インフレ対策や賃上げ実現のため、政府は約17兆円もの経済対策を閣議決定(2023年11月2日)した。この対策の目玉は、岸田首相の言及により実施が決まった「所得税などの減税」(1人当たり所得税3万円・住民税1万円)や「定額給付」(低所得1世帯当たり7万円)であったが、世論調査での国民の反応は厳しいものが大宗を占め、岸田政権に対する支持率も低下する結果を招いてしまった。 実際、毎日新聞の世論調査(2023年11月6日)では、減税の効果につき、「期待する」は19%に留まる一方、「期待しない」の66%がそれを大幅に上回る結果になった。このような状況のなか、ネット上などの議論では、「インフレ対策として、国民が求めているのは消費減税だ」といった意見も散見される。 だが、インフレ対策として、「消費減税を行っても財・サービスの価格が下がるとは限らない」という視点も重要である。以下、この理由を順番に説明した
経済政策の具体策が見たいさらに、所信表明演説を聞いていて不思議に思ったのは、今回の経済政策が、2年前に打ち出していた経済政策とあまりにも違うことである。2年前の岸田首相の所信表明演説(令和3年10月8日)では、「新自由主義的な政策」を批判する一方、「新しい資本主義」「成長と分配の好循環」など、中間左派(日本のリベラル)を思わせる言葉がならんでいた。 新しい資本主義を実現する車の両輪は、成長戦略と分配戦略とした。しかし「新しい資本主義」の内容は具体的に語られることはなく、「新しい資本主義実現会議」を設立してビジョンを具体化させる、とした。 成長戦略として、「デジタル田園都市国家構想」があげられていた。分配戦略では、看護、介護、保育などの現場で働いている人たちの収入増加があげられていた。前者は具体策が見えてこない。後者は今でも、問題として残っていてようやく報酬の引き上げへ検討に入ったところだ。
10月23日の臨時国会の冒頭、岸田首相の所信表明演説が行われた。このなかで、岸田首相は、「経済、経済、経済」と3回連呼したあと、「私は、何よりも経済に重点を置いていきます」と続けた。そのための大方針は、「供給力の強化」と「物価高を乗り越える『国民への還元』」、とした。このように経済政策を重視する姿勢は、国民としても、経済学者としても歓迎したい。強い経済は、国の安全保障、生活水準引き上げ、インフラや先端技術への投資などすべての源である。しかし、その内容を見ていくといくつか疑問が生じる。 供給力の効果は、「三年程度の『変革期間』を視野に入れて、集中的に講じて」いくとした。具体的には、半導体や脱炭素のように安全保障に関係する大型投資、AIなどイノベーションへの取り組み、スタートアップへの支援、があげられている。労働市場改革、企業の新陳代謝促進、物流革新など、必要性は十分に語られている問題を列挙し
賃上げ不足で岸田首相が責められているが、賃上げの主導権は企業にあり、政府は「お願い」しかできないのだから、ちょっと気の毒ではある。 【巻頭特集】 支離滅裂な経済対策と国民愚弄の選手対策詐欺減税で総スカンの岸田政権だが、そこに輪をかける7~9月GDPの大幅減 「経済の好循環」「賃上げの流れを確実に」などのホラは足元から崩れ去り、噴出する醜聞のなか、近づく政権ぶん投げXデー https://t.co/FxKssrrPHP #日刊ゲンダイDIGITAL — 日刊ゲンダイDIGITAL (@nikkan_gendai) November 24, 2023 賃上げ不足が日本経済の問題の核心であることと、政府の施策には限界があることについては、ポール・クルーグマンも1年前にこの👇ように言っていた。なお、同書では、他の三人の経済学者(ヤニス・バルファキス、ランダル・レイ、ラグラム・ラジャン)も、温度差
労働生産性の指標には、一般に用いられる「就業者1人当たりGDP(付加価値額)」のほかに「労働時間当たりGDP」がある。後者は、付加価値の総額を生産に従事するすべての人の総労働時間で割ったものだ。両指標の伸び率を国際比較すると、顕著な違いが浮かび上がる。日本の就業者1人当たりGDPの伸び率は、イタリアと共にG7諸国中最下位クラスにあるのに対し、労働時間当たりGDPは7カ国中トップクラスに位置する(図表1、2)。 この違いは、就業者1人当たりGDPを労働時間当たりGDPで割った「就業者1人当たり労働時間」の変化に起因している。1991年から2022年までを見ると、日本の1人当たり労働時間は20%減少した。ドイツの12%減や英国、フランス、カナダ、イタリアの5~8%減、米国の2%減に比べ、日本の減少幅が際立つ。 安倍晋三元首相は20年9月の辞任時の談話で、在任中の成果として多くの雇用が生まれたこ
高校生(16~18歳)がいる世帯の扶養控除の見直しについて、政府が所得税で38万円、住民税で33万円としている控除の水準を所得に関係なく一律で引き下げて縮小する案を検討していると、共同通信などが報じた。来年12月からの児童手当の高校生への拡大が予定されているが、「これではプラマイゼロでは…」と疑問の声があがる。なぜこのような事態が起きるのか。作家でプレジデント元編集長の小倉健一氏が解説するーー。 政権支持率、自民党が2012年12月に政権に復帰して以降11年間のワースト 朝日新聞(11月27日)によると、岸田文雄政権の支持率は「ワーストずくめ」だという。朝日新聞社が11月18、19日に実施した全国世論調査(電話)をもとに、そう、論評されている。 同調査によれば、支持率はわずか25%、不支持率は65%と自民党が2012年12月に政権に復帰して以降の11年間のワースト記録を更新した。 支持率が
現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 物流危機で「運賃値上げ」に怯える荷主! 適正価格かどうかを心配する前に、本当に大事なことを見失っていないか? 運送会社・荷主それぞれの役割 「物流の2024年問題(以下、2024年問題)」を筆頭とする物流クライシスは、もはや業界だけの課題ではなく、社会全体の課題となった。問題解決は容易ではないが、それでも、全てではないにせよ、解決への道筋は見えてきている。 【画像】えっ…! これがトラック運転手の「年収」です(計16枚) 理由のひとつは、先日(2023年10月6日)岸田内閣が発表した「物流革新緊急パッケージ」などが徐々に具体化しつつあることだ。また、荷主(メーカー、小売、卸など)と運送会社の役割が明確になってきたことも非常に大きい。 ・運送会社:経営健全化とトラックドライバーの収入アップを実現する ・荷主:運送のみならず物流
【12月04日 KOREA WAVE】韓国で、価格はそのままだが、密かに容量を減らす「シュリンクフレーション」が横行する中、コンビニ業界で価格は下げても容量は増やす「逆シュリンク」商品を続々と発売し消費者攻略に乗り出した。 GS25はPB(自社ブランド)商品で重量を増やし、価格を下げた「ユアーズ麺王」を最近発売した。従来のコンビニで販売している類似のカップ麺製品(小カップ、86グラム)より重量は22%以上増えた105グラムで、価格は990ウォン(1ウォン=約0.1円)に設定した。カップ麺の最安値だ。 通信会社提携割引など最大割引を適用すれば690ウォンで買える。GSリテール関係者は「物価高の長期化、シュリンクフレーション騒ぎの中で物価安定コンセプトで麺王を出すことにした。商品ラインナップ拡大、強化に力量を集中させるだろう」と話した。 CUは11月から2000ウォン台で超低価格の「驚くべきサ
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