→紀伊國屋書店で購入 文字の起源論として、現在、最も有力なトークン仮説を、提唱者であるシュマント=ベッセラ自身が一般向けに語った本である。トークン仮説はフィッシャーの『文字の歴史』や菊池徹夫編『文字の考古学』などに言及されているが、本格的な紹介は本書がはじめてである。 トークンとは中近東の遺跡で大量に出土する粘土製の小物を指す。小指の先からピンポン玉くらいまでの大きさで、形は球形、円錐形、円筒形、三角錐、立方体、円盤とさまざまで、後期には模様を刻みこんだり、動物の頭部を形どったものもある。小さくて大量に出土する上に、遊具と考えられていたので、長いあいだぞんざいにあつかわれていたらしい。保存されている数は遺跡によって開きがあるが、農耕のはじまった8千年前から粘土板文書が作られるようになった千年前まで、およそ3千年間にわたって中近東で広く使われていたのは確かである。 トークンが注目されるように
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