待機児童問題を批判した「保育園落ちた日本死ね!!!」という言葉は、なぜ流行語となったのか。関西外国語大学の戸谷洋志准教授は「日本社会から『自分の声を聴いてくれる存在』が消失し、不満が直接国家に向くようになった。孤独な現代人は『私の話を聴きたいと思っている人』を求めている」という――。
関東大震災のとき、総理大臣は交代中、内閣は不在だった!2011年3月11日、日本を襲った100年で3度目の大震災。先の震災に学ぶ東日本の復興復旧の術とは何か。 阪神大震災直後、村山富市総理(当時)の言動や行動に多くの批判が寄せられたが、震災発生から50日以内に、がれき処理や道路復興、仮設住宅建設の費用を盛り込んだ総額約1兆200億円の2次補正予算案を成立させている。(写真=PANA) 村山は数日前から足元の社会党の動きが気がかりだった。半年前の94年6月、第一党の自民党に担がれ、旧与党側の海部俊樹元首相を破って首相となったが、社会党では非自民路線の右派グループが分党の動きを示し、党内対立は一触即発の情勢である。前委員長の山花貞夫(元国務相)を中心とするグループが離党、新党結成に走り出す寸前であった。集団離党となっても、与党の過半数割れは起こらないが、政権維持が困難になる可能性があり、村山は
夢見心地から「現実」に引き戻される感覚 この3年ほどの期間――隠居生活を開始し、東京から佐賀県唐津市に拠点を移してからの間、ずっと夢を見ているような感覚があった。しかし2023年11月、ある仕事を獲得したことで、いきなり現実社会に引き戻されたような気分になると同時に、焦りを覚えた。 「ある仕事」とは、広告記事を毎月数多く作成していく業務である。この仕事のリモート打ち合わせを初対面の若い人々としたところ、なんというか、久々に「新しい時代の人々と付き合っている」という感覚に戻ったのだ。打ち合わせを経て、「やらせていただきます」と正式に受注することになり、12月から業務が動き始めた。それも編集者や制作ディレクターといった取りまとめ的な関わり方ではなく、ライターとして自ら手を動かし、一本一本、記事を書いている。 なぜ、「夢を見て」いたような感覚をおぼえているのか。思うに、唐津での暮らしの非日常感、
新NISAがいよいよ開始となる。非課税枠は、1800万円に広がり、期限もなし。圧倒的に使い勝手がよくなる。新NISAで最も効率的に最大限にお金を増やすには、どうしたらよいか。6人の子どもを持つママFPのもとに寄せられた数々の疑問に答える、家計を救う新NISAの使い方――。 口座は開設したけれど、これからどうしたらいいですか? 2023年も残すところあとわずか。1月からいよいよ新NISAがはじまりますね。今まで投資をしたことがなかったけれど新NISAで投資を始めた方がいいのかな? と思い始めた方もいらっしゃるでしょう。 また、今年でNISAが終わるから早く始めた方がいいと聞いて駆け込みで口座開設をしたという人も多いようです。ただ、口座開設したもののこれからどうしたらいいかわからない、今年で終わってしまうNISAは来年以降どうしたらいいかわからない、という疑問・質問もよくいただきます。 今回は
マスコミの世界は文系出身者だらけ テレビや新聞など、いわゆるマスコミの業界は、大学の文系学部出身者が多く、科学を苦手とする人が目立って多い業界です。理系出身者が入ってくると、文系出身者たちの無知さ加減が露呈してしまうのを恐れてか、科学記者といった狭い分野に押し込められてしまうと聞きます。 文系の、特に左派政党を支持する人たちは、そのイデオロギーのために思い込みの強い人が多いものです。「資本家と労働者の利害は常に対立する」というマルクス経済学のイデオロギーから抜け出せず、「株価が上がると資本家が儲かり労働者が損をする」と信じ込んでいたりするわけですが、こんな見方をしていれば、現実の経済については絶対に理解などできません。 しかし、実はこうした人たちがマスコミを牛耳っているのが実際で、ニュースや時事解説はこうした人たちによって発信されています。 経済を理解できない人が情報を発信している 理系に
大麻グミによる健康被害が続出している。なぜ危険な商品が市場に出回ってしまったのか。国際ジャーナリストの矢部武さんは「規制が追いつかず、業者と当局のイタチごっこが続いている。この大麻グミという問題は、日本の薬物政策の失敗を象徴している」という――。 大麻グミで体調不良者が続出 大麻草の成分と似た成分を含んだいわゆる「大麻グミ」を食べて、体調不良を訴えるケースが続出している。 警視庁などによると、11月4日、東京都小金井市の武蔵野公園であったお祭りに来場した40代男性が「よかったら食べない?」などと言って配った大麻グミを食べた6人が嘔吐おうとやめまいなどの症状を訴え、5人が病院に搬送された。またその前日には、同じくグミを食べた20代の男女4人が東京メトロ押上駅で体調を崩して病院に運ばれた。 さらに大阪府内でも、大麻グミを食べて吐き気や痙攣を起こした人が相次いだ。大阪府警によると、今年に入ってか
畳の上にちゃぶ台を置けば、6畳間はダイニングへ 日本の住宅の照明は、部屋のすみずみまで均一に照らすものが久しく好まれてきた。天井の真ん中に鎮座する巨大なシーリングライトがその象徴である。 いわゆる高級マンションを除けば、賃貸物件の照明はいまも天井の真ん中に取りつけるものが一般的だ。シーリング(ローゼット)と呼ばれる照明器具の取付口が天井面にすでにあり、賃借人はその金具を目がけて好みの照明をセットする。 嫌なら使わなければよいのだが、ありがたく使わせてもらっている人が大半だろう。借家歴30年の私も、使わなかったことは一度もない。 部屋のすみずみまで均一に照らすあかりは、「部屋の用途を規定しない」という昔ながらの暮らし方にも都合がよかった。 部屋の用途とは、部屋で何をするのかという主な利用目的のことだ。現代における部屋の用途は平面図を広げればすぐに分かる。キッチン、ダイニング、主寝室……部屋の
女性議員がここまで叩かれる理由 まず松川るい議員の炎上問題からお話ししましょう。 炎上したのは、テレビや新聞などのオールドメディアではなくSNSですよね。SNSは炎上するほどフォロワーが増えるという特質がありますから、炎上するのはやむを得ません。私も先日、東京駅の売店で買ったプリンとサンドウィッチをSNSに投稿したら「自分の金で買ったのか」などとすごく叩かれましたから。 SNSのこわいところは、投稿した画像が独り歩きして錯覚させてしまうところ。見る人の目を曇らせてしまうのです。 松川議員を批判した人も、彼女の普段の政治活動や人柄を知ろうともせず、写真一枚で決めてしまうことに違和感を覚えます。反省の意を示しても、これでもかというほど叩かれる。SNSはそういう世界ですから、あまりそこをスタンダードに考えてほしくないですし、それにオールドメディアがのってしまうこともこわいですね。 マイノリティを
無添加をうたった手作りマフィンを食べた人の健康被害が報告されている。科学ジャーナリストの松永和紀さんは「添加物や砂糖を減らせば食品は安全になるというのは幻想だ。手作り・自然派で食品を売り出すには、原材料に対する豊富な知識や調理場での入念な衛生管理、職人としての高度な技術と経験が求められる」という――。 「砂糖少なめ・無添加なら安全」は幻想 東京ビックサイトで11月11日、12日に開かれたイベントで売られたマフィンが、ソーシャルメディアで大炎上しています。買って食べた客がX(旧ツイッター)で腹痛と吐き気を訴え、ほかの購入客も「腐った臭いと味。糸を引いている」などと投稿して、騒ぎになっています。 販売した焼き菓子店は、Instagramで「全て防腐剤、添加物不使用で市販の焼き菓子の半分以下のお砂糖の量で作っており、離乳食完了期のお子様より安心してお召し上がりいただけます」とアピールしていました
日本のマスコミではマイナンバー制度などをめぐり「監視社会は危険」という主張が目立つ。ジャーナリストの佐々木俊尚さんは「過度な『テクノロジー恐怖症』はテクノロジーの進化を止めてしまう。実利に目を向けて、後押しを進めるべきだ」という――(第2回/全3回)。 ※本稿は、佐々木俊尚『この国を蝕む「神話」解体』(徳間書店)の一部を再編集したものです。 「監視社会は危険」と声高に主張するマスコミ マイナンバーカードや監視カメラ、特定秘密保護法など、ちょっとでもプライバシーに触れるような技術や法整備の話が出るたびに、マスコミは「監視社会は危険」論を声高に言い出す。 「個人情報が政府に筒抜けになって危険だ!」 「国民は監視されていることを恐れて自主規制し、自由がなくなる」 「プライバシーが政府にばれたら、反権力だと思われて圧力をかけられるかも」 念のために言っておくが、そういう懸念はけっして「ゼロ」ではな
千葉県郊外で「30坪2500万円」といった格安の新築戸建てが増えている。「限界分譲地」を取材するブロガーの吉川祐介さんは「そもそも住んではいけない場所なのに、土地の安さから開発が進んでいる。50年ほど前に開発された近隣地は、ほとんど人が住まない『限界分譲地』となっていて、それを繰り返す恐れがある」という――。 限界分譲地に新築住宅が建ち始めた 不動産の価格を決める要因は、何よりも立地条件と利便性である。その他、需給バランスに左右される面もあるが、その需要を決めるのも結局は立地条件である。 ところが近年は、建築資材の高騰によるものなのか、都市部ではマンション価格も含めた不動産の価格が上昇傾向にある。その影響が郊外まで波及しているのか、公示地価は例年通り下落している地域ですら、住宅価格が上昇する奇妙な現象がみられるようになった。 新築価格が高騰すれば当然中古住宅のニーズも高まるわけで、不動産会
古代史の偉人・聖徳太子が「厩戸皇子」になったワケ 小学生がやりそうな、ひっかけクイズです。 Q 法隆寺を建てたのは誰? A 聖徳太子! Q ぶー! 大工さん‼ 学界って、このレベルの議論を始めるので、タチが悪い。つまんない話をしたので、お口直しに! 昭和を代表する国民的歌手だった三波春夫氏は、「お客様は神様です」というステージ・フレーズでよく知られ、今でも使われます。ちなみに、このフレーズに調子に乗ってクレームをつけてくる客に対しては「他の神様にご迷惑です」と答えるのが接客業界では密かに推奨されているとかいないとか。 それはともかく、歴史研究家の顔も持つ三波春夫氏には、『聖徳太子憲法は生きている』(小学館、一九九八年)という著作があります。たいへん堅い内容の本です。この本では、最終的に偽書であると認定された『聖徳太子五憲法』(小川多左衞門、一七八八年)という書物が研究されています。 偽書・
少子化の原因として未婚化、ひいては若者の恋愛離れが問題視されがちだ。本当にそうなのか。東京財団政策研究所主任研究員の坂元晴香さんは「交際相手がなく異性との交際に興味がないと答えた男性の内訳を見ると、年収300万未満で75%を占めており、年収800万円以上は0.1%しかいない。実際、年収300万円の男性が生涯子どもを持たない割合は62.8%。少子化の原因が若者の価値観の変化ではないことは明らかだ」という――。 少子化の原因は「若者の価値観の変化」ではない 2022年に我が国で生まれた日本人の子どもの数(出生数)は77万747人で、統計を開始した1899年以降最も少ない数となり、初めて80万人台を下回った。政府も「異次元の少子化対策」を打ち出すなど、止まらない少子化をいかにくいとめるかが喫緊の課題となっているが、残念ながら現在のところ出生数が回復基調に戻る兆しはない。 そもそも、少子化対策を実
会見で、日経新聞記者が「リニアの話で自然環境に関して関係者の納得が必要だという話があった。水問題の場合だと、利水関係者、いわゆる(大井川の)流域自治体などでわかるが、自然環境問題に関して、県以外の具体的に納得させないといけない利害関係者を想定しているのか」と質問した。 これに対して、川勝知事は「南アルプスを愛する内外の人たちだ」などととんでもない回答をした。 自然環境問題で、県以外に納得させなければならない利害関係者がいることなど初めて聞いた。この回答はどう考えてもおかしいと、筆者は考えた。 この質疑に関しては後に訂正が県政記者クラブに配布されたので、てっきり利害関係者の部分が削除されたのかと思いきや、なんと「南アルプスを愛する内外の方」の部分がそのまま残っているから驚きだ。 しかも県はこの内容を肝心のJR東海、国交省にも伝えていないのだ。 この回答はあまりにも的外れで、川勝知事の発言を一
世界的半導体メーカーの台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場(左)、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社の熊本テクノロジーセンター(右)、東京エレクトロン九州株式会社(奥)(=2023年9月20日、熊本県菊池郡菊陽町) 世界の半導体業界では、二極分化とも呼べる現象が鮮明化している。“チャットGPT”や人工知能(AI)の学習に欠かせない、高度な画像処理半導体(GPU)の生産に関しては旺盛な需要を見込むことができる一方、汎用性の高い半導体に関しては需要の戻りが鈍い。 今後、より高性能のGPUなど最新チップの需要は増加し、価格も上昇するだろう。供給のかなりの部分がTSMCに依存している。現在、6ナノメートルの製造ラインはGPUの供給にも欠かせない。一方、主に車載用の半導体など汎用型のチップの需要は大きくは盛り上がらず価格も高まりづらいだろう。 そうした展開が予想される中、米国も欧州
陸上自衛隊員は地域によってまるで違う 陸上自衛隊の部隊は、北は北海道から南は沖縄まで全国にあります。陸海空合わせると、北は稚内、東は南鳥島、南は小笠原諸島、西は与那国島と、もはや一般人がたどり着けないエリアまで勤務地が存在します。 みなさんは、陸上自衛隊のどこの部隊も、隊員の気質(職場の雰囲気)のようなものは、あまり変わらないと思われるかもしれません。しかし、実は、それぞれの地域の気質は結構出ます。また、何の職種で何を担当している部署なのかでも大きな差があります。 あくまでも私の独断と偏見ですが、地域性に焦点を当てて解説していきましょう。 エリート意識の強い「蝦夷共和国」 北海道は、陸上自衛隊の最大勢力です。特に、昔は北の守りを意識していたため、北海道民の採用だけでは足りずに、九州や東北の若手を次々と送り込んでいきました。そのため、北海道の部隊は北海道民のおっとりした気質のほか、九州や東北
中国の半導体産業はこれからどうなるのか。ジャーナリストの福島香織さんは「日本は2023年7月から半導体製造設備領域23品目の対中禁輸を実施している。世界の半導体製造装置のトップ15社のうち7社は日本企業であり、中国企業はまだまだ弱い。中国の半導体国産化は難しい状況に陥っている」という――。 ※本稿は、福島香織『習近平「独裁新時代」崩壊のカウントダウン』(かや書房)の一部を再編集したものです。 「半導体三国同盟」が中国を追い詰めている 米中半導体戦争が新たなステージに入った。 米国はオランダ、日本との「半導体三国同盟」で、中国の半導体産業包囲網を形成している。 2022年10月、米国商務省は包括的な法律を可決し、特定の研究実験室や商業データベースセンターが先進的な人工知能半導体を取得することを禁止するとともに、その他の制限措置も盛り込んだ。 米国はさらに、日本やオランダを含むパートナーに半導
アメリカ宇宙局(NASA)や軍隊で任務中の発作を予防するために膨大な予算をかけ研究が行われている尿管結石。岡山大学医学部の中尾篤典教授が、その画期的な治療法を見つけようと米国の大学が手掛けたビッグサンダーマウンテンの研究結果(2018年にイグノーベル医学賞を受賞)を紹介する――。 ※本稿は、中尾篤典・毛内拡(著)、ナゾロジー(協力)『ウソみたいな人体の話を大学の先生に解説してもらいました。』(秀和システム)の一部を再編集したものです。 おしっこにまつわる謎・尿管結石の新しすぎる治療法 少し汚い話ですが、次はおしっこと膀胱ぼうこうの話です。 尿管結石は、腎臓から膀胱までの尿が通る管の中に石ができる病気です。石が詰まることで腎臓で作られた尿が出なくなり、腎臓が腫れて大変な痛みが出ます。救急外来でよく見られるありふれた疾患で、ライフスタイルや遺伝等も影響するといわれていますが、実は未だにはっきり
巨悪に立ち向かう弱小組織というイメージだが… 2021年4月30日、独大手紙『ディ・ヴェルト』のオンライン版に、「過小評価されるグリーン・ロビーの権力」という長大な論考が載った。 綿密な取材の跡が感じられる素晴らしい論文で、久しぶりにジャーナリズムの底力を感じた。著者はアクセル・ボヤノフスキー氏とダニエル・ヴェッツェル氏。この論文には啓発されるところが多く、ドイツのエネルギー政策の謎が少し解けたような気がした。 巨悪に立ち向かう弱小な組織といったイメージの環境NGOが、実は世界的ネットワークを持ち、政治の中枢に浸透し、強大な権力と潤沢な資金で政治を動かしている実態。多くの公金がNGOに注ぎ込まれている現状。そして、批判精神を捨て、政府とNGOを力強く後押しするメディア。 本稿では、二人の著者が取材したそれらショッキングな内容を随時紹介しながら、私なりにドイツ政府の進める危ないエネルギー政策
年内にも上場廃止になる見通し 9月21日、東芝は、“日本産業パートナーズ(JIP)”など国内の企業連合による株式公開買い付け(TOB)が成立したと発表した。株主のTOBに対する応募比率は78.65%、成立に必要な66.7%を上回った。今後、必要な手続きを経て、年内にも東芝は上場廃止になる見通しだ。東芝の経営再建に向けた取り組みは一歩前進したといえる。 ただ、重要なポイントは、なぜ、わが国を代表する優良企業だった東芝が、上場廃止に追い込まれることになったかだ。その原因を一言でいえば、経営の失敗といえるかもしれない。一時期、同社の経営者は短期間の過度な利益追求や、不正経理の発生を防ぐことができなかった。世界的に高い技術力を持つ企業であったとしても、経営が失敗すると企業の存続は難しくなる。
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