチ(不利益)」の網の目がはりめぐされていることにあることはいうまでもありません。しかし、それを抽象的にではなく、具体的に知ることが重要でしょう。島村氏の著書は、「理系」(工学や理学)の状況について紹介しており、きわめて興味深く読めるです。 ただし、理系でも、御用学者が生まれるのは、特に「複雑な現象」を研究する領域におおく、物理学や数学などの比較的単純な領域(簡単な領域とはいいません)では比較的すくないのかもしれません。 私は環境問題を軽視しているわけではなく、むしろきわめて重要視しています。資源も浪費するのでなく、大切にしなければならないと考えていますが、この複雑科学の環境問題においても

    gruza03
    gruza03 2013/12/22
    新古典派の「労働市場論」という現実離れした「理論」が如何にして御用学者によって展開されてきたのか、それを私もいつかは書こうと考えています。