(前半・昨日の掲載分) 今回の旅の友は、加藤久和先生の「世代間格差」(ちくま新書)であった。さすがに加藤先生ともなると、先日に取り上げた若い小黒一正さんと違い、不用意な断定はしないし、幅広く論点をさらっている。経験と学績のなせるところだろう。まあ、加藤先生くらいでないと、筆者の議論の相手は務まらんのだよ。 11/28のコラムでは、小黒さんの「日本破綻を防ぐ2つのプラン」 を取り上げ、米国の世代会計論を日本に「直輸入」することの危険性を指摘し、小黒さんの立論は、団塊ジュニア世代にとって、ほとんど「自爆」に等しい結果になることを明らかにした。そこで、今回は、そうした過ちを若手の研究者がしないよう、世代間負担論の到達点がどんなものかを簡潔に紹介することにしたい。 ……… 世代間負担論は、各世代において、親世代の給付を子世代が負担するという「賦課方式」の評価をするものとも言えるだろう。その際に重要