食べることは、大好きだ。 好き嫌いはほとんどないし、唯一苦手だった納豆も、結婚してからは克服した。 だけど自分で作るのはからっきしで、週末はできるだけ料理をしようと努力しているのだけど、チャーハンとかパスタとか野菜炒めとか簡単なものを作ることくらいしかできない。 もっと料理をがんばろう、という向上心がなかなか生まれないのだ。 なぜか。 それは、世の中にあふれている料理のレベルが高すぎるからだ。 定食屋に行けば、アツアツのうまそうな唐揚げがすぐに出てくるし、フレンチやイタリアンのお店に入れば、宝石のように美しい料理たちがおしゃれなお皿に乗って次々と運ばれてくる。 家に帰れば、妻の料理の品数の多さと、離乳食まで一緒に作ってしまうスピードに圧倒され、ぼくはただそれをありがたく食べるだけ。 ぼくの中では知らないうちに「料理というのはこういうものだ」というレベルが非常に高いところで設定されてしまって