東芝の歴代3社長が揃って辞任することになった同社の3年間1500億円にも及ぶ粉飾決算問題を、ほとんどのマスコミは「企業統治」のあり方を問うとかいう気の抜けた視点でしか論じていない。しかし、これは疑いもなく「原発スキャンダル」である。 日本最大の原子炉・関連機器メーカーである同社が政府・経産省と一心同体となって“原子力ルネッサンス”を推進しようとして福島第一事故で挫折、稼ぎ頭だった原子力部門がほとんど頓死状態に陥る中で、海外に活路を求めて悪あがきした挙げ句にその巨大損失を何とか世間の目に触れさせまいとして前代未聞の虚飾に走ったことに根本原因がある。(ジャーナリスト・高野孟) 前代未聞の東芝「原発スキャンダル」は現在進行形 辞任した歴代3社長のうちキーマンは佐々木則夫副会長である。 なでしこジャパン監督と同姓同名のこの人物は、原子力事業を東芝の主柱の1つにまで仕立てた功労者で、03年に電力シス