2020年12月、信陽堂が出版社として動きだしました。 一冊目は永井宏さんの小さな言葉を集めた本、『愉快のしるし』です。 たとえばこんな文章。 ひとつの風景を思い出すと、ひとつの出来事を思い出す。自分がいた場所や時間の記憶は豊かな自然と一緒で、積み重ねてきたものが生い茂るように自分の中で育っていく。 * 風の強い日、丘の上で体を風に任せる。体を前傾し、手を大きく広げ、空を飛ぶ真似をしてみたり、草の中に寝そべって、風の横切っていく音を聴く。空を見上げて風を見つめる。自分の居場所がわからなくても、そうして、とにかく生きているんだってことを体で知るということが必要なときもある。 * 新しい出来事は古い出来事でもある。記憶を何度も繰り返して、そのどこかとどこかを結びつける。すると新しい未来が見えてくるような気がしてくる。 * 料理の基本はシンプルで清潔なこと。食べることの心地好さが上手く伝わること
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