旧国鉄が廃止を検討した赤字ローカル路線や、新幹線と並行する在来線を引き継ぎ、自治体などが出資する九州の第三セクター鉄道が苦境に陥っている。元々、少なかった利用者は過疎化や少子化で減少の一途をたどる。運営会社は廃線を免れようと、観光客の呼び込みや人気アニメ切符の販売など新たな収益確保に知恵を絞っている。(大森貴弘) フルコース料理 車窓いっぱいに広がる真っ青な景色。水平線の境目は曖昧で、海と空が一体に見える。肥薩おれんじ鉄道(熊本県八代市)は、この雄大な東シナ海の風景と地元産の食材で、乗客を招き入れようと3月から食堂列車「おれんじ食堂」の運行を始めた。九州新幹線などを担当した工業デザイナーの水戸岡鋭治氏が内外装を手掛け、季節に応じて沿線の食材を用いた料理をフルコースで提供する。 食堂列車は、肥薩おれんじ鉄道存続のカギを握る。 もともとJR鹿児島線の一部だった肥薩おれんじ鉄道は平成16年、九州