東日本大震災以降、東北地方の地域金融機関で預金残高の急激な増加が続いている。被災した岩手、宮城、福島3県の地方銀行、第二地方銀行の預金残高(譲渡性預金は含まない)は8月末時点の合計で、3月末比約11%増の14兆7000億円超に膨れあがっている。被災者に支払われた多額の保険金が金融機関の預金口座に振り込まれたものの、引き出されないままになっているからだ。復興計画が遅れ、保険金を活用できない状態が続いており、地元地銀の重荷にもなりつつある。 ◆「過去最高の残高」 「県内に新しい中堅地銀ができたようなものだ」 宮城県の金融機関関係者からはこんな声が漏れる。 宮城県の地銀、七十七銀行は震災後、預金残高が8000億円超も増加した。増加分は県内の第二地銀、仙台銀行の預金残高に匹敵する。 その仙台銀行も8月末残高は、3月末比で約14%増加。津波で甚大な被害を受けた石巻市の石巻信用金庫では「増加