十九世紀半ばから二十世紀初頭にかけて英米を中心に隆盛を迎えたのが心霊主義(スピリチュアリズム)である。近代的な思想運動として始まった心霊主義は第二次大戦後衰退するものの、60年代のニューエイジ、70年代のオカルトブーム、80年代以降の新宗教運動などを始めとして文化、学問、思想など現代社会の隅々に大きな影響を残している。その心霊主義はどのような過程で広がっていったのか、十九世紀の心霊主義進展の見取り図を描く一冊である。 心霊主義の見取り図といっても、その範囲はあまりに広く、その思想は限りなく深く難解だ。様々な研究書・概説書が出ており、そのアプローチは多様である。本書では心霊主義を『合理主義という時代環境の中で誕生史、成長し、変容していった<自己>宗教の一つ』(P9)と捉え、『心霊主義の社会精神史的な意義を(ⅰ)骨相メスメリズム、(ⅱ)社会改革、(ⅲ)神智学(ⅳ)心理学(ⅴ)田園都市という五つ