ブックマーク / wedge.ismedia.jp (58)

  • 日本の相対的貧困率、米韓にも抜かれ先進国最悪に

    国際標準は貧困率を毎年公表、周回遅れの日(15.4%)、米国(15.1%)、韓国(15.3%)の数値だけをみれば、その差は僅かだと抗弁することもできるだろう。しかし、この3国の経年変化の数値をみたうえで、「今後、どの国が貧困率を改善できそうか」という問いにどう答えるだろうか。 なお、先の木下論文では、米国では月次で貧困率の推移を追っていることが紹介されている(p.57)。韓国も、毎年、貧困率を公表している。 これに対して、日貧困率が更新されるのは、現状のままでは3年後になる。数字の根拠となる国民生活基礎調査が、3年に1度しか実施されないからである。 日政府がEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)の推進を掲げて久しい。EBPMとは、政府の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づく

    日本の相対的貧困率、米韓にも抜かれ先進国最悪に
  • 台湾の研究者が日本の新型コロナ感染拡大を試算、5万人感染で「第二の湖北省になる」と警告

    新型コロナウイルスの感染状況について、中国・湖北省や韓国などの感染予測を行ってきた台湾大学化学部の徐丞志准教授が、日の公式統計から、感染症数理モデルを使って日の新型コロナウイルスの感染者数の今度の動向について試算を行った。 その結果、「悲観的シナリオ」としては、日の感染者数のピークは4月26日前後になり、日全体の累計感染者総数は5万人に達する可能性があるという試算となったという。徐氏は日の感染状況について大規模な拡大を前提にできるだけ被害を最小限にとどめる「減災」の措置が必要だと指摘している。 徐氏は生物医学が専門で公衆衛生や感染症の専門家ではないが、1月から新型コロナの拡大予測を学生向けに解説し、フェイスブックなどで公表してきたところ、感染の最初の発生地となった武漢のある中国・湖北省や韓国のケースで予測が的中に近い形となり、英雑誌『エコノミスト』にも紹介され、台湾のメディアなど

    台湾の研究者が日本の新型コロナ感染拡大を試算、5万人感染で「第二の湖北省になる」と警告
  • 台湾「マスク・ポリティックス」に見るコロナ時代の危機管理

    危機管理といえば、真っ先にイメージされるのが軍事や安全保障、外交問題などだが、いま起きている新型コロナウイルスの世界的拡大もまた、国民の生命・財産に大きな影響を及ぼしかねないリスクを有する重要問題であり、政府の危機管理能力が問われることは言うまでもない。特に、日々の生活に関わるマスクの確保に世論は敏感に反応しており、マスクはまさにコロナ時代の「戦略物資」となっている。 コロナの世界的流行で、どの国でも起きているマスク不足。韓国政府はマスクを「戦略物資」と指定することを検討すると明らかにした。日政府も原則マスクの転売を15日から規制する閣議決定が行われたが、現在マスクは日では入手困難な状況が続いている。コロナ流行の兆しがある米国でもマスクが不足は始まっていると伝えられている。 現時点でコロナの流行を感染者が50人未満で新たな感染者の発見もこの数日間は起きておらず、中国と近接していながら拡

    台湾「マスク・ポリティックス」に見るコロナ時代の危機管理
  • 「ヤマザキ」が“発がん物質”臭素酸カリウムの使用をわざわざ再開する理由

    批判も覚悟のうえで自ら情報提供 山崎製パン株式会社(ヤマザキ)が3月、一部の角パンに品添加物「臭素酸カリウム」を使い始めました。臭素酸カリウムは遺伝毒性発がん物質とされ、添加物批判の記事や書籍等では必ず、猛批判される物質。同社は、臭素酸カリウムを2014年以降は使っていませんでしたが、使用再開です。 しかも、2月25日からはウェブサイトで、自主的に使用再開を情報提供し始めました。法的には、告知する義務はないのに……。 さっそく同社に尋ねました。「発がん物質を品に使う? 週刊誌などからまた、猛烈にたたかれますよ」。答えは、「もっとおいしいパンを提供するために使いますが、安全は絶対に守ります。詳しく説明しますので、なんでも聞いてください」。 さっそく取材しました。添加物はイヤ、と思う皆さんにこそ読んでもらいたい、科学的根拠に基づく企業の毅然とした判断が、ここにはあります。 感改善に絶大

    「ヤマザキ」が“発がん物質”臭素酸カリウムの使用をわざわざ再開する理由
  • 新型コロナ、五輪開催に向けた見えない圧力

    賽は投げられた 23日放送の日テレビ系列「真相報道バンキシャ!」では新型コロナウイルスの感染拡大を受けても大会組織委員会の幹部が「強行突破だ」と言い切っていることが伝えられ、波紋を広げている。こうした理解不能なことを口にする大会組織委員会の関係者は実際に少なくない。つい先日も同じセクションに携わる人物が大真面目に次のようなワケの分からないアジテーションを唱えていた。 「君たちは東京五輪を開催中止にしたら、どれだけの経済損失が出るか分かっているのか。そんなことよりも、どうやって大会を成功させるか。それを考えることが日のマスコミの責務のはずだ。もう、賽は投げられたから突き進むしかない。イチかバチかかもしれないが、このウイルスとの勝負に勝って、大会を成功させれば我々日人は歴史に名を残せることになるじゃないか」 個人的に言えば、現状で東京五輪・パラリンピックの開催は極めて厳しいと思う。どうし

    新型コロナ、五輪開催に向けた見えない圧力
  • 香港の逃亡犯条例改正の「真の目的」

    世界を驚かせた香港の逃亡犯条例改正に反対する大規模デモについて記事を書いていると、どうしても隔掻痒のような感じが消えなかった。「容疑者を中国に移送できる」というのが改正の趣旨として語られているが、2014年の雨傘運動以後、若者らの活動家や民主派に対しては、さまざまな法律を駆使して政治参加を剥奪する手法を香港政府は確立しており、いったいどうして今このタイミングでこんな筋の悪い改正案を香港政府が持ち出したかがしっくりこない。 目的は、中国の金持ちを捕まえるため? 香港を5月末に訪れていたのだが、活動家やジャーナリストに会った時、彼らが口々に「この改正案は実は中国の金持ちを捕まえるために、中国が香港政府に出させたものなんだ」と話していた。反対している人たちも、改正案の提出理由については、対香港人ではなく、対中国人がメインであると認識していたのだ。 もちろん改正案の成立によって、実質的に香港で反

    香港の逃亡犯条例改正の「真の目的」
  • イーストフード、乳化剤無添加パンのからくりは?

    イーストフード、乳化剤は不使用、無添加……。パッケージに大きく書かれているパンがあるのをご存知ですか? 添加物嫌いの人たちには歓迎されています。私の入っている生協は、組合員がウェブサイトで商品に対するコメントを書き込めるのですが、「添加物まみれの品が溢れ返る中、少しでも自然に近いものを選びたい」と大絶賛されていました。 でも、からくりがあるようです。不使用、無添加表示のパンには実際には、「添加物」とは呼ばれない同一、同等の成分が入っている、というのです。 製パン業界1位の山崎製パン(株)が3月、『イーストフード、乳化剤不使用等の強調表示について』と題するページを公開し、そのノウハウを解説しました。 強調表示というのは、商品の独自の特徴をアピールするもので、法律で決まっている品表示項目とは別にパッケージに記載します。飲料の「糖類ゼロ」や菓子の「カルシウムたっぷり」などがおなじみですが、パ

    イーストフード、乳化剤無添加パンのからくりは?
  • 対立は悪じゃない、無理に仲良くしなくたっていい

    スケジュール管理のためにビジネス手帳を使いこなし、方眼ノートで学びを要約する。「対立があるのは当たり前」と教えられ、ブレストの手法で異なる意見を出し合う――。麹町中学校の生徒たちは日々社会のリアルを学び、その中で生きていくためのスキルを身につけている。背景にあるのは、校長・工藤勇一氏が掲げる「理念」だ。(⇒「第1回」から読む) 中学1年生で身につける「5つのフレーム」 中学校とは一体、何なのか。 筆者が麹町中学校を訪れ、工藤氏や周辺関係者への取材を重ねるたびに膨れ上がっていく疑問だ。なぜそんな疑問を抱くのか。一つは、工藤氏が進める先進的な取り組みの数々に圧倒されるからだろう。そしてもう一つは、自らがかつて中学生として過ごした時期には学び得なかったことを、ここに通う生徒たちが実際に身につけようとしていることを知るからだと思う。 実例を紹介しよう。麹町中学校の1年生は、入学してすぐに「手帳・ノ

    対立は悪じゃない、無理に仲良くしなくたっていい
  • 「話を聞きなさい」なんて指導は本当は間違っている

    東京のど真ん中に、一風変わった校長先生がいる。全校集会ではパワーポイントを使って生徒たちに「プレゼン」し、夏休みに課す宿題は最低限の作文だけ。外部企業や研究者、大学生などを巻き込んだ「オープンイノベーション」にも積極的に取り組む。驚かされるのは、その舞台が公立中学校であることだ。自由な裁量がほとんどないと思われる公立校で、変革に向けた新たな施策が次々と導入されている。その実像を追った。 ビジュアル重視のスライドで生徒へ「プレゼン」 「みんな元気? 夏休みは充実していたかな? 元気な人はまあいいや。今日は、元気じゃない人だけに話をしよう」 9月1日の第2学期始業式。千代田区立麹町中学校校長の工藤勇一氏(57)は生徒たちの前に立ち、そう話し始めた。どんな学校にもある「校長先生のお話」だが、麹町中学校のそれはおそらく、多くの大人たちが思い返す光景とは異なるだろう。 演台のスクリーンには工藤氏がこ

    「話を聞きなさい」なんて指導は本当は間違っている
  • 「良い食品、悪い食品」という単純化は勧められない

    人に「オリーブオイルをべろ」は意味がない 松永:諸外国の文献を基に「悪い品」「良い品」をバチッと分けて、悪い品を良い品に置き換えたら健康になれる、という説明をする書籍がベストセラーになりました。エビデンスに基づく、というのが売りで、「オリーブオイルは○、玄米は○、加工肉は×」というような分け方をしています。 でも、先生のご著書では「この品は良い、悪い」という二分法はされていません。どうも世間では、エビデンスという言葉がマジックワードになっている気がするのです。エビデンスと言われただけで信じ込んでしまう、というような。残念ながら、栄養学の知識に乏しい知識人が「オリーブオイルがいい。エビデンスがある」などとSNSに書き込むような現象が起きています。 佐々木:では、オリーブオイルについて考えてみましょう。たしかに、アメリカでは「オリーブオイルがよい」と言われていますが、あれは日

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  • 栄養情報も流行には要注意、話は単純化され盛ってある

    栄養情報も流行には要注意、話は単純化され盛ってある 佐々木敏・東京大学大学院医学系研究科教授インタビュー(1) 品に関する情報があふれている。テレビでは料理研究家が「この品は○○がいっぱい。夏バテに効きます」などと紹介し、SNSには「××で痩せました」というたぐいの話が大量に書き込まれている。がんなどの病気を克服する事を医師が指南している。 これらの情報をどこまで信じてよいのか? 私たちはどのような生活を送るべきか。東京大学大学院医学系研究科の佐々木敏教授に話を聞いた。佐々木教授の専門は栄養疫学。人が日常生活の中で自主的にべているべ物の種類や量を調べたり、事の内容を意図的に変えてもらい、体への影響を調べたりする学問だ。日栄養学の専門家に医師はほとんどいないのだが、数少ない医師の一人で臨床経験もあり、現在は日人の生活の実態を第一線で研究し論文として世界へ発表し続けている

    栄養情報も流行には要注意、話は単純化され盛ってある
  • 中国産、添加物……消費者が週刊誌に踊らされなくなっている?

    週刊誌の対決に、消費者の反応なし 最近、週刊誌がまたもや、「が危ない」という記事を量産しています。の安全取材歴20年近い私としては、周期的にやってくるこの“ブーム”にはもううんざり。今回は、中国産批判を繰り広げる「週刊文春」と、国産が危ないとする「週刊新潮」の対決の様相を示しているのが興味深いところです。 ところが、消費者側の反応がどうもこれまでと異なります。従来だと、品メーカーのお客様相談室に抗議の電話が鳴り響き、生協にも問い合わせが相次いでいました。今回、企業や生協、業界団体等に尋ねて回ったのですが、抗議はもとより、問い合わせもほとんどなく、あったとしても、週刊誌の書いていることと実態との違いをきちんと説明すると、わかってもらえる、といいます。もちろん、売れ行きにも影響がありません。 なぜ、これまでと異なるのか? どうも複合的な理由があるようです。取材を通じて考えてみました。 「

    中国産、添加物……消費者が週刊誌に踊らされなくなっている?
  • あなたにとって「ヘルシー」って何ですか?

    「低カロリー=ヘルシー」なのではない 「ヘルシー」という言葉がもてはやされている。 筆者は、料理の場面で使われている「ヘルシー」に、じつは大きな違和感を抱いている。 誤った認識からは正しい結論が得られない。 マスコミやネット上で「ヘルシー」という言葉がどういう状況で使われているかを調べてみた。 圧倒的に多いのが「低カロリーである」という意味。 性別を問わず、生活習慣病の治療あるいは予防のために減量が必要な人にとっては低カロリーの事は、たしかにヘルシーだ。 問題は「とにかくスリムになりたい」という女性の事法。 「これをしてはいけない」わけではなく、実行するのは個人(大人の場合に限る)の自由だが、それをヘルシーと表現してはならない。 健康的とされている体重【※1】の下限ギリギリの人が、それ以下にダイエットするのはヘルシーではなく「不健康」である。 もう少し詳しく分類してみよう。 ヘルシ

    あなたにとって「ヘルシー」って何ですか?
  • 「不審者に気をつけて」で子どもを狙う犯罪は防げない

    毎月のように、新しい子育て教育が書店に並ぶ。教育熱心な親、子育てに悩む親がそれだけ多いということなのだろう。教育に関してはさまざまな考え方があり、どのような考え方を選ぶかは各家庭の裁量だ。ただ、一つの考え方に固執するよりも、他種多様な手段・方法・考え方を知って選択肢を持っておきたい。正解はないが、結果はあるのが子育て。あなたは親としてどう子どもと向き合いたいだろうか。この連載では、教育関連を出版した著者の方たちにインタビューしていく。 子どもを狙った悲しい事件が報道されるたび、「どうすれば子どもを守れるのか」とやるせない思いを抱いている人も多いのではないだろうか。狙われる側の防犯能力を高めなければという声がある一方で、「子どもにマンツーマンディフェンスさせるのは酷。ゾーニングに基づくゾーンディフェンスで犯罪者に『あきらめ感』を」と説くのは犯罪学研究の小宮信夫さん。「ゾーンディフェン

    「不審者に気をつけて」で子どもを狙う犯罪は防げない
  • サンダース旋風の今

    昨年は全米に旋風を巻き起こしたバーニー・サンダース上院議員。このところはやや話題に上らなくなっているが、サンダース流改革を諦めたわけではない。今年6月には「サンダース・インスティチュート」を設立、非営利の教育団体としてウェブを通して国民の「真の民主主義に向けた」啓蒙活動を行う、という。 中心人物はサンダース夫人でもあるジェーン・オメイラ・サンダース氏で、創立当初の布陣にはカリフォルニア大バークレー校教授のロバート・レイヒ氏、元オハイオ州議員のニナ・ターナー氏、アーティストで政治活動家でもあるハリー・ベラフォンテ氏、国連アドバイザーで大学教授でもあるジェフリー・サックス氏、プリンストン大学教授コーネル・ウエスト氏、タルシ・ガバード下院議員、環境運動家のビル・マッキベン氏、俳優で人権運動家のダニー・グローバー氏、投資家のベン・ジェローズ氏、ミズーリ大学教授ステファニー・ケルトン氏が名を連ねる。

    サンダース旋風の今
  • 相手を見極めずしてディレクションはできない|片渕須直監督

    自分の指示や考えが、相手にうまく伝わらない――。それは自分の伝え方の問題なのか、相手の理解力の問題なのか。そこで立ち止まって悩んでいても、なかなか解決策は見つからないものです。そんな時は仕事から一旦離れて、相手との何気ないコミュニケーションから始めてみるとよいかもしれません。 片渕須直(かたぶち・すなお)氏:アニメーション監督。日大芸術学部映画学科在学中に『名探偵ホームズ』(宮﨑駿監督)に脚家として参加。同じく宮崎監督の『魔女の宅急便』では演出補を務めている。TV『名犬ラッシー』で監督デビューを果たした後、映画『アリーテ姫』、TV『BLACK LAGOON』、映画『マイマイ新子と千年の魔法』を送り出す。昨年秋に公開となった映画『この世界の片隅に』はこうの史代の同名原作の映画化。その出来栄えの高さは評判を呼び、異例のロングランヒットとなって、さまざまな映画賞にも輝いている。 ★ この連載に

    相手を見極めずしてディレクションはできない|片渕須直監督
  • “考えさせる”と“悩ませる”は違う|水島精二監督

    議論ばかり繰り返していっこうに結論が見えてこない――そんな不毛な会議を経験したことのあるビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。水島精二監督が語る、不毛な会議に陥らないための秘訣とは・・・? 水島精二氏(みずしま・せいじ)氏:アニメーション監督。『新世紀エヴァンゲリオン』(1995)の演出などを経て、『ジェネレイターガウル』(1998)で監督デビュー。主な作品に『シャーマンキング』(2001)、『鋼の錬金術師』(2003)、『大江戸ロケット』(2007)、『機動戦士ガンダム00』(2007)、『UN-GO』(2011)などがある。2014年の映画『楽園追放 -Expelled from Paradise-』はオリジナル企画でかつ上映館数わずか13館であるにもかかわらず、1億7000万円を超えるヒットとなった。 ★ この連載について ★ 1のアニメ作品に関わるスタッフは100人以上。ア

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  • 自殺の「意志」は現代日本でどう扱われているのか

    昨年10月、大手広告代理店である電通に勤務していた高橋まつりさんが、過重労働が原因で自殺したと労災認定され、長時間労働に対し同社へ世間の厳しい目が向けられた。 また、学校でいじめに合い、自殺に及んでしまったというニュースを耳にすることも度々ある。 自殺やその背景について、自殺当時は注目されても、その後法廷では何が争われているのかはなかなか聞かない。過労自殺、いじめ自殺の損害賠償請求裁判が、どのような論理で法廷で争われ、社会学の立場からはどのように見ることができるのか。 『自殺の歴史社会学』(青弓社)の共著者の一人である明治学院大学社会学部の元森絵里子准教授に話を聞いた。 ――一時期の年間自殺者3万人超からは下回ったとはいえ、現在でも自殺のニュースを目にすることは多いと感じます。今回、自殺をテーマにした理由とは? 元森:歴史社会学の研究会を共著者である貞包英之さんや野上元さんたちと開くにあた

    自殺の「意志」は現代日本でどう扱われているのか
  • 「不公平だ!」発言、トランプにも一理あり

    トランプ氏の大統領就任が確定して2日、全米各地では抗議デモが繰り広げられ、オレゴン州ポートランドなどではデモが車や建物に放火するなど、暴動と化しつつある。そんな中、トランプ氏は「オープンで大成功だった大統領選挙を終えたところだ。なのにメディアに焚きつけられたプロの抗議屋が行動している。不公平だ!」とツイート、騒動にさらに火を付けている。 今にはじまったことではない不公平 しかし、トランプ氏の言うことにも一理はある。トランプ大統領を選んだのは米国人自身だからだ。抗議をするなら選挙戦中にするべきだっただろう。さらに言えば不公平は今に始まったことではない。今回の大統領選挙は最初から最後まで不公平のオンパレードだった。 米メディアでは「なぜヒラリーが負けたのか」の検証が始まっているが、その中でポツポツと「サンダースなら勝てただろう」という論調も見られる。しかし、同じメディアがどれだけサンダース氏に

    「不公平だ!」発言、トランプにも一理あり
  • 貴族だったトランプがアジテーターに転向した理由

    「ヒラリーは公用のEメールを勝手に削除した!」 6月2日、カリフォルニア州サンノゼ市のコンベンションセンターで、ドナルド・トランプがダミ声で怒鳴ると、聴衆は激しいブーイングで応えた。 「私が大統領になったら、あの女を刑務所にぶち込んでやる!」 トランプが拳を振り上げると、聴衆は「うおおおお」と雄叫びを上げて足を踏み鳴らした。 聴衆の9割以上は白人。平日の夕方だから仕事帰りのはずだが、ネクタイやスーツを着た人は少ない。ほとんどがジーパン。ワークブーツの人も多い。 彼らは「サイレント・マジョリティー」と書かれたサインボードを掲げ、上気したピンク色の顔で「移民を追い出せ!」と熱狂的に叫んでいる。まさにピッチフォーク・モブ。よそ者をリンチするため、燃え盛る松明(たいまつ)やピッチフォーク(干し草を持ち上げるための農具)を手に村を練り歩く怒れる群衆だ。 時々聴衆に交じった反トランプ派の人が「レイシス

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