(2009年5月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) ティモシー・ガイトナー氏にとって、それは「前例のない」明瞭さをもたらしてくれた。ペール・シュタインブルック氏にとって、それは「役に立たない」ものである。 銀行のストレステスト(健全性審査)の有効性に対する米国財務長官とドイツ財務相の驚くほど対照的な見解は、積極的な米国と慎重な欧州との政策の違いを浮き彫りにするようになった、もう1つの「金星人と火星人*1」の局面を生んでいる。今回の違いは金融危機にいかに対処するかについて、だ。 実際、2年近く前に信用危機が始まってから、大西洋を挟んだ欧米双方で、バンカーや政策立案者たちは何かと言えばすぐに対岸の相手方を非難してきた。 米国の投資銀行が有毒な債務証書で多額の損失を発表した時には、経営幹部らはすぐさま、欧州の投資銀行はまだ同じ痛みを味わっていないと指摘した。そして昨年、米リーマン・