J.G.フレイザーの大著『金枝篇』のダイジェスト版の邦訳。1994年に東京書籍から出た同名本の文庫版でもあり、上巻では『金枝篇』第一巻”The Magic Art and the Evolution of Kings (Part 1)”から第四巻”The Dying God”までの内容を収めている。 本著は『金枝篇』の内容をコンパクトに纏めたものであり、フレイザーの学説とそれを裏付ける類例に絞って記述されている。その為フレイザーの学説を手っ取り早く知りたい方、『金枝篇』の大まかな内容を知りたい方には打って付けなものと言える(特にこの上巻では、「共感呪術」や「王殺し」などフレイザーの学説において中心となる概念が解説されている)。 ただ(これは『金枝篇』そのものの問題でもあるのだが)、フレイザーが紹介する資料の信憑性に難がある。p188での日本の天皇の記述のように、引用元の段階で間違っている情