西日本を中心に記録的な大雨が続いている。日本列島の南北に鎮座した二つの高気圧に前線が挟まれて停滞し、十一日の降り始めからの雨量が九州で年間降雨量の四割強に相当するなど、過去の常識が通じない水準だ。前線は二十日ごろまで列島に停滞する見込みで、なお気は緩められない。 河川の氾濫や、長雨で緩んだ地盤が崩壊し、犠牲者も出ている。長野県岡谷市では十五日早朝、崩れた山の土砂が民家を直撃し=写真、母子三人が亡くなった。 民家は土砂災害警戒区域に位置し、市は「避難指示(レベル4)」の前段階に当たる「高齢者等避難(レベル3)」を発令していた。その判断の難しさは言うまでもないが、雨が降り続いた土砂災害警戒区域で、レベル3に据え置いたまま人命が奪われる構図は、七月に起きた静岡県熱海市の土石流災害と同じだ。妥当性は今後、綿密な検証が求められる。