東北の景気について語るのはまだ早いのかもしれない。津波被害が甚大だった沿岸地域は大震災から4カ月がたとうというのに、がれきの山がなお残り、休業や減産を強いられている事業者も多い。再生の動きがあったとしても、その多くは「点」や「線」にとどまる。 しかし、内陸部の経済活動は面的に広がり、厚みを増してきた。東北全体を見れば景況は持ち直しつつある。日銀仙台支店が発表した7月の地域経済報告(さくらリポート)は「地域差はあるものの、正常化に向けた動きが着実に広がっている」と分析する。 雇用は「悪化」している。「着実に増加」しているという生産も、震災前の水準には戻っていない。震災による落ち込みが大きかったのだから、今の動きは「原状回復」へと向かう歩みといえる。この足取りを確かなものにしていかねばなるまい。 その一方で注目したいのは全国の動向だ。9地域のさくらリポートのうちで、景気判断が引き上げられ