ブックマーク / realsound.jp (193)

  • 阿曽山大噴火、『虎に翼』のバランス感覚に感動 法廷を見てきたからわかる男女比の変化も

    NHK連続テレビ小説『虎に翼』が最終章を迎えている。日で女性初の弁護士になり、女性初の判事および家庭裁判所長となった主人公・寅子(伊藤沙莉)を中心に、戦後の日社会を鮮やかに描き出す作。 数多くの裁判を傍聴し、法廷を誰よりも知るお笑い芸人・阿曽山大噴火に、作の魅力と法廷ドラマとしてのリアルさについて聞いた。 「吉田恵里香さんのバランス感覚がすごい」 ーー朝ドラは以前からご覧になっていましたか? 阿曽山大噴火(以下、阿曽山):いつも最初の1、2話は必ず観ています。そこから視聴を継続するかどうか判断するのですが、『虎の翼』は違いました。普通の朝ドラだと最初の1カ月はほぼ幼少期で終わってしまうことも多いのに、今回はいきなり成長した寅子(伊藤沙莉)が登場したので、初めから引き込まれました。 ーー弁護士がテーマということで、特に注目されていたのでしょうか? 阿曽山:それもありますが、「これはす

    阿曽山大噴火、『虎に翼』のバランス感覚に感動 法廷を見てきたからわかる男女比の変化も
  • 聖徳太子はなぜ「超能力者」として語られるようになったのか? 偽史言説や陰謀論のメカニズム

    『隠された聖徳太子――近現代日の偽史とオカルト文化』(ちくま新書) 『隠された聖徳太子――近現代日の偽史とオカルト文化』(ちくま新書)は、日史上もっとも神秘的な「聖人」である聖徳太子が、1000年以上ものあいだどのように語り継がれてきたのかを辿ることで、その時代ごとに人々がなにを求めていたのかを探った一冊だ。戦前/戦後の聖徳太子像の変化や、1970年代のオカルトブームにおける聖徳太子像などを捉え直し、「歴史」と「偽史」の曖昧な境界を歩む書は、昨今流布する陰謀論などについて改めて考える上でも有益な読み物と言えるだろう。著者のオリオン・クラウタウ氏に、オカルトや偽史も含めて聖徳太子を研究する意義を聞いた。(編集部) オリオン・クラウタウ氏。東北大学大学院国際文化研究科准教授。 専門は宗教史学(近代日仏教)。 ――そもそもクラウタウさんは、聖徳太子の存在をどのような文脈のもとに知ったの

    聖徳太子はなぜ「超能力者」として語られるようになったのか? 偽史言説や陰謀論のメカニズム
  • 奇跡を信じ、求めることは罪なのか――悪魔が宿りし修道女の、不埒で一途な旅を描くインディーゲーム『INDIKA』レビュー

    かつてモスクワに拠点を置き、現在はカザフスタンで開発を行っているインディー・ゲーム・ディベロッパーOdd Meterが送り出した作品『INDIKA』が、大きな話題を呼んでいる。 作は19世紀ロシアを舞台に、悪魔の声を聴く修道女と、片腕を失くした兵士が奇妙な旅をするという作品である。厳格な修道院生活に身を置きながら、誰一人味方がいない彼女は、自らの信仰の揺らぎを感じながら、大雪の積もるロシアと超現実的空間を行き来する……。 4時間ほどで終わるタイトなボリュームのなかに、短編文芸を思わせる良くできたシナリオ、バラエティ豊かでユニークなミニゲーム、鮮やかだが陰な厳冬のロシアを表現した美麗なグラフィックと、どの点を切り取っても評価できる作品だった。それぞれの点について細かくチェックしていこう。 「善く生きるとは、はたしてどういうことだろう」悪魔と兵士とともに歩む修道女インディカの旅路 作はイ

    奇跡を信じ、求めることは罪なのか――悪魔が宿りし修道女の、不埒で一途な旅を描くインディーゲーム『INDIKA』レビュー
  • 荒削りで巨大な『Starfield』に感じる、ベセスダRPGが取り戻した「原点」

    「『この世界では、何もしてもいいんだ、どこへ行ってもいいんだ』という気持ちにさせてくれるんだ。そしてその道中で発見したアイテムは、とてもユニークに感じられる」 これは、2018年に制作されたベセスダ・ゲームスタジオ(以下、BGS)のドキュメンタリーのなかで、トッド・ハワード氏が『The Elder Scrolls: Arena』(1994年)について語ったものだが、筆者が同作から29年後にリリースされた『Starfield』をプレイしてしばらく経ったときに、ふと、その言葉が頭をよぎった。 個人的に『Starfield』をプレイしていて一番好きなのは、宇宙を無邪気に旅しているなかで、なんとなく選んだ惑星に降り、その景色に魅了される瞬間だ。お気に入りの惑星を見つけたときには(資源はあまり気にせずに)基地を建設し、道中で一緒になったクルーたちを招き、しばらくの間はその場所を拠点にしてサブクエなど

    荒削りで巨大な『Starfield』に感じる、ベセスダRPGが取り戻した「原点」
  • チェルノブイリが舞台の「S.T.A.L.K.E.R.」に宿る、ポスト・アポカリプス作品としての唯一性 そして期待する“その先”の物語

    チェルノブイリが舞台の「S.T.A.L.K.E.R.」に宿る、ポスト・アポカリプス作品としての唯一性 そして期待する“その先”の物語 どこまでも広がる荒廃とした世界の中でただ一人、ガイガーカウンターの音や得体の知れない怪奇、敵対する勢力の襲撃に怯えながら、わずかな味方の存在と死体から漁った物資を糧にして、ただ黙々と歩き続ける。記憶を失ってしまった主人公にとって唯一の目的となるのは、所持していたPDAに書かれていた「Kill Strelok(Strelokを殺せ)」の一文のみ。 事故発生後(正確には1986年の事故後、2006年に原因不明の第二次爆発が起きたという架空の設定)のチェルノブイリ周辺地域(「ゾーン」と呼ばれる)を舞台としたFPSゲーム『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chornobyl』は、2007年の発売から現在に至るまで数多くのゲーマーを魅了し、ある種のカ

    チェルノブイリが舞台の「S.T.A.L.K.E.R.」に宿る、ポスト・アポカリプス作品としての唯一性 そして期待する“その先”の物語
  • 家庭用ゲーム機に初移植の「S.T.A.L.K.E.R.」 “洗礼”を乗り越えた先にある、色褪せない独自の魅力

    家庭用ゲーム機に初移植の「S.T.A.L.K.E.R.」 “洗礼”を乗り越えた先にある、色褪せない独自の魅力 3月7日、ウクライナゲーム開発会社であるGSC Game WorldがPlayStation 4/Xbox One向けに『S.T.A.L.K.E.R.: Legends of the Zone Trilogy』を発表し、同日に発売が開始された。 これは同社が2007年から2009年にかけてリリースした「S.T.A.L.K.E.R.」シリーズの初期3部作である『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chornobyl』、『S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky』、『S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat』を収めたバンドルであり、各作品を個別に購入することも可能となっている。同シリーズが家庭用ゲーム機に移植されるのは史上初だ。 何の前

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  • Netflix版『三体』にみる作り手の覚悟 原作の解体と再構築によって“笑って泣ける”ドラマに

    高山善廣vsドン・フライ戦のようなドラマ化! 遂に配信が始まったNetflix版『三体』(2024年~)は、強大な原作を相手に正面からガンガンに殴り合うような、解体と再構築がなされている。原作ファンの物議を呼ぶこと必至だろうが、私は原作の要素――しかも1~3巻までを通して――を笑って泣ける8話のドラマにまとめあげた剛腕を評価したい。以下、できる限りネタバレ抜きで語るために、表現が回りくどくなることを許してほしい。お願いします。 まず原作をザックリ説明しよう。世界中で科学者が怪死する事件が起き、中国の刑事・史強(シー・チアン)は懸命に捜査を続けていた。一方その頃、ナノテクノロジーの専門家・汪淼(ワン・ミャオ)は、ある時から視界に謎の数列が見えるようになる。数列はカウントダウンで、目をつぶっても視界に浮かび、時が進み続ける。やがて史強は汪淼と接触し、2人は科学者怪死事件を追うことに。やがて彼ら

    Netflix版『三体』にみる作り手の覚悟 原作の解体と再構築によって“笑って泣ける”ドラマに
  • ヒロ・ムライがヴィム・ヴェンダース&役所広司と対話 『PERFECT DAYS』LAプレミアレポ

    第96回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされている『PERFECT DAYS』が、2月7日に北米でも公開となり、ロサンゼルスでプレミア上映会が行われた。北米ではテルライド映画祭やトロント映画祭、12月にニューヨークで限定公開されていたが、5月のカンヌ映画祭以降聞こえてくる好評に、ロサンゼルスでの劇場公開を心待ちにしていた観客も多い。『PERFECT DAYS』の公開に合わせ、名画座のアメリカン・シネマテークでは1月からヴィム・ヴェンダース監督のレトロスペクティヴ上映、そして黒沢清監督の『CURE』(1997年)の上映と役所広司のトークも行われていた。 LAプレミアにはヴィム・ヴェンダース監督、主演の役所広司、脚の高崎卓馬が登壇し、上映後のQ&Aではヒロ・ムライがモデレーターを務めた。1月に行われた特別上映でのモデレーターはウィレム・デフォーだったが、ジャパン・ハウス・ロサンゼルスが

    ヒロ・ムライがヴィム・ヴェンダース&役所広司と対話 『PERFECT DAYS』LAプレミアレポ
  • Netflix版『幽☆遊☆白書』最速レビュー 原作の壁を超えた“アクション全振り”な一作に

    北村匠海主演のNetflixシリーズ『幽☆遊☆白書』の配信が12月14日からスタートした。いち早くレビューをお届けしたい。 まずは簡単におさらいしておこう。原作は冨樫義博によるメガヒットコミック。1990年に『週刊少年ジャンプ』で連載が始まり、コミックスは累計5000万部を突破。『ジャンプ』黄金時代を支えた作品の一つだった。1992年からはTVアニメの放送もスタートし、平均視聴率17.6%と大成功を収めている。正真正銘のビッグタイトルだ。 ストーリーは、交通事故で死亡して幽霊になった不良学生の浦飯幽助が生き返り、霊界探偵として活躍。さまざまな妖怪たちと死闘を繰り広げるというもの。幽助とともに戦う主要キャラクターの蔵馬と飛影が爆発的な人気を博した。原作とアニメでは「霊界探偵編」の後、「暗黒武術会編(戸愚呂兄弟編)」、「魔界の扉編(仙水編)」、「魔界統一トーナメント編(魔界編)」へと続いていく

    Netflix版『幽☆遊☆白書』最速レビュー 原作の壁を超えた“アクション全振り”な一作に
  • 【追悼】『十二国記』や『薬屋のひとりごと』の先駆け 酒見賢一『後宮小説』が拓いた中華風エンタメ小説の世界

    『陋巷に在り』『泣き虫弱虫諸葛孔明』といった、中国に題材を取った小説で知られる作家の酒見賢一が11月7日に死去した。ネットにはまだ59歳だったのかといった驚きや、『泣き虫弱虫諸葛孔明』とTVドラマが放送中の『パリピ孔明』との関係を類推する声がずらりと並んだ。わけてもデビュー作『後宮小説』が、後の『十二国記』や『彩雲国物語』、そしてこちらもTVアニメが放送中の『薬屋のひとりごと』にもたらした影響を問う声が多くあって、中華風のファンタジーやミステリで盛り上がる今の小説状況を、30年も前に拓いた作家として再注目が集まっている。 『後宮小説』は酒見賢一のデビュー作で、1989年に第1回日ファンタジーノベル大賞を受賞して刊行され、第102回直木賞の候補にもなった。「腹上死であった、と記載されている」という驚きの書き出して始まる小説は、そうした死因による皇帝の崩御から始まり、次の皇帝即位に向けて新し

    【追悼】『十二国記』や『薬屋のひとりごと』の先駆け 酒見賢一『後宮小説』が拓いた中華風エンタメ小説の世界
  • 全米俳優組合のストライキの背景と余波を解説 配信サービスとAIが大きく関わる理由とは

    アメリカで始まったストライキが日でも話題を呼んでいる。7月21日公開の『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』で主演を務める、トム・クルーズらの来日がキャンセルになったことが注目を浴びたのだ。クルーズというビッグネームのおかげで、日映画ファンも早い段階から、このストライキが決して対岸の火事ではないことを知ったことだろう。 では実際、全米俳優組合(SAG-AFTRA)のストライキがどんなことに影響を与えるのか。そもそも、彼らはなぜストライキをしなければいけなくなったのか。このイシュー全体の問題と、解決しなければならないものは何なのか。その背景と余波について、整理して考えていきたい。 背景① 誰が何に対して抵抗しているのか NEW YORK CITY! The #SAGAFTRAstrike picket lines were a sight to behold

    全米俳優組合のストライキの背景と余波を解説 配信サービスとAIが大きく関わる理由とは
  • 『ルポ ゲーム条例』書評ーー政治に絶望したら終わり、ではない

    2020年1月。まだ年が明けて間もないころ、あるニュースがTwitterを中心としたネットコミュニティを賑わせた。 「香川県議会が子どものスマートフォンやゲームの使用を1日60分に制限する条例を通そうとしているーー」 18歳未満の子どもを対象にスマホやパソコン、ゲーム機の使用を平日1日60分、休日は90分までに控え、さらに中学生以下の使用は午後9時まで、それ以外は午後10時までにやめさせる、こうした規定が盛り込まれた「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」(以下、ゲーム条例)という条例の素案が提出されたのだ。 この条例に対し、Twitterを中心とするSNSでは主に反対的な意見が集中。「科学的根拠が十分でないのでは?」「表現の自由の妨げでは?」「子どもの人権を侵すものでは?」といった批判が飛び交った。またWEBメディアも多くがその問題を指摘した。 しかし、こうしたネット上での批判があったにも

    『ルポ ゲーム条例』書評ーー政治に絶望したら終わり、ではない
  • メタルは“開かれた音楽”として発展する ポップスやヒップホップなど広範なジャンルへの浸透も

    近年のポピュラー音楽シーンにおけるメタル要素の普及・偏在化 この記事の趣旨は「近年(2010年代終盤〜2020年代以降)のメタル動向の総括」なのだが、それを具体的に述べる前に、読者の方々、特に「メタルは自分とは関係ない」と思っている人に知ってほしいことがある。 ①音楽ジャンルとしてのメタルをあまり聴いていないと思っている人でも、メタル的な音を耳にする機会は実は多い。 ②近年、世界的に大きな支持を得ているカルチャーがメタル由来の意匠を用いることが増えてきているため、メタル的な視覚要素が人目に触れる機会も非常に多い。 まず、①について。例えば、リナ・サワヤマやフィービー・ブリジャーズはインディ〜オルタナ方面の音楽ファンから大きな支持を得ているが、ともにメタルに影響を受けており、いずれもMetallicaのカバーアルバム『The Metallica Blacklist』(2021年)に音源を提供

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  • 目黒考二が開拓し、北上次郎が花開かせた書評文化ーー「本の雑誌」創刊者の功績を振り返る

    の雑誌風雲録』(の雑誌社)を書いた目黒考二さんが亡くなった。それは同時に、『書評稼業四十年』(の雑誌社)を書いた北上次郎さんが亡くなったことでもある。椎名誠さんらと「の雑誌」という書評を中心とした雑誌を「目黒考二」として立ち上げ、そこに「北上次郎」ほかのペンネームを使って数多のを紹介したことが、を軸にしたメディアを存在させ、同時に書評という行為でべていけるくらいの人を少なからず生み出した。この「リアルサウンドブック」というサイトが成立していることの根っこにも、目黒考二であり北上次郎の突拍子もない好きぶりがドッカと腰を下ろしているのだ。 カミムラ晋作による『黒と誠~の雑誌を創った男たち~』(双葉社)という漫画が双葉社の文芸総合サイト「COLORFUL」で2022年の4月から連載されている。11月には単行の第1巻が発売された。この漫画に描かれているのが、「黒」こと目黒考二

    目黒考二が開拓し、北上次郎が花開かせた書評文化ーー「本の雑誌」創刊者の功績を振り返る
  • さくらももこ、作詞家としての功績 兵庫慎司が“メッセージ性を放棄した歌詞の妙”を紐解く

    さくらももこの数ある偉業のうち、大ヒット曲「おどるポンポコリン」の作詞をしたことは、もっとちゃんと評価されるべきかもしれない。 『ちびまる子ちゃん』(1巻) と、彼女の訃報を知り、あたりまえにファンとして悲しみ、マンガやエッセイやCDなどの、彼女の作品に触れ直していて、改めてそう考えた。1990年、『ちびまる子ちゃん』が最初にテレビアニメ化された時のエンディング曲として作られ、B.B.クィーンズが歌い、ミリオンセラーを記録し、同年の第32回日レコード大賞“ポップス・ロック部門賞”などさまざまな賞を総ナメにしたこの曲を……たとえば、えーと、なんて説明すればいいか難しいな、ほら、10年にいっぺんくらい、こんな感じの“子供向けおもしろソング”的な曲が大ヒットすることってあるじゃないですか、日では。たとえば「山口さんちのツトム君」とか、「およげ!たいやきくん」とか、「だんご3兄弟」とか、「おし

    さくらももこ、作詞家としての功績 兵庫慎司が“メッセージ性を放棄した歌詞の妙”を紐解く
  • 脚本家・渡辺あやが『エルピス』に込めた思い 「人間っていくつになっても変われるもの」

    10月24日にスタートした秋ドラマ一番の注目作『エルピス―希望、あるいは災い―』(カンテレ・フジテレビ系)。テレビ局のエースの座から転落したアナウンサーの恵那(長澤まさみ)が、連続殺人事件の犯人とされ死刑判決を受けた男が無実である可能性を知り、若手ディレクター・拓朗(眞栄田郷敦)と共に真相解明に向けて立ち上がる。オリジナル脚で報道と個人の正義をめぐる物語を描いた渡辺あやに聞いた。 「背後に何が潜んでいるかわからないという怖さがある」 ーー渡辺さんはこれまで『カーネーション』や『今ここにある危機とぼくの好感度について』など、NHKで連続ドラマを書いてきましたが、今回、初めて民放で書くことにしたのはなぜですか? 渡辺あや(以下、渡辺):2016年の春ごろ、プロデューサーの佐野亜裕美さんが私の暮らす島根まで来てくださって「何か一緒に作りましょう」ということになりました。シンプルにそれだけが理由

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  • 『エルピス』は「何を渡せるかが勝負」 佐野亜裕美Pが語る、物語に込めた実体験の空気

    実在する複数の事件から着想を得て制作された社会派エンターテインメント『エルピスー希望、あるいは災いー』(カンテレ・フジテレビ系/以下『エルピス』)。 作は、佐野亜裕美プロデューサーが2016年頃から『カルテット』(TBS系)の撮影の合間をぬって、島根在住の脚家・渡辺あやの元に通い、温めてきた6年越しの企画。2人の雑談から出来上がっていったという作の原点や、当に生きているのではと感じさせるキャラクター造形の秘密を、佐野プロデューサーのインタビューから紐解いていく。 『エルピス』は「打ち合わせ系」のドラマ ーードラマの反響はどう受け取っていますか? 佐野亜裕美(以下、佐野):これまで自分が担当してきた他のドラマではなかった部分でいうと、法曹界の方や、実際の冤罪の事件の関係者の方から、熱い感想のメールをいただくことがありました。このドラマをやる上で、実際にこんな冤罪事件が起こっているんだ

    『エルピス』は「何を渡せるかが勝負」 佐野亜裕美Pが語る、物語に込めた実体験の空気
  • 宇野維正×森直人×佐々木敦が語り合う、60年代のジャン=リュック・ゴダール作品とその人柄

    セレクトされた良質な作品だけを配信するミニシアター系のサブスク【ザ・シネマメンバーズ】では、8月から10月にかけて、ジャン=リュック・ゴダールの60年代と80年代の作品をセレクトした全9作品が順次配信される。今回の配信を機に、映画音楽ジャーナリストの宇野維正、映画ライターの森直人の2人に加え、ゴダールに造詣の深い佐々木敦をゲストに迎えて、ゴダールについてトークを展開。前編と後編の2回に分けてお届けする。 >>【ザ・シネマメンバーズで観る】 幅広い受容体系があるジャン=リュック・ゴダール 『女は女である』(c)1961 STUDIOCANAL IMAGE - EURO INTERNATIONAL FILMS, S.p.A. ――今回のお題は、ジャン=リュック・ゴダール監督ということで、ゲストに佐々木敦さんをお招きしながら、いろいろと語っていけたらと思います。まずは、8月から順次配信がスター

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  • 『エルピス』大根仁監督ロングインタビュー 画期的な撮影から長澤まさみとの再タッグまで

    長澤まさみ主演ドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』(カンテレ・フジテレビ系)が12月26日に最終回を迎える。プロデューサー佐野亜裕美の実体験をベースにした要素も盛り込まれた渡辺あやによる脚や、挑戦的な作品のテーマが視聴者に熱を与え続けてきた作には、もう1人重要なキーパーソンがいる。チーフ演出を務める大根仁だ。SNSでは現場の様子や放送内容について随時言及してきた大根監督だが、これまで作について深く語ることはほとんどなかった。そして今回、最終回放送前のタイミングでロングインタビューが実現。作品に携わることになった背景から、現場目線でのドラマ全体の総括や画期的な撮影について、そして2011年の映画『モテキ』以来の再タッグとなった長澤まさみへの思いまで、たっぷりと語ってもらった。(編集部) ずっとやりたかった「ドラマの映像ルックを底上げすること」 大根仁監督 ――リアルサウンド映画部で

    『エルピス』大根仁監督ロングインタビュー 画期的な撮影から長澤まさみとの再タッグまで
  • 日本におけるゴダール受容の歴史と“映画の時代”の終焉 宇野維正×森直人×佐々木敦が語る

    文・取材=麦倉正樹、取材協力=宇野維正、取材協力=森直人、取材協力=佐々木敦、画像提供=『右側に気をつけろ』Soigne ta droite, un film de Jean-Luc Godard. ©1987 Gaumont (France) / Vega Film Ag / TSR (Suisse). セレクトされた良質な作品だけを配信するミニシアター系のサブスク【ザ・シネマメンバーズ】では、8月から10月にかけて、ジャン=リュック・ゴダールの60年代と80年代の作品をセレクトした全9作品が順次配信される。今回の配信を機に、映画音楽ジャーナリストの宇野維正、映画ライターの森直人の2人に加え、ゴダールに造詣の深い佐々木敦をゲストに迎えて、ゴダールについてトークを展開。60年代のゴダール作品を中心に語った前編に続き、後編では、日でのゴダール作品の受容のされ方の変化や、近年のゴダールにつ

    日本におけるゴダール受容の歴史と“映画の時代”の終焉 宇野維正×森直人×佐々木敦が語る