子供の頃、あなたはどのようなルールでお小遣いをもらっていただろうか? どうしてそのルールになっていたのか、理由を説明することができるだろうか? こう聞かれると、唐突に感じるかもしれない。だが、このシンプルな質問は、社会や経済の仕組みのデザイン、つまり制度設計に通じる問いかけでもあ るのだ。親が子供に与えるお小遣い、そんな身近なテーマを手掛かりに、今回は「制度を設計するうえでの大事な注意点」について考えてみたい。 仮に今、ある家庭で「お小遣いは必要に応じて適当な金額をその都度親が子供に渡す」というルール(「要求制」と呼ぼう)が定められていたとする。このとき、いったいどんな問題が生じるだろうか。 もちろん、実際に何が起こるかは場合によりけりで、ピンポイントな予測は難しい。そもそも、子供が正直に自分の買いたいものを選び、その必要性をウソ偽りなく親に伝え、親が子供からのリクエストをきちんと判断でき