本島 修司 作家、エッセイスト 北海道生まれ。作家、エッセイスト。洞察力とパンクでシニカルな独特の文体で、日本の競馬評論界に置いて孤高の書き手として知られる。 この著者の記事を見る
斎藤さんの『ニッポン沈没』は、筑摩書房のPR誌「ちくま」の連載をまとめられたもので、時事的なテーマと、それを読む上で参考になる本を3冊読んで紹介する、という。 ちくまKさん:はい、そのテーマを考えるのに、いろいろな意味で参考になる本を。 時事問題を本を通して論じる たとえばこの回は、日本の民主主義がどこへ行こうとしているのかを、50代(小熊英二氏)、40代(湯浅誠氏)、30代(荻上チキ氏)の論客の本をそれぞれ読んで紹介されてます。 小田嶋:で、考えてみれば、安倍政権誕生前に書かれたこれらの本は全て楽観的だった、とした上で、彼らとは逆の古い方法論で政治的な発言力を作ったのが橋下徹だった、と。なるほど、皮肉が効いてますね。 ちょうど『超・反知性主義入門』と重なる時代のブックガイドとしてもとても面白かったです。 斎藤:ありがとうございます(笑)。『超・反知性主義入門』、は、日経ビジネスオンライン
9月7日、東芝の決算発表である。3月決算の東芝の有価証券報告書の提出期限は本来6月末だから、実に2カ月以上も遅れたことになる。もちろんシニア記者は現場に向かった。 だが正直に申すと、今回、突撃レポートは見送るつもりじゃった。東芝の不正会計問題については、6月の「株主総会」、7月の「社長辞任会見」に続き、1週間前の「決算再延期会見」にも突撃している。 東芝の不正会計は日本の株式市場の透明性に泥を塗る、実にけしからん問題だが、いい年をして同じ会社に何度も何度も突撃していたのでは、何とかの一つ覚えと、若い者に笑われる。 幸い、この日の決算発表では大きなサプライズはないはずだった。そこで、ここはぐっと我慢して、シニア記者のシニアたるゆえんを世間にお見せしようと算段だったのじゃ。 「株主およびステークホルダーの皆様に多大なるご迷惑をおかけしたことを、おわび申し上げます」 室町正志社長の謝罪で始まった
7月21日、東芝の田中久雄社長が辞任した。この会見で同氏は「利益を上げることは重要なこと。だが、あくまで適正な会計処理に基づかないといけない」と述べた。これを見ていた人たちは、果たしてこの人物に説教をする資格があるのだろうかと思ったのではなかろうか。その前日、第三者委員会は田中氏と2人の前任者が、会計を改ざんして利益を膨らませるよう社員を駆り立てていたことを突き止めた。その期間は2014年までの7年間、金額は1520億円に上る。これは日本最大級の会計スキャンダルだ。 社員が行ったのは、利益の水増しや前倒し計上、損失や負債記録の先送りなど、会計をごまかす際にとられる基本的な手法ばかりだ。にもかかわらず東芝のケースを会計操作の歴史において特異なものにしているのは、会計を改ざんしろという明確な指示を社員が受けていなかった点にある。 経営陣は実現不能な目標を設定するだけ。あとは「従順」や「忠誠」を
新国立競技場の計画案は、白紙撤回されることになった。 近来にないグッドニュースだと思う。 とはいえ、積極的に良いことがはじまったわけではない。何か意義ある仕事が達成されたわけでもない。単に、最悪の事態を避けるための道筋が定まったということにすぎない。 つまり、このたびの白紙撤回の決断が、歓迎すべき展開であることは確かなのだとして、だからといって、この決断を誰かの手柄や功績として手放しで賞賛するわけには行かないということだ。 むしろ、この期に及んで白紙撤回というリスキーな決断をせねばならないところにわれわれを追い込んだ人間なり組織なりの名前を明らかにして、その彼らに責任を取ってもらわなければならない。そうでないとスジが通らない。 大勢の人間がひとつの決断に沿って行動する時には、その決断が誤りであった場合に責めを負うことになる人間を、あらかじめ確定しておかなければならない。 昔の船乗りは、船が
質疑応答が始まった。 まずは山口博副社長が、事前に株主から受け取った質問について、その内容を読み上げ、一つずつ答えていく。手元の資料と会場を交互で見ながら、早口で読み上げていく。延々と読み続ける。「談合は組織の体質の問題」「原子力発電事業から撤退すべき」「原子力発電原価を公開すべき」「福島原発の現状がわかる写真を展示すべき」などという数々の質問に早口で答えていく。続いて佐野敏弘副社長が事前に株主から寄せられた質問に答え始める。山口副社長よりもゆっくりとした口調で淡々と質問、回答を読み上げていく。手元のペーパーを見ながら、時々、顔を上げる。表情はかたい。続いて、パワーグリッド・カンパニー・プレジデントである武部俊郎常務、カスタマーサービス・カンパニー・プレジデントの山崎剛常務などが、事前の質問に答えた。 事前質問への回答が終わると、経営陣が会場からの質問に答え始める。 (2015/6/25
世界の子どもにワクチンを届ける目的でペットボトルのキャップを集めている団体があるのだそうだ。名前を「エコキャップ推進協会」という。で、その横浜市に本拠を置くNPO法人が、キャップの売却益を、2013年以降、ワクチンとの交換でなく、別の使途に充てていたことが発覚して、ちょっとした騒ぎになっている。 寄付目的で集めていた善意(あるいは労力)の結晶を、掲げていた看板とは違う目的のために流用していたわけだから、これは「裏切り」と言えば「裏切り」ではある。 大勢の人の小さな善意が裏切られたわけだから、怒る人がいるのは当然だ。 が、最初に個人的な見解を述べておくと、私は、大勢の人々の小さな善意や、それを眺めている人間の憤りには興味がない。 どうでも良いと思っている。 ニュースを知って、私が興味を持ったのは、「そもそもどうしてペットボトルのキャップなんかを集めようとしたのか」という点についてだ。 だって
「休みを減らしたら給料をもっと上げられるけど、どうする?」 社長から呼ばれてそう言われたと、帰宅して家族に話したらどんな反応が返ってくるだろうか。「なんてひどい会社なの」「とんでもないブラック企業だ」といったところではないか。 ところが、そうした提案を受けた家族が心から感謝する会社がある。名古屋名物、味噌カツで有名な「矢場とん」だ。 社員の個人情報を把握 「お子さんが生まれたら、お金がこれだけ必要になりますよね。今、休日を週1日に減らしたら、もっとお給料を出すことができます」 3代目の鈴木拓将社長が語りかける先には、社員だけでなく、その家族もいる。 「特に男性社員は家計のことが分かっていないから、ウチが人生設計を考えて提案してもきちんと家族に説明しないことが多いんです。家族から見たら、休みを取り上げるひどい会社ということになっちゃう。でも、奥さんにも来てもらって理由を説明したら、感謝して、
早いもので橋下徹氏が政治の舞台に登場してからもうすぐ7年になる。この間に、大阪都構想をテコに一都市でしかない大阪の問題をナショナルアジェンダにし、地方政党「大阪維新の会」を創り、それを議員数53名を擁する国政政党「維新の党」に発展させた。好き嫌いはあろうが、稀にみるやり手の政治家であることを否定する人は少ないだろう。 筆者は、たまたま大阪生まれの大阪育ちである。10年前に当時の大阪市助役の大平光代氏に頼まれ、市役所の経営改革を手伝った。それ以来、故郷である大阪のまちの改革にずっと関わり、橋下徹氏には知事就任直後から助言をしてきた(2008年から大阪府の特別顧問、また2011年からは大阪市の特別顧問)。 そこで向こう数回にわたり、すぐそばで見てきた橋下改革の実像を紹介するとともに、その評価をしてみたい。 大阪は衰退する地方都市の先駆け 大阪は日本で第2の大都市である。 しかし、大阪は同時に、
菊池さんは光学メーカー・ニコンの技術者でしたが、今年1月、埼玉県さいたま市でクラフトビールビジネスを始められた。実は1年前まで「自分がクラフトビールビジネスを始めるとは思っていなかった」とか。技術者であった菊池さんの人生にいったい何が起きたのか。順番にお話をお伺いしてもいいでしょうか。 菊池:僕は1983年に日本光学(現ニコン)に入社。以来30年間、一貫して生産技術部門で製品の製造装置や検査装置を開発してきました。ステッパーに搭載されているリニアモータの内製化を行ったり、カメラを造る機械の設計や一眼レフカメラ用のレンズに入っている超音波モーターの製造装置や検査装置も担当していました。「超音波モーター」は摩擦でミクロン単位でモノを動かす技術ですね。 メカトロニクスの技術者? 菊池:はい、機械工学を専攻していました。また、会社に入ってから品質工学についても学び、社内講師をやっていました。いかに
革マル派との関係をどう見ているのか。 平沢:JR北海道労組は、革マル派が浸透しているといわれるJR総連の傘下にある。つまり、JR北海道労組は革マル派が支配する組合なわけだ。だから、我々の常識では理解できない言動を取る。国会で警察庁の官僚に質問した時、はっきりとは答えなかったけど、JR北海道労組の指導者の中に革マル派メンバーがいたなんてことは、警察も承知している。 そのJR北海道労組の執行部は、ほかの組合との「平和共存拒否」などとバカなことを言っているそうだ。所属組合が違うから話もしない、結婚式も出ない、一緒に飲み会もしないなんて、今どき聞いたことがない。 こんな連中は会社を辞めてもらわなきゃしょうがないでしょう。ほかの仕事に就くのはいいけど、少なくともJR北海道みたいな、国民の安全に関わってくるような会社で働くべきじゃないと、私は思うけどね。
日経ビジネスは昨日、「ユニクロ、パートとアルバイト1万6000人を正社員化」として、ファーストリテイリングの大規模な経営方針を報じた。 3月11日、柳井正・会長兼社長は、この決断を、半年に1度同社が開催する巨大会議「FRコンベンション」の場で従業員に打ち明けた。FRコンベンションに集まったのは、国内外のファーストリテイリンググループに務める店長や幹部たち約4100人。柳井会長は壇上から、およそ1時間かけて自らの新たな経営方針を語った。 臨席する機会を得た記者は、その言葉の強さに圧倒され続けた。「180度変える」「全部中止」「失敗」。自らの過去を否定する言葉が次々に飛び出してくる。 柳井会長が従業員に最も訴えたかったことは何か。ファーストリテイリングはこの先、どこへ向かうのか。日経ビジネス3月24日号特集「ユニクロ大転換 柳井正の決断」では、柳井会長が目指す新たな経営方針の全貌を詳らかに解説
広野 彩子 日本経済新聞社NAR編集部次長 朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。 この著者の記事を見る
フランシス・フクヤマ氏が、自由民主主義の最終的な勝利と「歴史の終焉」を高らかに謳ってから、今年ですでに四半世紀を迎えようとしている。共産主義体制と東西冷戦の「終わりの始まり」は1989年のことであり、経済システムとしての自由市場経済と政治システムとしての代議制民主主義――すなわち自由民主主義――が、人類普遍の最高にして最終の体制として勝ちのこり、その旗手としてアメリカ合衆国が覇権をとる新世界秩序の形成が思い描かれたわけである。 実際、経済のグローバル化は、ウルグアイ・ラウンドを経て1995年に設立された世界貿易機関(WTO)のみならず、さまざまな国家間や地域内の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を通じて加速度的に推し進められ、現在交渉中の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に至っている。 またサミュエル・ハンチントンの言う民主化の「第三の波」は、ヨーロッパなどの旧共産圏に限らず
アルジェリア東部で起きたアルカイダ系イスラム武装組織によるガス関連施設に対する襲撃および人質事件は、アルジェリア軍による突入作戦が実施され、20日現在で人質23人、犯行グループのメンバー30人が死亡したと伝えられた。いまだに現地の情報は錯綜しており、事件に巻き込まれ、行方の分からなくなった日本人の安否確認ができずにいる。 今回のテロ事件は、直接事件に巻き込まれたプラント大手・日揮だけでなく、治安の不安定なアフリカや中東諸国に進出している多くの日本企業にも大きな衝撃を与えている。 この事件の背景、そして今も危険と隣り合わせで事業を展開する日本企業の安全対策について英国の危機管理セキュリティ会社G4S社(旧ArmorGroup)の日本法人G4SJapanの元取締役で、国際政治アナリストの菅原出氏に話を聞いた。 (聞き手は瀬川明秀=日経ビジネス) 今回のアルジェリアのテロ事件は、「イスラム武装組
日米のプロ野球界で年俸格差がどの程度あるかご存じでしょうか? 今でこそ、日本のプロ野球界で年俸が1億円を超える選手は珍しくありません。2012年シーズンには支配下選手全体の10.7%に当たる78人が1億円プレーヤーとなり、球界最高年俸は中日ドラゴンズの岩瀬仁紀投手の4億5000万円(推定)と言われています。しかし、平均年俸は意外に低く、3816万円でした。 一方、米メジャーリーグ(MLB)の今シーズンの平均年俸は321万3479ドル(約2億5708万円)で、日本の約6.7倍に相当します。ちなみに、今季のメジャー最低保証年俸が48万ドル(約3840万円)ですから、日本球界の平均年俸とほぼ同額ということになります。最高年俸はニューヨーク・ヤンキースのアレックス・ロドリゲス選手で、3000万ドル(約24億円)でした。 平均年俸を球団別に見てみると、MLBトップはロドリゲス選手が所属するヤンキース
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