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  • 誰も正常ではない | スティグマは作られ、作り変えられる | みすず書房

    正常・異常をめぐるスティグマは、ただ漫然と生じたものではない。科学や医学はつねに権威をもって「異常」とすべきもののカテゴリーを作りだし、それはコミュニティを通して社会的・文化的に学習されてきた。書はおもに精神疾患や発達障害のスティグマを中心に、スティグマが構築と再構築を重ねてきた変遷の力学を、18世紀以降、複数の戦時期を経て、高度に経済化した今日の社会に至るまでたどる。 しかし、だからこそスティグマとは質的に、私たちの手で流れを変えうる「プロセス」であると著者は言う。汚辱や秘匿がいまだに残っている一方で、もはや「誰も正常ではない」と言えるほど、正常者・異常者を語るスティグマはその足場を失い、心身の障害を人間の多様性の一部として受け容れる潮流こそが勢いを集めつつある。 資主義、戦争、身体‐心という三の軸に沿って、書は構成されている。著者は文化人類学者ならではの視点で、近年の「生物医

    誰も正常ではない | スティグマは作られ、作り変えられる | みすず書房
  • ピケティ「最悪の事態を避けるには」(全文翻訳) | みすず書房

    ピケティ「最悪の事態を避けるには」(全文翻訳) トマ・ピケティ『ル・モンド』ブログ 2020年4月14日 2020.04.21 この新型コロナウイルス危機は、自由な金融グローバル市場の終わりを加速させ、より公平で持続的な、新たなる成長モデルを生み出すのだろうか? そうなるのかもしれないが、保証はない。いまの段階で最も差し迫った課題は、まず目下の危機がどれくらい広がり得るのかを把握すること、そして最大規模の惨事、最悪の事態を避けるために実行可能な手をすべて打つことだ。 ここで疫学的モデルに基づいた予測を思い出して頂きたい。何も対策をしなかった場合、新型コロナウイルスの死者は世界全体で4000万人以上、フランスで40万人となる可能性があり、おおよそ全人口の0.6%にあたるという(世界の人口は70億人超、フランスの人口は7000万人弱)。これは1年間の死者全体にも相当する数だ(フランスで年間55

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  • 測りすぎ | なぜパフォーマンス評価は失敗するのか? | みすず書房

    多くの人が漠然と感じているのは、業績評価が問題の質を外れ、文脈を奪い、人間による判断の微妙さを軽視して、システムのメカニズムを知っている者だけの利益になっている、ということだ。書は、この傾向がどこから来るのか、なぜこの傾向が非生産的なのか、なぜわれわれがそれを学ばないのか、をはっきりと説明している。…あらゆる管理職が読むべき。 ティム・ハーフォード(エコノミスト。『まっとうな経済学』) 「測定基準の改竄はあらゆる分野で起きている。警察で、小中学校や高等教育機関で、医療業界で、非営利組織で、もちろんビジネスでも。…世の中には、測定できるものがある。測定するに値するものもある。だが測定できるものが必ずしも測定に値するものだとは限らない。測定のコストは、そのメリットよりも大きくなるかもしれない。測定されるものは、実際に知りたいこととはなんの関係もないかもしれない。当に注力するべきことから

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  • 金持ち課税 | 税の公正をめぐる経済史 | みすず書房

    「国はいつ、なぜ富裕層に課税するのか。今日、これほどタイムリーかつ意見の対立する問題はない。…20世紀の高課税は民主主義の影響だったのか、不平等への対応だったのか。…書は、過去へさかのぼり、富裕層課税の歴史が現在の状況に何を教えてくれるかを示していく。…我々の考えでは、社会が富裕層に課税するのは、国民が国家は富裕層に特権を与えていると考え、公正な補償によって富裕層に他の国民より多く課税するよう要求する時だ」 「1914年に大規模戦争時代が到来し、富裕層課税を支持する強力な新主張が生まれた。労働者階級が徴兵されるなら、公平に、資家階級にも同様のことが要求される。…戦争の負担が平等でないなら、富裕層はより重税を課されるべきだ。…しかし、大規模戦争がなくなると、そうした主張は消えていく。代わりに、富裕層への高課税は新たな既存体制となり、富裕層への課税は「公正」だと、何の説明もなしに主張するし

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  • ジェネリック(後発薬)の歴史について、初めて包括的に | みすず書房

    ジェネリック(後発薬)の歴史について、初めて包括的に ジェレミー・A・グリーン『ジェネリック――それは新薬と同じなのか』[15日刊] 2017.12.11 アメリカで誕生し、いまや世界的に普及が進むジェネリック薬。医療費削減の切り札として注目されています。薬を処方されるときに、ジェネリック薬にしますか?と訊ねられたことのある人は多いでしょう。ですが、従来の薬とジェネリックはどこがどう違うのでしょうか。知識を得る前に選択が先にくるというのが現状ではないでしょうか。書は、ジェネリック薬の歴史について包括的にまとめたはじめてのです。 ジェネリックは問題の種なのか、それとも解決策なのか――明らかにその両方だ。(…)ジェネリックに関して聞こえてくる話はたいてい、ブランド薬かジェネリックのどちらかの肩を持とうとする。だが、両者の対立が単にイデオロギー上のものでないことを理解するには、どちらにも強力

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  • 新自由主義が民主主義の土台まで侵食している | みすず書房

    新自由主義が民主主義の土台まで侵している ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか――新自由主義の見えざる攻撃』中井亜佐子訳 2017.05.25 新自由主義が世界を動かすようになってすでに数十年。民営化、規制緩和、市場拡大をすすめ、その結果、格差の拡大と固定化が問題になっている。だが、それだけだろうか。 新自由主義のもっとも深刻な結果は、民主主義の崩壊だと、書の著者ブラウンはいう。新自由主義が民主主義の土台まで侵していることを、書はあぶりだす。 そのキーワードが「人的資源」「投資」「格付け」「ベンチマーキング」「ガバナンス」などの言葉だ。これらが目指すのは、じつは収益ではない。 新自由主義は経済の言葉を別の領域に流入させる。そこが大事なところで、なぜ新自由主義が経済と関係のない領域を経済化するのかという謎を解く鍵がある。来は経済原則で動いていない領域の原則を経

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  • いかにして民主主義は失われていくのか | 新自由主義の見えざる攻撃 | みすず書房

    哲学・思想・宗教政治・経済・法現代哲学・現代思想政治学 紀伊國屋書店ウェブストア Amazon.co.jp オンライン書店e-hon セブンネットショッピング 楽天ブックス Yodobashi.com 紀伊國屋書店Kinoppy honto電子書籍ストア 電子書籍ストアBookLive! Amazon Kindleストア 電子ブック楽天kobo Apple iBooks Storeで購入 eBookJapanで購入 SONY Readers Store いまや新自由主義は、民主主義を内側から破壊している。新自由主義は政治と市場の区別を取り払っただけでなく、あらゆる人間活動を経済の言葉に置き換えた。主体は人的資に、交換は競争に、公共は格付けに。だが、そこで目指されているのは経済合理性ではない。新自由主義は、経済の見かけをもちながら、統治理性として機能しているのだ。 その矛盾がもっとも顕著に

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  • テクノロジーは貧困を救わない | みすず書房

    マイクロソフト・リサーチ・インドでの実践が生んだ、 新たな解は《人そのもののアップグレード》だった。 著者の研究は万能な解決策などないことを思い知らせてくれる。 最貧困層の生活を向上させるテクノロジーは、 人間の行動特性と文化的相違への深い理解に基づいたもの でなくてはならないのだ。 ——ビル・ゲイツ いまだITスキルに大きな格差があるインド。学校では上位カーストの生徒がマウスとキーボードを占領している。 「これこそまさに、イノベーションにうってつけのチャンスだ。1台のパソコンに複数のマウスをつないだらどうだろう?…そしてすぐに〈マルチポイント〉と名付けた試作品と、専用の教育ソフトまで作ってしまった」。 しかしその結果は… 「ただでさえ生徒を勉強に集中させるのに苦労していた教師たちにとって、パソコンは支援どころか邪魔物以外のなんでもなかった。…テクノロジーは、すぐれた教師や優秀な学長の不在

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  • 大不平等 | エレファントカーブが予測する未来 | みすず書房

    BREXITトランプ現象などの原因を、如実に示した一枚の図がある。『ワシントンポスト』紙が「現代政治のロゼッタ・ストーン」と評したエレファントカーブだ。 横軸の100に位置するのがグローバルに見た超富裕層、0に位置するのが最貧困層。縦軸はベルリンの壁崩壊からリーマンショックの間に各層がどのくらい所得を増やしたかを示している。50-60番目の人たち(中国などのグローバル中間層=A)は所得を大きく伸ばし、80-90番目の人たち(先進国の中間層=B)の所得は停滞し、90番目以上の超リッチ(グローバル超富裕層=C)の所得はこれまた大きく伸びていることがわかる。 書は、このグラフの発表者が、新たな理論「クズネッツ波形」で、今世紀の世界的不平等の行方と経済情勢を予測した基書だ。 「各国間と各国内の不平等をこれ以上ないほど明確に語ってくれる。必読書だ」トマ・ピケティ。 「これからの世界は、グローバ

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  • 子どもたちの階級闘争 | ブロークン・ブリテンの無料託児所から | みすず書房

    「わたしの政治への関心は、ぜんぶ託児所からはじまった。」英国の地べたを肌感覚で知り、貧困問題や欧州の政治情勢へのユニークな鑑識眼をもつ書き手として注目を集めた著者が、保育の現場から格差と分断の情景をミクロスコピックに描き出す。 2008年に著者が保育士として飛び込んだのは、英国で「平均収入、失業率、疾病率が全国最悪の水準」と言われる地区にある無料の託児所。「底辺託児所」とあだ名されたそこは、貧しいけれど混沌としたエネルギーに溢れ、社会のアナキーな底力を体現していた。この託児所に集まる子どもたちや大人たちの生が輝く瞬間、そして彼らの生活が陰に軋む瞬間を、著者の目は鋭敏に捉える。ときにそれをカラリとしたユーモアで包み、ときに深く問いかける筆に心を揺さぶられる。 著者が二度目に同じ託児所に勤めた2015-2016年のスケッチは、経済主義一色の政策が子どもの暮らしを侵蝕している光景であり、グロー

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  • 『子どもたちの階級闘争』刊行記念 ブレイディみかこさん特別鼎談 | みすず書房

    『子どもたちの階級闘争』刊行記念 ブレイディみかこさん特別鼎談 5月13日(土)15:00-16:30(開場14:30) 明治大学「紫紺館」 4階会議室[終了しました] 2017.04.21 鼎談 ブレイディみかこ×岸政彦×松尾匡 「緊縮世界はノー・フューチャー――英国で、日で、いま何が起きているのか」 『子どもたちの階級闘争』刊行記念 5月13日(土)15:00-16:30(開場14:30) 明治大学「紫紺館」 4階会議室 [共催・三省堂書店 神保町店] ブレイディみかこさんの新著『子どもたちの階級闘争』を、ちいさな託児所についてのちいさなノンフィクションだと思うなかれ! このでは、もはや先進諸国の習い性となりつつある新自由主義への傾きとともに拡大する社会格差、孤立し困窮する人々同士の摩擦、噴出する排外主義と移民問題、そしてそのすべてが緊縮政策によりますます加速している構図が、子ど

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  • アメリカ経済政策入門 | 建国から現在まで | みすず書房

    「成功している経済圏には共通点がある。経済政策が実利的であることだ。イデオロギーではなく、抽象論でもない、がっちりと具体性のある経済政策が整えられてきたことだ……書の狙いは、アメリカ歴史が示す多くの教えを紐解いていくことである。アメリカ政府が過去にどれほど頻繁に、どれほど理にかなった再設計を繰り返してきたか、その点を理解することに重大な意味がある」 (はじめに) 植民地的な農業経済を設計し直したアレグザンダー・ハミルトン。自由労働をめぐる再設計をおこなったエイブラハム・リンカーン。積極的に国内のトラストを規制したセオドア・ルーズヴェルト。フランクリン・ルーズヴェルトのニューディール政策。ドワイト・アイゼンハワーによる住宅および幹線道路建設計画と新興技術への支援。 イデオロギーではなく、具体的かつ実際的な戦略によって世界経済をリードしてきた歴史をコンパクトに振り返り、停滞の時代への処方箋

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  • 貧困と闘う知 | 教育、医療、金融、ガバナンス | みすず書房

    開発経済学の最前線をコンパクトに紹介。 ランダム化比較実験(RCT)の手法を駆使して、常識を覆し、貧困削減の具体的政策を提示する。 インド、マラウィ、ケニア、メキシコ、バングラデシュでの実践が明らかにしたのは……ワクチン接種キャンペーンをもっと効果的にするには? 低コストで子どもたちの教育を改善するには? 出勤しない教師や看護師にどう対応する? マイクロクレジットは貧農を救う魔法の処方箋か? 村落集会はほんとうにコミュニティの自己決定を強化しているのか? 「そのコンセプトの明快さ、その柔軟性、そしてそれが政策と研究の交差点に位置していることによって、ランダム化比較実験は特別に豊かで汎用性が高い道具になった。…書では、こうした実験について報告することで、人間開発の挑戦に新たな光を当てることにしたい。私たちは、伝統的な政策はどの程度まで目的を果たすことができたのか、そして、これほどまでに進歩

    貧困と闘う知 | 教育、医療、金融、ガバナンス | みすず書房
    helioterrorism
    helioterrorism 2017/03/09
    『貧乏人の経済学』の著者デュフロの新刊。
  • 「『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』を彷彿…」(ハーバーマス) | みすず書房

    「『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』を彷彿…」(ハーバーマス) W・シュトレーク『時間かせぎの資主義――いつまで危機を先送りできるか』 鈴木直訳 2016.03.10 〈金融、財政、経済の三重危機は、戦後資主義が長期にわたる新自由主義的転換を経てたどり着いたとりあえずの終着点だ。インフレ、国家債務、家計債務はそれぞれ一時的な応急措置として用いられた。それによって民主主義的政治は成長資主義の見かけを保つことができた。あたかもすべての人々に同じように物質的進歩がもたらされ、さらには市場と人生のチャンスが徐々に上層から下層に向かって再分配されていくという印象さえ与えてきた。しかし、この三つの応急措置はいずれも、資の受益者と管理者が十年ほどかけてさんざん利用した後、高くつきすぎることに気付くや、次々と使いはたされ、次の応急措置にとって替わらざるを得なかった。〉 〈資主義が掲げていた

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  • 時間かせぎの資本主義 | いつまで危機を先送りできるか | みすず書房

    主義は自らの危機を「時間かせぎ」によって先送りしてきた。 70年代、高度成長の終わりとともに、成長を前提とした完全雇用と賃上げは危機を迎えていた。そこで各国はインフレによる時間かせぎ、つまり名目成長が実質成長を肩代わりすることで当面の危機を先送りした。 80年代、新自由主義が格的に始動する。各国は規制緩和と民営化に乗り出した。国の負担は減り、資の収益は上がる。双方にとって好都合だった。 だがそれは巨額の債務となって戻ってきた。債務解消のために増税や緊縮を行えば、景気後退につながりかねない。危機はリーマン・ショックでひとつの頂点を迎えた。 いま世界は、銀行危機、国家債務危機、実体経済危機という三重の危機の渦中にある。新たな時間かせぎの鍵を握るのは中央銀行だ。その影響をもっとも蒙ったのがユーロ圏である。ギリシャ危機で表面化したユーロ危機は、各国の格差を危険なまでに際立たせ、政治対立を呼

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  • 大脱出 | 健康、お金、格差の起原 | みすず書房

    世界はより良くなっている——より豊かになり、より健康になり、平均寿命は延びている。しかしその反面、貧困という収容所から「大脱出」を果たせずに取り残された国や人々がいる。産業革命以来の経済成長は、大きな格差も生んだのだ。経済発展と貧しさの関係について最先端で研究を続けてきた著者が、250年前から現在までを歴史的にたどりながら、成長と健康の関係を丹念に分析することで、格差の背後にあるメカニズムを解き明かす。 「書は、進歩と格差の間の終わりなきダンスについて記している。……単純に考えると、貧困からの脱出は金銭的な問題だと思いがちだ。だがお金と同じくらい、ひょっとするともっと重要なのかもしれないのが健康と、繁栄する機会を手に入れられるだけ長生きする確率の向上だ。……富の歴史について語るは数多くあるし、格差の歴史について語るも多い。健康と富がいかに密接な関係にあり、健康の格差が富の格差をいかに

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  • テツオ・ナジタ『相互扶助の経済』 | みすず書房

    「講」や「報徳」について、現代の私たちは意外に知らないかもしれない。それは当然だと、テツオ・ナジタは次のように説明する。 ――徳川時代、慢性的な飢饉と過酷な税制のもとで、民衆はたがいに助け合うしかなく、急な出費(借金の返済、病気、葬式…)に備え、村内・地域内で集団的な積立貯金ともいえる「講」をつくったり参加したりした。まさに、彼らのセーフティ・ネットだった。 ――しかし「講」とその発展形態ともいえる「報徳」は、公的・体系的な政治秩序の外側で形成された「民衆経済」だったから、何世紀にもわたって一般に注目されず、日歴史においても、基的には語られてこなかったのだ。 この「民衆経済」は、明治維新後はどうなっただろうか。たとえば1880年代初期、いわゆる松方デフレ政策が断行されると、民衆の暮らし向きはさらに悪くなる。産業革命が轟音をたてて迫りくるなかで、民衆は松方金融制度から自分たちを守るため

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  • T・フランセーン『ゲーデルの定理』 | トピックス : みすず書房

    利用と誤用の不完全ガイド 田中一之訳 ゲーデルの不完全性定理を引用する前に、書のカバーに印刷されている手書き文字の文章をちょっと読んでみてください── 「ゲーデルの不完全性定理は、すべての数学的体系において、証明も反証もされない公理があることを述べている」 「不完全性定理は、科学の進歩がどれほど成し遂げられようと、科学が自然界を完全に解明することは原理的にできないことを明らかにする」 「ゲーデルが立証したように、すべての無矛盾な形式体系は不完全であり、またすべての完全な形式体系は矛盾している」 「ゲーデルの不完全性定理は、客観的現実の存在は証明できないことを示している」 「人が論理的であろうと試みる限りにおいて、その思考は形式体系を形成し、そしてそれは必ずゲーデルの定理によって縛られる」 などなど。どれも不完全性定理の誤った引用なのです。もしどう間違っているのかわからない文があったら、あ

  • ゲーデルの定理 | 利用と誤用の不完全ガイド | みすず書房

    20世紀最大の学術的発見のひとつであるゲーデルの不完全性定理は、「汲めども尽きぬ知的濫用の泉である」とも言われる。あらゆる分野で引用され、しかもその大半が定理の使い方を誤っているからだ。 書はそんな偉大な定理のユニークな解説書。「革命」ばかりが語られてきた不完全性定理について、定理としての醍醐味を語る。ゲーデル、チューリングをはじめとする驚くべき頭脳がシステムの性質を探る、創造性あふれる営みを垣間見る旅。しかも数々の誤用例を素材に、ゲーデルの定理では言えない(……)ことまでを徹底的に点検し、定理の射程を明らかにしている。 認知科学、物理学、神学、ポストモダン批評など、思いつくかぎりの分野から誤用・誤解の事例がとりあげられている。誰もが陥りやすい錯覚や、緻密な考察の末の誤りも多く、著名な科学者の文章でさえ例に漏れない。同じ轍を踏まないためにもゲーデルの定理を引用する際にはとりわけ必読の書で

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  • P・シーブライト『殺人ザルはいかにして経済に目覚めたか?』 | みすず書房

    P・シーブライト『殺人ザルはいかにして経済に目覚めたか?』 ヒトの進化からみた経済学  山形浩生・森正史訳 2014.01.10 一万年の人類史を経済学で斬る、稀代の名著、ついに刊行。 ダニエル・デネットによる序文 スムーズに動く自動車は、人生の喜びの一つだ。行きたいところに、時間通り、高い信頼性でたどりつけるし、その道中もほとんどの場合は何ら見苦しいところもなく、音楽を聴きつつ快適なエアコンのなか、GPSで道案内してもらえる。先進国では、自動車はあたりまえのものだと思われがちで、人生のなかで不変だとされ、いつでもそこにあるものだと考えられている。でも自分の車が壊れると、人生は大混乱だ。技術的な訓練を受けたカーマニアでもないかぎり、レッカー車や自動車メカニック、車のディーラーなどなどに大いに頼ることになってしまう。そしてどこかの時点で、ますますトラブルの頻発する車を見放して、まっさらな車

    P・シーブライト『殺人ザルはいかにして経済に目覚めたか?』 | みすず書房