2022年1月、ジャーナリストの伊藤詩織氏が元TBS記者の山口敬之氏から性暴力を受けたとして損害賠償を求めた裁判の控訴審で、東京高裁は山口氏に対し332万円の賠償命令を下した。一方で、事件後に伊藤氏が公表した内容が名誉毀損などに当たるとして、伊藤氏に55万円の支払いを命じた(現在双方上告中)。 一審に引き続き、高裁でも「同意のない性行為」だったと認定されたが、ここへ至るまでの道は決して容易ではなかった。 性暴力被害者を取り巻く日本の現状に迫った伊藤詩織氏の著書『BlackBox』より一部を抜粋。伊藤氏が初めて実名と顔を公表して、事件についての会見をするまでの経緯とその影響を紹介する。(全2回の2回目/前編を読む) ◆◆◆ 「週刊新潮」の記事(編集部注:伊藤さんが匿名で事件の日のできごとを語った記事)をきっかけに、事件は大きく動いた。しかし、記事の方向性は、必ずしも私が望んでいたものと同じで